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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第三章
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第八十七話 っきゃ




 にこにこにこにこにこにこにこにこにこ。

 眠りに就いてから四十五分後の事だった。

 おもむろに目を覚まして上半身を起こした冴野を待っていたのは、背後に嬉しさを表す文字をいくつもいくつも浮かせている、慈愛に満ちた凛々しいハシビの顔であった。


「ハシビ」

「はい」


 まだ隣で眠っている土羽梨に配慮して、冴野とハシビは小声で言った。


「あなたは私と土羽梨が結婚したら嬉しいか?」

「はい」

「土羽梨がずっと『緑の国』にいてくれたら嬉しいか?」

「嬉しいですけど、でも、『砂の国』に戻りたいと思っている土羽梨の気持ちを大切にしてほしいですし。二人なら、オレは離れていても大丈夫だと思います」

「離れていても、繋がっていれば、繋がっているという強い縁を結べていれば、大丈夫、か」

「はい」

「………ハシビ」

「はい」

「私はあなたが想像するより、ずっと小さな生物だ。両親に、認めてもらう為なら、土羽梨を酷い目に遭わせる事も、厭わない」

「………でも、厭うあなたもいる」

「………ああ」

「冴野様。オレも、土羽梨みたいにすんごくあなたの力にはなれないけど、頑張るから。頼ってくれたら、嬉しいな」

「莫迦言うな。もう、すんごく力になっている」

「………っきゃ」


 息を飲んで、少しの間息が止まったハシビは、嘴を両の翼で強く押さえて、小さく悲鳴を上げたのであった。











(2023.9.17)




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