第八十四話 にこ笑顔
あなたは私を操る気はありますか。
真剣な土羽梨の顔に、にこにこ笑顔を封印して、にこ笑顔に留めた冴野はないですと言った。
「確かに。木の根を介してあなたを操る事はできるが、あなたを操って『砂の国』を『緑の国』のように緑豊かな土地にしようとはしない。断言する」
「そうですか。手段の一つとして考えていると思っていましたが。まあ、あなた如きに操られる私ではないですけど」
「あらら。強気に出るな」
「出ますね。強気に出ないと、あなた以外の誰かには操られてしまいますから。現に、操られてしまいました。もう二度と同じ轍は踏みません」
「すまない。防げなかった。取り除けなかった」
「………取り除く方法はまだないとは限りませんし、とりあえず、あなたを見つけて、少しでも影響を低減化させて、あとは、鍛えまくります」
「私もあなたを守る」
「いえ丁重にお断りさせて頂きます」
「………信用できないか?」
「はい、信用できませんね」
ハキハキと歯切れよく土羽梨は言った。
『私が信用できない事は理解できるが、今は信じてほしい。私があなたを守る』
『焔の国』で、見張りの為にテントの外へ行こうとした時に、冴野に言われた言葉。
『信じる信じないの問題ではありません。戦力は多い方がいいと言っているんです』
信じるか信じないか。
あの時は揺れていた。
嘘をつく人ではないとは思っている。
だが。
「私と同様に操られていたあなたは信じられません」
(2023.9.15)




