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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第二章
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第七十八話 状況説明




(えーっと。この状況は)


 絞め殺されるのではないかと命の危機を感じるくらい、どんどん抱きしめる力が強まって、不意に後ろから声が聞こえたかと思えば、抱擁とはもはや断固として呼べない止めを刺しに来た圧縮と重力に、堪え切れず短い悲鳴を上げると、一気に抱きしめる力が弱まるも、抱擁も解かれるのかとの予想は見事裏切られて、継続。


 もしかしてこの抱擁は必要な行動なのだろうか。

 土羽梨がその閃きを冴野に尋ねようとした時だった。

 片耳にかかる冴野の吐息を認識した、その瞬間。


「ぎぇっ」


 一気に様々な感情と温度が迸った。


「まだ痛むか?」

「いえっ。そうではなくて………あ」


 冴野が言葉を発した事に今更ながらに気づいた土羽梨は、よかったと思いながらも、その言葉を口にせず、冴野に状況説明をお願いした。


「あなたが私を抱きしめている事には理由があるんですよね?」

「ああ。なにものの仕業かは不明だが、あなたの身体の中に存在する木の根を介して、あなたの身体を変化させようとしていたので、私がこうしてあなたを囲う事でなにものかの力を防いで、あなたの身体を再構築させている」

「………あなただけじゃなくて、私も危機的状況にあったわけですか」


 錯覚だと思っていたが、どうやら違ったらしい。


(現実、か)


 あの両腕の皮膚と肉が溶け落ちて骨が露わになるという、身の毛もよだつ光景が現実だと知った土羽梨は、不意に震え出した身体を、手を強く握りしめる事で戒めた。











(2023.9.13)




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