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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第二章
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第七十六話 君の為




 土羽梨はこの状況をどうやって打破するか。

 冴野は土羽梨がこの状況をどうやって打破するのか。

 思考を巡らせる事に力を注いで、身体は微動だにさせず膠着状態が続いた。

 土羽梨は。

 冴野は違った。

 当の本人は恐らく気づいていないだろうが。




「あらあらまあまあ。ふふ。熱烈な抱擁だけれども。冴野ちゃん。気付いていないだろうから、わたくしが教えてあげよう。このままじゃあ、君。土羽梨君を絞め殺しちまうよ」




 力がどんどん強くなっているよ。

 囁くような声量だったにもかかわらず、その声は血管という血管をあまねく通り過ぎるような、不思議で、澄んだ響きがあった。


「っ」

「っすまない」


 捜していた魔女の登場に、けれど、動揺を露わにしてしまった冴野が土羽梨を抱きしめる力を一時的に最大限にしてしまった結果、土羽梨は堪え切れず苦痛の声を吐き出してしまった。

 冴野は謝罪の言葉を口にしては、抱きしめる力を弱めこそしたが、解こうとはしなかった。

 再構築がまだ完全ではない。との考えもあったからであるが。


「あなたの仕業か?」


 笑みを消して睨みつける冴野の凄まじい殺気に、けれど、畏怖を微塵も抱かなかった魔女は首を傾げては、ゆるく手を振った。


「うん?ああ。いやいや。わたくしは一切関係ない。あいつらと。まあ、あいつらの仕業、だね。どちらも」




 魔女は冴野の耳元に口を近づけて、冴野だけに聞こえるように言った。



 君の為にした事だよ。











(2023.9.13)




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