第四十八話 ササヤキ+第四十九話 クッキー
モシモ。
モシモアナタガハタセナカッタバアイ。
ワタシタチガ。
ユメヲハタス。
ワタシタチガ。
ショウメツサセル。
ニクタイモ。
タマシイモ。
オモイモ。
エニシモ。
スベテ。
(2023.9.5)
(疲れた)
冴野と横に並んで座っての休憩中。
明るい色の縞々や水玉模様の動植物が視界に入った土羽梨は、チカチカと眼前で白い光が点滅したかと思えば、くらりと眩暈が起こったので、ゆっくりと手元へと視線を下げ、両の手に持つ、冴野から昼食にともらった黄トマトと胡桃のクッキーを少しずつ食べ続けた。
(そうそうすぐには慣れない、か)
黄トマトは干して乾かした物をクッキーに練り込んだのだろう。
黄トマトの濃厚な甘酸っぱさと、素焼きした胡桃の香ばしさ、クッキー生地の素朴な味が順々に口に訪れて、調和する事はなかったが、それぞれの味を堪能できて美味しかった。
土羽梨は腰に下げていた竹筒から、淡く透き通る水色の楕円形の粒、「水粒」と呼ぶそれを一つ取り出して、口に含んだ。すれば、閉じ込められていた水分が少しずつ溶け出して、喉を、全身を潤す。
一粒だけ飲み終えた土羽梨は深く長く鼻から息を吸い、深く長く、口から息を吐いた。十回続けて、ぶらぶらと両の手を揺り動かしてのち立ち上がると、お願いしますと、座っていた冴野に手を差し伸ばした。
はいと言った冴野は目を細め、座ったまま土羽梨の手を取ると立ち上がり強く握った。
「行こう」
「はい」
慣れるまでは仕方ない。
可能な限り、握っている手を見ないようにしながら、この世界の景色に慣れようとする土羽梨であった。
(2023.9.5)




