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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第二章
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第四十七話 明るい色




「あんまり目に優しくない国ですね」

「目を瞑っていても構わないが。こうして手を繋いでいるのだから」


 土羽梨は硬く握られている自分の手と冴野の手を見て、眉根を寄せた。


「………本当にずっと手を繋いでいないといけないんですか?」

「この光景に目が慣れるまでは」

「………」


 土羽梨が自分たちの手から視線を上げて周囲を見れば、明るい色の縞々や水玉模様の動植物たちが視界に入って、思わず眩暈が起きそうになったので慌てて視線を下げて、前を歩く冴野の砂色のマントに目を留めた。




 『焔の国』。

 身体を覆う皮膚や体毛、表皮などが明るい色の縞々や水玉模様の動植物は炎と氷、どちらの属性も持っているらしく、どちらにもあまり耐性がない土羽梨は特別な砂色のマントを身に着けていた。


(厳しい世界だと思っていたけど、まさか、視界にもここまで影響を及ぼすなんて)


 気を引き締めた土羽梨は、マントの胸元に飾っている一本の青色の羽を見つめた。


『オレだと思って、『緑の国』に帰って来るまで身に着けていてね』


 『焔の国』に行く直前、涙を滲ませてハシビにそう言われた土羽梨は、不意に落ち着かなくなった。

 癒しのハシビは一緒に来ないのだ。

 ずっと冴野と二人きりなのだ。

 ずっと。

 精神が持つだろうか。

 とても心配した。

 ついついハシビに一緒に来てと言いそうになってしまったくらいだ。


(まあ、今のところは、大丈夫そう)


 土羽梨は自分たちの手を視界に入れてしまい、せっかく平坦だった眉と眉の間に山を作ってしまった。

 問題なのは、この手繋ぎだ。

 視界に入れなければ、どうしてか、気にならない、つまりは、馴染んでいるという、とてつもない問題が起きてしまった。

 言うなれば、相棒である斧を掴んでいるようで。

 心強い、とも、


(………早くこの景色に慣れればいい)


 土羽梨は手から視線を外して、砂色のマント、景色、ハシビの羽を順繰りに見つめた。

 早く手を解きたかったのだ。











(2023.9.4)




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