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第三十八話 変身
木の根を吸収し始めちゃったんだ。
ハシビは泣きながら、言った。
駆け走る土羽梨が突然現れた木の根に浚われちゃったと思ったら、木の根が忽然と姿を消したんだ。
土羽梨の気迫に押されて姿を消しちゃったのかと思ったんだけど。
違ったんだ。
土羽梨に触れた木の根が、どんどんどんどん、どんどんどんどん、姿を消したんだ。
呼び寄せられるようにね、どんどんどんどん現れた木の根が姿を消したらね、土羽梨の様子も、どんどんどんどんおかしくなって。
身体がありえない方向に曲がるし、急に小さくなったり、大きくなったり、牙とか角とか翼とかも出て来たりして、身体が変身しようとしているみたいになって。
怖かった。
ちょっぴりワクワクもしたけど。
でもやっぱり、怖かった。すんごく怖かった。
土羽梨がいなくなっちゃうんじゃないかって。すんごく。
「怖かったんだよー!びえんびえんびえん!わおーんわおーん!ぎゃあんぎゃあん!ふやややんふやややん!ぴえんぴえんぴえん!」
「嘘か真か。どちらでしょうね?」
「………」
土羽梨は巡らせるべき思考をとりあえず放棄して、生きていてよかったとぼんやり思うのであった。
(2023.8.30)




