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第十六話 幻の存在
ギラギラにやる気で光が満ち満ちているようで。
シンシンと疲労で光が点滅しては消えかかっているようで。
(疲労が重なって異様な興奮状態になっていて、でも時々気持ちが途切れてのかも)
深閑とした心持で男性を見つめていた土羽梨は、自分も同じ瞳をしているのかと不意に思った。
例えるならば。
飢えた野獣の瞳と死んだ魚の瞳。
(ハシビの話では、今見えているこの人は幻みたいな存在で、本物はどこかに隠れているだっけ)
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
男性も口を閉じて、無言で見つめ合う事、十分。
不意に男性が言葉を紡いだ。
捜してみるか、と。
(2023.8.14)




