第二一話 Protection
夏ですが体調はいかがお過ごしでしょうか?
私はパソコンが死にそうです。
パーツを買い変えるのが先か、壊れるのが先か……。
あの後、何も問題が見つからなかったと言うことで学校が休校することはなかった。
しかし変わったことがある。警備の魔法師が増員されたことだった。軽く見渡しても明らかに倍以上に増えている。
これなあら安心できる。ほとんどの生徒はそう思っていたが、サクヤは楽監視してはいなかった。
けれど現状を変える力がないことを理解していた。
やるせない気持ちを抑え3人でまだ慣れないながら登校する。
昨日のことがあったせいで周りを観察するようになってしまった。
「あんまり気負いすぎると肝心なところで動けなくなりますよ」
それに気がついたのかハーツが小声に話しかけてくる。まさか元敵から助言されるなんてね。
「そうね。ありがと」
どうやらシエルにはどうやら聞こえていなかったようだ。
「面倒ごとが嫌いなら見捨てるという選択肢もありますが」
「それは……」
「ご主人様は平穏を望んでいます。しかし彼女の周りは果たして平穏なのでしょうか?」
確かに彼女の周りでは事件がよく起こる。デパートでのテロ、そしてドローンの襲撃関連性がないとは言えない。
所持している武器などを分解修理などできることはしたが。
サクヤ昨晩のことを思い出す。
今更だがサクヤとハーツは同居している。そのため整備などをしていると必然的に見られるのだ。
ハーツは並べられている銃を見渡す。G36C、HK416、SCER-Hなどの突撃銃からMP5、MP9、uziなど短機関銃、USP、やデザートイーグルなどの多種多様な火器が床に散乱していた。
気配で気が付いたのかサクヤはハーツの方向に向く。
「たくさんありますね」
「あら、銃なんてアメリカの通販サイトで軽く揃えられるわよ。軍用銃はまぁ、闇のないとこなんかないってね。案外至るとこであるわよ」
「しかし武装デバイスならまだしも重火器は届け出を出さなければなりませんので、不思議だなと」
「まぁ魔法側は科学技術に生理的嫌悪感があるのかしら。少なくても空港に金属探知機もないなんてね。だからテロリストが突撃銃を振り回してんのよ」
いくら日本でも海外みたくフル装備で警官が突っ立てないがそれでも金属探知機ていどは国境に(正確には陸地が繋がっていないので港と空港)置いてる。
「魔法師は基本的に無意識に魔法障壁を張っていますからね。銃弾程度防げると高を括っているからね。7.62をワンマガジン防いでから言えよってね」
科学もバカではない今では対装甲用に高速弾を開発していた。
と言うかそもそも20世紀後半から防弾チョッキが台頭し簡単に言えば人を殺すのに効率が悪くなった。かといって高威力の弾丸を使用すれば比例して反動が大きくなり狙いが定まらなくなる。
その結果生まれたのが6.82mmNATO弾と加速機構だ。
簡単に言えば6.82は5.56と7.62の間の性能をしているそのため使い勝手はまぁまぁよく威力もある
「ある意味5.56じゃ威力不足を感じていたからいい機会になったんじゃないの。それにこっちのやつはまだ金属鎧だしね」
それでも魔法に関する知識は後手に回る。
「魔法に関してはシエルに任せてはいかがでしょうか。天然でドジでですが魔法の腕と知識は一級品ですからね」
……。
「何ぼーとしてるの?早くいこ」
「そうね。行きましょうか」
学内もさほど影響はなく授業が行われた。意外だったのは機械を使わないことだった。
無論デバイスなどは使うのだが投射機などのなじみ深いものはないが、虚空に映し出す魔道具が各教室に配備されているようだ。
この先生は昨日の先生とは違いデバイスを操作できないためこのような投射機を使っているのだろう。
「さて前回は事故があり中断してしまいましたが、魔法の続きだったっけ?」
「はい先生」
「了解です」
先生はポケットから何かを取り出す。一目見てそれは紫いろのカートリッチに見えるが、端子やIC機器が入っている様子もない。それを投射機の上のくぼみにはめ込んだ。
そうするとテキストが浮かび上がってきた。
「皆さんわかっていることですが魔法には等級があります。威力、範囲によってランク図けされておりSからEまであります。加護も同じですね」
「加護?」
「加護の話はおいおいしていきますがS級は小国が亡ぶぐらいです」
そう言い画像を表示させる。表示された画像は辺り一面がれきの山となっていてかすかに焦げた跡から、炎系の魔法が使われているのがわかる。
「このように町が崩壊してしまっていますね。このような魔法を使えるのは世界で5人しかおらず、1年も準備期間をしなければならないようです」
確かにすごそうに見える。けれどそれぐらいの被害を出すのだったら核の方がいいはずだ。
科学技術が発展しこちら側には地球一周以上飛行可能で、核弾頭を装備可能な長距離大陸横断ミサイルが配備されている。魔法側はレーダーがないため発見はほぼ不可能で、大災害の影響で威力アップした核を耐えられるとは思わないし、耐えてたとしても放射線は魔法バリアを超えてくるため2次災害で落ちそうだ。
「A級は広範囲に影響を及ぼしますが破壊力はSより劣っています。都市を囲うバリアもその一つです」
バリアは半透明なガラスのような球体をイメージしてもらえばわかりやすいだろう。それにより対地攻撃を防でいた。
ちなみに突破するために最適なのは、バリア内に侵入して発生させているオブジェクトの破壊、一点に集中砲火をする、または破壊力のある攻撃方法をブッパなす。核やS級魔法がこれにあたる。
「基本的に個人で使用できるのはBからEまでです。対象に与える影響力によってランク図けされており、回復魔法は人体に多大な影響をもたらし、尚且つ繊細な操作が必要なので一番簡単なものでもC級ほどです」
『あのエルフは魔法に関しては我々の中でピカ一ですから』
ハーツの声が再生される。あのテロ事件時確かにシエルは私の腹部の傷を治していた。やや深めな傷を瞬時に直すのを視界に止めた。あんな……言い方悪いけど本当に魔法だけ完璧なのね……。
なんか馬鹿にされた気がする。そう感じたのかシエルはハーツをにらみつける。その視線に気が付き、薄いピンク色を挿した唇に手を当てる。わざと歪んでいるのを見えるように角度を調整してるのはもはやある意味才能だろう。
バチられて中心にいるサクヤに関しては迷惑極まりないのだが。
「細かいことを挙げるときりがありません。デバイスが操作できない人用に紙の教科書が行くはずです」
「一つ質問よろしいですか?」
声を掛けられサクヤの方に先生が振り向く。
「加護について説明されていません」
「あ、そういえばそうでしたね。それを説明していませんでした。加護は主に神から愛されたものだけが贈られる力です」
神……そんな都合のいい存在がいるのだろうか?そんな疑問が過ぎるが頭をふるい向き直る。
「様々なものがありますよ。例えば風よけの加護という害意がある攻撃を自動的にはじいてくれるのです。そのほかにも――」
加護か。私にとって未知数なものだ。
特殊能力をコストなしで使ってくると言う認識で良いのだろうか。
もし加護持ちと合間見えるならこれまで以上に用心しなければならない事が明白だ。
「基本加護は一人一つが基準ですが、たまに加護を複数持つ者もいます。もし戦闘をすることがあれば真っ先に逃げることをお勧めします」
「見分け方はないのですか?」
「見分けたはあります。しかし教会などの大規模施設が必要になってくるので単独で判別は不可能といっていいでしょう」
「風よけの加護だったら殴って不自然に反れたらわかる?」
「そういうことは可能でしょう。しかしそれはわかりやすい場合であって外見に出ない加護では無理です」
なるほど。
情報がわからないことは恐怖でしかない。一歩遅れれば人など簡単に死ぬ。
様々なものを持ち込んでいるが対応できるのか。サクヤは授業を聞きながら喉を鳴らした。




