第十九話 drone
あの部屋に集まり、情報収集をしていたがそれ以上に情報は集まることはなかった。
窓を見ればもう2つの月が上っている。
「せめて外見が分かれば型番に近ずけそうですが」
「時間も時間だし取りあえず何かあったらチャットで連絡しましょう」
「はいー」
シエルが自分の部屋に戻っていくのを見守り鍵を閉める。
するとタイミングよく音楽が鳴る、どうやらお風呂が沸けたようだ。(最近は日本外でも、シャワーとお風呂が一緒にあることが多い)
「ん、沸けたわね。先入っていいわよ」
「ですが……マスター。と言っても……わかりました。上がり次第お向いに向かいます」
軽くハーツに向かって手を振う。ハーツはうさ耳をひょっこりさせながら脱衣所に向かった。
そして脱衣所のドアが閉まったところでため息を吐き、楽な姿勢を取る。
背もたれに身体を預けサクヤは思考に吹けていく。
デザインチャイルド計画と呼ばれるもので、いわゆるクローンを作成し前線で戦せる……。
『遺伝子組み換えを人に初めてした前例は中国で、2018年ではもうやっていたそうですよ』か。
確かに遺伝子組み換えは出来るのであろう。けれど兵士として使うためには、ある程度成長させなければならない。
しかし安定性がない事が欠点だったはずだ。
それも戦争初期(2022~2030)。成人まで持って行けるのか。
持って行けたとしてもある程度時間がかかる。ましては人工出産装置|(大きい筒上の物)が作れるのか?
「あぁ……研究所なら」
そうだ、当時様々な実験をしていた狂信者なら。
「これは……調べるいいきっかけになったと考えればプラスか」
◇
翌日も何もなく3人で、モーターカーに乗り登校する。
周りを見てみると制服7割、私服3と圧倒的に多い。
……私も制服の方がいいのだろうか。
そう思いシエルを見る
白を基本とし所々に蒼く染められ、黄色いリボンが付けられている。
私が着ると一週間でぐちゃりそう。
「なに?」
「なんでもないよ」
そのようなやり通りをしているともう教室についていていた。
授業が始まるまで暇をつぶし、チャイムが鳴る。
そして、眠たそうに先生が入ってくる。
「ん。どうやら全員いるようですね。では授業を始めましょう」
そう言い虚空をなでる。
そうするとピコンと音が聞こえウインドウが出てくる。開いてみるとどうやらテキストファイルのようだ。
なるほど、デバイスがあるから紙でやらなくてもいいのか。
「さてみなさん、ファイルは届きましたね。それでは魔法についてです。魔法とは何でしょうか、ハーツさん答えてください」
そう名指しされた彼女は立ち上がる。
「魔法は簡単に言えば空気中の魔素を取り込み、マナを使い自然現象などを人為的に引き起こす現象だと思われます」
「正解」
回答した彼女は音を立てずに着座する。
「では、魔素とは何か、サクヤさん」
名前を言われたので返事をしながら立ち上がる。
「魔素は2022年に起きた大災害以降に確認された、空気中に含まれるエネルギーです」
「そうです。大災害前は魔素もなかったですし、当然魔法なんて物は創作物上でしかありえませんでした」
そうして画像が表示される。それは私にとって見慣れた光景が広がっている。どうやらひと昔前の各国首都の町並みだ。
「しかし大災害によって都市部。正確には人口密集地が突如消し飛び、通信がしばらくできなくなったそうです。その間、各国は無政府状態……国家を回してる首都が消えたので当然ですね」
次に画像が表示される。たぶん町があったのだろう、しかしそこに映るのは不自然に丸く切り取られた陸地。スカイツリーやエッフェル塔などの建設物も形も影もない。
「内戦があったり、戦争があったりいろいろあったんだけど……それは後で。で、2025年当時、日中戦争時に中国北部喀什市に謎の生命体が現れたの。それがいわゆる魔物と言う訳」
先生の話を聞きながら文を読み進めていく。
当時混乱していた日本を見てチャンスだと考えた中国は、北朝鮮と韓国に同盟を持ち掛け日中戦争が勃発した。
同盟国(正確には日本また韓国が所属している同盟は、北大西洋条約機構(NATO)ではなくその傘下組織である)韓国の裏切りや、世界情勢の変化によって日本は尖閣諸島や、竹島を占拠されて行ってしまう。(正確には2か国はNATOに所属していないが独自の協力体制が敷かれている)
このままでは上陸されてしまうと予想されていたが、アメリカを中心とする連合軍が到着し戦線は膠着し、のちに停戦(停戦であり戦争が終わったわけでわない)。
「それに気が付いた中華人民軍は前線から師団を引き抜き対処に当たらせた。それに気が付いたアメリカ各国は偵察部隊を出したかった。けれど中国側はその要求を拒否したの。どうしてだと思う?」
とハーツに指を指す。
「当時、ドラゴンなどの飛行可能種や対空手段を確認できなかったからです」
「それは半分正解よ。確かに当時は航空戦力がなかったから空爆によって殲滅できたのだけれど、それ以外にも技術を独占したかったからと言うのが本音よ」
色々な国も自国の利を欲する。
建前上は協力と言ってきた米も本当はモンスターの情報が欲しかったのだろう。
「けどねそれが上手く行ったのは1年ちょっと。ドラゴンや魔法を使うモンスターの出現によって制空権は奪われてしまった。戦線は瓦解し、最終的に核を使ったのだけれどもダメだったの」
そう言い終わると先生は一度視線を外した。
「ん……どうやら時間のようだね。次は魔法実習よ。遅れないように」
そう言い残し教室から去って行き、扉が閉まると同時に授業の終了時間が聞こえてくる。
なるほど……視線を外したのはデバイスで時間を確認したからか。
授業が終わり辺りは2つの生徒に分かれている。言わば友人とワイワイ話しているか、早めに実習室に行くかだ。
私は手早く荷物をまとめ実習室に歩みを進める。正直に言って会話は苦手だ。特に初対面の人とか。
まぁ、ぐいぐい来る人もいるが……。
ちらりとシエルの席を見れば、多数の生徒で四方を囲まれていて耳をすませば、魔力凄いねや何処から来たのとか。
シエルは囲まれて動けないようだし先に行こうか?でも無断に行ったら騒がれそうだ。
『シエル。人気ね』
『え?ま、まぁ。じゃなくて助けて。うーごーけーなーいー』
『その人込みに突っ込めて言うの?まぁ先に行ってるから後で合流しましょう』
「ちょっとぉぉおお!!」
肉声を上げた彼女を無視して教室を出る。どうやらハーツもどうやら身動きが取れないようだ。
白色の廊下を進む。
しばらく歩いていると広い空間に出た。パット見渡すと体育館ではなく中世ヨーロッパの闘技場を彷彿とさせる。
クラス全員が集まったを確認しオルテンシアが。
「じゃ、始めようかルールは簡単ドローンを多く撃ち落とした方が勝ち。お祭りの射的ゲームとおんなじ感覚でいい。ただし魔法以外での破壊は認めないわ」
それを聞いた生徒は拡散していく。
……どうしましょうかねこれは。私魔法ほとんど使えないのだけれど。
「ではいいね。どん!」
そういった瞬間空に無数のドローンが飛び立つ。
魔法があるからゴーレムとかそんな外見を想像していたのだけれど、普通に回転翼を利用した円形のやつか……。反撃もしてこないし車並みの速さじゃない。撃ち落とせそうね。
周りを見てみれば投げ槍の型に似た物を炎や水で形造って打ち出しているようだ。どちらと言えば数撃ちゃ当たる精神。
サクヤはとりあえず地面に落ちている手ごろな石を拾って構えた。
サクヤが使える簡単な魔法を唱えながら。
「我が速さは疾風の如く、加速」
加速はその名通り、物体に付与または空中に設置でき、付与された物または触れた物の運動エネルギーを増加させる。つまり速くなる。
その放たれた石は狙い道理メインローターの留め具を破壊し、大きく体制を崩したドローンは浮力が足らず墜落していった。
「よし」
サクヤは順調にドローンを落としていく。
……やっぱり一撃が軽い。
基本的にサクヤは物体の重さ×物体の速さ=威力と考えている。速さが十分なのだが重さが軽く破壊し切れていないことがあるのだ。それに石はもろくブレード部分に当たり有効的ダメージを与えることなく砕け散る物もあった。
しかし魔法は狙いが甘いが一撃で破壊できるほどの威力があり連射が可能。
圧倒的に不利だ。
「あー、どうしょかなこれ」
半ばあきらめかけて周囲を見渡していたその時。
1つのドローンが超スピードで墜落……いや突進しているのだ。その進行方向を追うと見っしたエルフ。
一気に加速してシエルの前に立つ。
「え?サクヤ……ってわぁ!!」
サクヤが寄って来てこちらを向いた事によりやっとドローンの接近に気ずいた様だ。
しかしもう距離が近く回避行動をしても逃れられない可能性がでかい。
「どっせい!」
サクヤは足を振り上げ突っ込んできたタイミングに踵を叩き落とした。
バンと金属が悲鳴をあげ、ドローンは金属板を歪ませ停止した。
大きな音がしたせいかかなり人が集まってくる。
「大丈夫怪我ない?」
と、オルテンシアがシエルに駆け寄りべたべたとさわっていく。
「だ、大丈夫ですから」
「ならよかった。けど後で医務室」
「はい。サクヤは何してるの」
「調べてるのよ。これを」
そう言いながらドローンを見ている。
「軽く見ましたが魔法、魔術的痕跡は見わたりませんでした。ご主人様」
とハーツが耳元で囁いてくる。
「先生これは一度授業を中断し原因を調べたほうがよろしいと思いますが」
「そうですね。ハーツさん。わかりました一旦教室に戻りなさい。シエルさんとサクヤさんは私と一緒に医務室へ」
そうして私たち二人は医務室へ。
「いえ私もついて行きます。マスターあるところ私ありですから」
訂正。三人は医務室へ歩いて行った
魔法:加速(アクセル)
効果:この魔法を付与及び触れた者は一瞬、運動エネルギーが高まる。
簡単に使える魔法の一つであり魔法消費も少ない。基本的に接近戦を好む魔法師がよく使用する。
ただし、サクヤは自身に対して基本的に魔法を使わない。




