第十八話 Designer child
資格取るのってめんどくさいね。
体調不良なのは相変わらずですけど……。
「で、さっきの男たちが言っていたDCて何?」
帰路につき、リニアモーターカーに乗ったサクヤは、知識がありそうなハーツに聞いていた。
「あまり、往来で話せる内容ではないので」
と言いハーツはサクヤの髪飾りを指でつついた。
そういえば髪飾りはデバイスだったな、と思っていると眼前に<ハーツがフレンド登録申請をしました>と半透明のウインドウが表示され、<フレンドになりますか? Yes or NO >と続いて選択肢浮かび上がる。
すこしためらいながら、虚空をつついた。
『あーあー、聞こえていますでしょうか?聞こえているなら何も言わず頷いてください』
と声が頭に響く。
体感したこともない感覚に気持ち悪くなりながらも、小さく頷いた。
『了解。……どうしましたか?まさか、<チャット>をしたことがないのですか?』
「チャット?文字のやつ……ではないわね」
『わかりやすく言えば電話でしょうか。チャットは肉声で発するのではなく、脳波で何が言いたいかを判断し送る。肉声ではないので盗み聞きもされませんから、内緒話にはもってこいですね。まぁ、盗聴される可能性がありますが』
ちなみに文字は今でもメールとして使えます。と、ハーツが教えてくれる。
『ちなみに通話をしたければ、伝えたいと思いながら言葉を思い描くだけで可能です』
『こう?……何だかなれないけれど』
『えぇ、聞こえていますよご主人様』
脳に声が響いてくる感覚は言葉に形容できないが、慣れたら便利そうだな。
「なんか内緒話してない?」
と横から声を掛けられて振り向くと、シエルが頬を膨らませ、いかにも私怒ってますぅ!と言うオーラを漂わせながら近ずいてくる。
そのまま手を引きハーツから遠ざけさせた。
「内緒話で何してんのかな……ねぇ、サクヤ」
『チャットに距離は関係ありませんが……このエルフ……ブチころしッ』
「そう言えばフレンドしてなかったね。しよ」
「あぁ、はいはい」
シエルからのフレンド要請にYesを押して流した。
『で、何話してたのかな?』
『会話にわりこまないでください。不愉快です』
取りあえず、さっきの男たちが言っていたことについて討論していたことを打ち明けた。
シエルから何か情報は出るかなと思っていたのだが。
『わかんない!』
……。
だから、嫌だったのですとハーツがため息をついた。
『そもそもDCは科学で、エルフたちは魔法しか知りませんから』
『……偏見入ってない?』
『取りあえずデバイスは思考で操作できます。で、何でチャットにしたのかはDCが差別用語だからです』
『なるほどね……ブライトネスは多種族がいるからめんどくさくならないようにと』
『はい。いちいち絡まれたら面倒ですし。取りあえずネットに接続しましょう』
ネットに接続。そう思っていると視界の右にバーが表示される。
起動しますか?とシステムメッセージが出され、はいを選択した。
円形の読み込みが過ぎるとホーム画面がでる。
『できたみたいですね。ではDCと検索してみましょう。すぐに出ますから』
検索欄にDCと入力し決定。
すぐに約200.000件の検索結果がヒットする。
一番上にあるインターネット百科事典を閲覧する。
『なるほど、差別用語的な奴だったのね』
記事の内容を要約するならば。
大災害以降、急激な人口低下とともにモンスターの襲撃を受けていた。
人的資源が少なくなっていた政府はある計画を打ち出した。
それがDC。
デザインチャイルド計画と呼ばれるもので、いわゆるクローンを作成し前線で戦わせようと言うことだ。
遺伝子組み換えで作られた子供たちは真っ先に、突撃していった。
しかし魔法師の出現やコストがかかることや、クローン体が市民権を獲得した事により社会的に存在が認められている。
『以外ね。遺伝子操作を人にするなんて……。でも、いっつも人道的にうんたら言う団体はどうしたのかしら』
『遺伝子組み換えを人に初めてした前例は中国で、2018年ではもうやっていたそうですよ』
『へぇ』
『昔は使い捨ての駒の扱いでしたが、今では人生の勝ち組と言われています。優秀ですからね、就職先にも困らないでしょう』
まぁ、会社も優秀な人を取るし、だから就職先を取られないように過激テロ、思想を持つと。
何とも皮肉なものだろう。自分で作った者に追いやられるなんて。
『でも、優秀だからってポコポコ作ってたら飽和するわよ』
『今では規制され、政府の許可なしには作れませんよ。ただ、裏社会的には好みの容姿に設定できると言うことで、高く売れるのだとか』
『うっわぁ』
『はいはいエルフは黙りましょうね』
サクヤは小さく咳ばらいをし。
『取りあえずわかったわ、で?どうするの正直面倒ごとの匂いしかしないのよね』
『まぁ、時は金なりです』
『え、かわいそうだよ』
『かわいそうって、シエル……。容姿だってわからないのよ。どうやって突き止めるのかしら』
そう、あの路地は薄暗くちょうど陰になっていた。それにデバイスを使っていたのか全体図がかすんでいた。
ピンポンと車内に響く。
窓に目を向けるとどうやら、目的地についていたようだった。
「ま、あきらめなさいな」
シエルの肩をに手を置き、列車から降りた。




