ベスト オブ ベスト
5月15日 水曜日 23時23分
電卓やメモ帖の置かれた
ピンクのちゃぶ台の前に座り
ビールを開けるカオル
「お疲れー」
「お疲れ様でした」
缶ビールを一口飲むと思い出したように
アタルのアパートで報告会が始まった
「あっそや先に結果言うわなー
えーと…どんな感じで言うたらエエんかなー
ちょっとアタルから言うてみてやー」
(あっそうか…今日が初日やもんな
ついいつもの感じで任せてまうわ)
そう言われ改めてアタルから報告を始める
「はい、えーと今日は1万1千円投資の
2062枚で16100です」
「おー…投資と枚数とプラスの金額かー…
えーと5千円投資の4471枚で53800やなー…ほんでー?」
電卓を出し計算しながら説明する
「で16100と53800を足して69900で
2人合わせて20時間やから時給3495円でしょ
ほんならカオルさんが13時間で45435円
自分が7時間で24465円
ほんで端数切って45000円と24000円です」
それを聞き感心したように頷くカオル
8千円をアタルに渡しながら言った
「へー…ほんなら今日はアタルに8千円渡したらエエんか…なるほどなー
これやったら確かに上手い事行くなー
はい確認してなー」
それを受け取りながら経緯を伝えるアタル
「あっはい……確かに
初めは百円単位も計算してたんですけどね
どうしても両替行かなアカンようなるから
これに落ち着きました」
「俺もこれでエエわー
小銭まで計算してたら財布重なるもんなー…でも時給かー何か本格的やなー」
「時給言い出したのはカズヤさんなんです
初めは2対1で分けてたんですけどね
自分が昼からやったり夕方からやったりで
時間バラバラなんで
それやったらバイトみたいに時給でエエやろって…そっからですね
自分はカオルさんと一緒で両替行くの嫌やから最後に端数切りましょって言うただけで」
「ハッハッハ流石カズさんやなー
デッカい身体して1番キッチリしてるわー
流石会計担当やなー」
一旦収支報告を終えて
[モグモグ]と書かれた大学ノートを取り出しカオルに差し出した
「ホンマですね
ほんでこっから大体の明日の台決めで
まずはモグモグからですね
あっほんでこれがここ1カ月の6の動きです
多分明日は……382ですかね
これ見る限り380か382やと思います
でも382の方がちょっと濃いでしょ」
そのノートを見ながらカオルも感想を話す
「ふーん…んーそうやなー…
この左端はホンマに設定入らんのやー…
1カ月で2回だけかー…へー…
でも今日の打った感じモグラにも2台はエエ台ありそうやなー
381もようバケ当たってたでー
あんま出て無いけどー」
「多分6は1台なんですけど
4か5も1台入ってると思いますわ
配分的には65111とかちゃいますかね?
何回か2人で5台全部判別しましたけど
判別落ちるんはいつも1台だけでしたから
まぁ6以外は判別出来ひんからそこは微妙ですけどね……」
この辺りから話は台の特徴へ
「そうやねん…そこが難点やなー
カエルは5も判別出来るからそこが強いわー
判別効いてるわなー」
「それに出る台両方共2人で打ったら
すぐ設定落ちそうやし…
だから一応カエル取られへんかった時しか
モグモグは2人打てへんって決めたんです」
ここでカオルが少し気になった事を尋ねた
「その方がエエやろなー
もしモグラに6消えたらどうすんのー?
タラレバ言うてもしゃーないけどー」
すると堰を切ったように答えるアタル
「その時はピンクパンサーですね
それもアカンかったらダイバーズで
それアカンようなったらカエル2人で打って
それアカンようなったらちょっと遠いですけどCA店でチャンピオンカップとカエル
それアカンようなったらIK店でカエ」
ほんの好奇心からした質問を後悔するカオル
「ち、ちょっと待ってやー……
俺が悪かったからー…アタルにタラレバ言うのはやめとくわー」
「ハハハいやスンマセン
前にU店アカンようなった時にエラい困ったもんで…それからなるべく出来る事増やす様にしてるんです」
「ハァー…アタルって真面目やなー…」
「ハハハそれカズヤさんと一緒の事言うてますね」
その後
明日の狙い台を決め
初めての報告会は終了となった
本日の収支(N店ニューパルサー515番台)
総投資11000円
回収27100円トータルプラス16100円
????回転 BIG19回 REG12回 2062枚
判別結果 設定5
組み打ち計算後
トータルプラス24000円
報告も終わったところでアタルがカオルに
切り出した
「ハハハ…さてほんならどうします?
晩飯食ってから帰りますか?
それともこのまま帰ります?自分はどっちでもいいですけど…」
しかし何故か泊まる気のカオル
「えー……なんで帰る前提なんよー…
ビール飲んだし泊めてえやー」
「え?…いや別にいいですけど……
この部屋テレビ無いですよ?いいんですか?」
(男にそんな事言われても嬉し無いセリフ
ナンバー1やな…)
そこからカオルに素朴な疑問を尋ねられる
「今日はエエわー見たいテレビ無いし
って言うかやー…前から聞きたかってんけど
アタルって何でテレビ置かんのー?
テレビに恨みでもあるんかー?」
「いや恨みて……そんなもん無いですよ…
自分別にラジオの神様とかちゃうんで…
正確に言うとテレビ置かれへんのです」
「置かれへん?何でー?」
「いや置いたら受信料払わなアカンでしょ?
この部屋の名義自分ちゃうんで勝手に契約なんか出来ませんやん…だから無理なんです」
(あのババアが元から払ってたらそのままいけたけど…今更無理やで)
その答えに一度は納得した様に見えたが
急に声が大きくなるカオル
「あー……そうか忘れとったわー………
そうやなー…………んー?………
あ!……あー!!そうやー!!!」
夜中ということもあり
それを宥める
「ち、ちょっと!?
ど、どないしたんですか?
夜中やから静かにして下さいよ…」
謝りながらも
なにやらアイデアを思いついたらしいカオル
「あー…ゴメンゴメン……でも!
めっちゃエエ事考えついたわー!」
しかし何故か嫌な予感が止まらない
「凄まじく嫌な予感がするんですけど……
一応聞きますわ……何ですか?」
そして予想通りの発表が始まった
「ハハハ大丈夫やってー
俺が引っ越してこの辺に住んだらエエんやー
ほんで1部屋貸すからそこにアタルが住んだらエエやんかー…いやー簡単やわー」
それをやんわりと断るアタル
「あのー…それは残念ながら無理ですよ?
そんなんしたら万が一の時にカオルさんが
捕まりますやん」
「えー!!何でなん!?ホンマにー!?」
納得がいかない様子のカオルに説明する事に
「確か成人してる人の家に14歳の子が親の許可も無く長期で泊まったら下手したら誘拐とか未成年者掠取とか疑われる筈ですから
まぁ1泊ぐらいやったら保護とかもあるから
結構グレーゾーンなんですけど…
今の状態やったら一応オトンもここに住んでるって知ってる訳やから問題無いですけど
要は内縁の妻名義で借りてるアパートに息子を住ませてるって事で大した罪にはならんと思いますわ…まぁ生活費ゼロは大問題ですけどね?ハッハッハ」
(流石に万が一やけど…これ以上カオルさんに迷惑掛けられへんで)
「そうなんやー…でも逆はエエのー?
アタルの部屋に俺が泊まるのはー?」
「それは多分大丈夫ですよ
よっぽど特殊な場合やない限り
14歳が名義のアパートなんかありませんから
息子が勝手に部屋に友達泊めただけですよ
問題無いでしょ男同士やし」
やっと納得して貰えた
そう思ったのも束の間
またしてもカオルの声が大きくなった
「ハァーそうかー…エエアイデアやと思たんやけどなー………でもなー……
いちいち帰るの面倒臭いねんよなー……
………あー!!……わかったー!!……
これやー!アタル!完璧やー!!」
再び宥めるアタル少しミヤマサを思い出す
「ち、ちょっと!カオルさん!声デカい!」
(マサやんみたいやな…)
「あっ…ゴメンゴメン…つい…」
もう何を思い付いたのかが
全くわからない段階まで来た気がしている
「ほんで何が完璧なんですか?」
(今度は何を思いついたんや?)
そして凡人にはわからない
謎のアイデアが発表された
「そうや!これやってー
だからなー?俺がこの近くに引っ越して
そこで報告会したらエエやんかー
ほんでメシ食って報告会終わった後で
アタルは部屋帰ったらエエんやー
どや完璧やろー?」
頭の中で要約し確認へと向かう
「えーと……話を聞く限りでは……
毎日テレビ見たいが為に引っ越すって聞こえるんですけど……」
(間違いなくそうやろ……本気かいな…)
しかし何の躊躇いも無く答えるカオル
「違うってー家近い方が何かと便利やんかー
いやーエエ事思いついたわー
早速明日から片付け始めなアカンなー
荷物少ないからカズさんに頼もうかなー」
「いや……まぁカオルさんの自由ですけど…
ホンマに大丈夫なんですか?」
「大丈夫やってーもう決めたからー
あっ心配せんでもアタルがメシ作ってくれた時はちゃんと金払うからなー
いやー良かったわー」
そう言って笑うカオルに
掛ける言葉は見つからなかった




