2時限目 三大要素
23時49分
0時まで後10分と数十秒
そんな時間だということを無視したかの様な
醤油の焦げる良い香りが部屋中に漂っていた
アタルの作った焼き飯をガツガツと掻き込み
ミヤマサが感想を言う
「旨い!これ旨いな!」
それを聞き
アタルは嬉しそうに具の解説をした
「ホンマに?そら良かったわ
チリメンジャコと大根菜も入ってるから栄養もあるし安上がりなんやでハッハッハ」
そう言って笑うアタルを
変なモノを見る様な目で見ている
「アタルお前…定食屋のオバハンみたいやな…」
「誰がオバハンや!失礼な…」
「いやホンマに俺がしょっちゅう行く
定食屋のオバハンも言いよんねん
栄養満点やで!言うてなハハハ
せやけど何で焼き飯て言うんや?
チャーハンとはちゃうんか?」
「えっ?…いやそれは正確には知らんわ
なんか勝手に醤油味が焼き飯で
塩味がチャーハンて思てたけど…
ちゃうんかな?」
「いや俺に聞かれても…知らんわ」
「俺も知らんわ…」
そんな会話をしながら遅い夕飯を食べ
いよいよミヤマサの質問に答える時間
タバコに火を点け
フゥー…
と煙を吐き出しながらミヤマサが尋ねると
アタルの回答が始まった
「なぁアタルそろそろ聞いてエエか?」
「エエで何から聞きたい?」
「ホナまずは1個目や
お前俺が判別やろうとした言うた時
3つぐらい原因ある言うてたやろ?」
「あーでも1つはわかるやろ?
ちゃんと判別の手順を正確に理解して無かったからやんか」
「あぁ そらわかったわ…言われた通りやったら出来たしな」
「ほんなら2つ目や
マサやんは判別どこの店でやったん?」
「えっ?U店のコンドルでやったけど…」
「それやそれ
打ってる時も言うたけど
U店は1月からあの状況なんやで?
そんな店のコンドルに設定6なんかある訳無いやん、無いもんは探されへんで」
「そ、そうか…無かったら…出来ひんわな」
「ほんで3つ目や
なんでコンドルの判別したん?」
「そら本に書いてたからや
ちゃんと打ったら設定1でも勝てるし
設定6やったらもっと勝てるんやろ?
俺モーニングはよう打ってたからな
一応7は押せるし出来るて思たんやけど…」
「マサやんコンドルはな
設定6しか判別出来ひんねん
本にも書いてたやろ?
設定1でも勝てるって客がわかってる台に
設定6なんか入るかいな
要は選んだ機種も悪いんや…それが3つ目」
「ハァ…なるほどな…
判別のやり方は間違ってる
設定6無い店でやってる
ほんで選んだ機種も悪い…
だからアタルはあの紙の奴でやっても一緒やて言うたんか…」
「まぁ大まかに言うたらそういうこっちゃ
台の知識と技術と店選び
この基本の3つが無かったら
判別なんかいつまでたっても成功せんで」
「台の知識と技術と店選びか」
「そや、まず台の知識
通常時はどこ狙うんか?
ハズシはどこでやるんか?
リーチ目は?判別は?確率は?
1日打ったらナンボ勝てる?
マサやんは今日打ったニューパル
店に来た時点で何個答えれた?」
「うーん…ゼロやな」
「せやろ
ほんでマサやん俺と初めて会った時覚えてるか?」
「当たり前や忘れもせんわ
S店のビガーやろ
俺に隣の台ナンボ入ってるか聞いて来て
後で引き戻し教えたやんけ
………あっ!あれも台の知識か!」
「そや あれも台の知識や
ビガーはどんな仕組みなんか
どこが天井で、どこがヤメ時なんか
裏モンは普通の台とはちゃうんや
特に台の知識が大事なんやで」
「ホンマやな…アタルに言われんかったら
俺がヤメた後に座った奴がすぐに連チャンさせたやろうし…
アタルの台を前に打ってたオッサンも
もうすぐ当たるて分かってたらヤメへんかったやろうしな」
「知ってるだけで金になるってわかるやろ?
だから最悪でも自分の行く店に置いてある機種だけは全部知っとかんとアカンねん」
「なんやスロットで勝つのて大変やなぁ…」
「何を言うてんや…まだまだこっからやで
次は技術や」
そう言うと一口コーヒー啜り
次の話題に切り替えた
早速ミヤマサがボヤく
「技術なぁ…1コマ押しムズいねんよな…」
「いやそれは長い事打っとったら
勝手に上手なるから大丈夫やで
俺の言うてる技術はそれだけちゃうねん」
「え?目押しやろ?」
「勿論それもあるで
でもな、それだけちゃうねん
店とか常連に目ぇつけられんようにしたり
周りの台チェックしながら打ったり
店の設定変えるパターン探ったり
そういうのも技術や
特に俺らなんか18なってないんやから
目つけられたらアウトやで?」
「あ……だからアタル…
俺に何遍も静かにせぇ言うとったんか…
スマン」
「いや初めて判別出来たんやから今日はしゃあないわ俺もそうやったし
でも1人で打ってる時でも騒がん方がエエで」
「ホンマやな…気付けるわ」
「ほんでこれは俺もある人から言われたんやけど…
店を出禁になる一番の原因は常連とのトラブルなんや
だから常連客とは仲良くして
目押し頼まれたら気前良くやるんや
開店前にちょっと雑談したりな
あっそれから!店の周りの女には手ぇ出したらアカンで!」
「えっ!?な、何やねんそれ!?
スロット打つ奴は誰とも付き合うないう事か!?」
「ちゃうわ!!……よぉ聞いてや……
店の周り言うてるやん……
店員とか常連の女とか色々おるやんか
そういう女に手ぇ出した男がその関係で
店とか他の常連と揉めて出禁喰らうのが
多いんやって
だから女作るんやったら
店と関係無いとこで作れ言われたわ
マサやんも気付けや」
「な、何やそういう事か気付けるわ」
(まぁマサやんに彼女出来んのは……やめとこ…頑張りや未来は変わるで……たぶん…)
的中率の高過ぎる予言をグッと引っ込め
最後の話題に入る
「ほんで最後に店選びや
自分の条件に合う勝てる店を探すんや」
「なるほどなぁ…せやけどそんな店あるんかな…」
「それを明日探しに行くんやんか
大丈夫やって俺も付いて行くから
一応ポイントだけ教えとくわ」
「おぅ頼むわな」
「まず一番大事なんは高設定使ってる店や
まぁこれは当たり前やな
無い店で判別やっても無いもんは無理やし」
「それは今日身に染みてわかったから大丈夫や!次は?」
「い、いやそんな自慢気に言わんでも…
次はライバルが少ない事や
あんまり大人数でやったら店はすぐアカンようなるからな」
「そんなすぐアカンようなるんか?」
「なるでU店なんかエエ例や
実はな俺N店行く様なる前まではU店おったんや」
(まぁ終わった事やし言うてもエエやろ)
「えぇ!?あんな遠い店おったんか
だから知ってたんかコンドルの事」
「そうや 初めはずっと俺1人やったわ
それが段々コンドルに客増えて来てな
ドンドン設定下がって来て
6も無くなって全体的な確率も下がって
正月明けた頃には終了や
たぶん今は全台設定1ちゃうか?」
「全台設定1!?そんなん絶対勝たれへんやんけ!」
「ところがそうならんのがコンドルの凄いとこや、本にも書いてたやろ?設定1でも勝てるって」
「あっそうやったな」
「まぁあれは等価交換での数字やからな
この辺はナナロクやからだいぶ下がるけど
まぁ一日中打ったら…7〜8千円ぐらいは勝てるんちゃうか?計算上やけどな」
「えっ?結構エエやんけ何でアタルはやらんねん?」
「いや俺ら学校あるやん…朝から行かれへん日の方が多いのにどうやって打つんよ」
「あっ…そうか……ほんなら俺やろかな
アタルも春休みの間だけやろや」
「別に止めはせんけど…
8千円を13時間で割ったら時給615円やで?
俺は今の方が稼げるからヤメとくわ
マサやんも普通にバイトした方が稼げるからそうしたら?ファミレスで高校生750円やったで」
「ホンマやな……」
「わかってくれたみたいやし
最後いくな?最後は狙える機種がある事や
これはそんなに難し無いやろ
台の知識があったら大丈夫やからな」
「えーとニューパルとかクランキーコンドルとかやろ?」
「そうそう 他にも色々あるんやけど
やっぱりニューパルがオススメやな
大体何処の店行ってもあるし
今の若い奴は皆んなコンドルに夢中やから
結構エエ台あんねん
常連さんが付いてる店やったら設定56使ってる店も多いしな」
「アタル正直に言うてエエか?」
「何?なんか質問?」
「いやお前が一番若い奴やと思うねんけど」
「…………ホンマやな…」
長い夜はまだ始まったばかり




