第4話 七つ時分の装鞍所 ヒント編
全寮制の中高一貫男子校。
高校一年生。
期末考査の結果に、島根琥太郎ことオレは、自信を取り戻していた。
平均を十点以上も上回った。
特に数学は良かった。
今回の結果は、
「高等部入学なのに普通なんだね」
中間考査の結果を教え合った時、そう言い放った同室の斑目冬馬への競争心のおかげだ。
因みに、斑目冬馬は陸上部で中距離を走っている。
みんなからは『競走馬』とイジられていた。
◇
オレが趣味の詰将棋をしていると、部活から斑目が帰ってきた。
「お前、期末どうだった?」
見せられた結果用紙に並んだ点数はオレをさらに十点ほど上回った。
絶対勝てる、とは思ってはいなかったが、こうも鮮やかだと眩しい。
部活のせいで、オレより勉強時間が短いくせに。
悔しいが、秀才とはそういうものだ。
オレは知っている。
凡人は精々、足掻くしかない。
元来ポジティブなオレは、劣等感にふんわりと包まれるだけで済んだ。
◇
斑目が大会に向けて練習量を増やしている。
そろそろ夏休みだ。
オレが自室の机に広げている、詰将棋の盤上から、玉将が消えた。
斑目が隠したのだ。
夜八時をすぎて、斑目が帰ってきた。
斑目は夕食後にもトレーニングをしていた。
「玉将の場所は?」
オレが聞く。
斑目はニヤリと笑った。
「ヒント」
そう言って、人差し指を立てる。
「七つ時分の装鞍所」
そして中指。
「陣地の9一」
薬指。斑目の指はすっとしている。
「ミノムシ」
斑目は笑みを深くした。
「以上」




