第10話 ネコの学ぶ4のつく部屋 ヒント編
全寮制の中高一貫男子校。
高等部1年4組の教室では、「大富豪」という名の心理戦が繰り広げられていた。
その戦いに参加する島根琥太郎(しまねこ太郎)ことオレは、手に持ったカードと場に出ているカードを見比べ、悩んでいた。
「2」は全て場に出たはずだ。
「キング」は後一枚、誰かが持っている気がする。
一枚ずつ積み上がった数字は、今一番上が「10」だ。
オレの手札は「クローバー6」と「ダイヤのジャック」と「ダイヤのクイーン」だ。
参加する山崎、老川の手札はそれぞれ、三枚と五枚だ。
「パス」
オレは言った。
老川が「キング」を出して場が流れる。
老川はニヤリとして「スペードの6」と「スペードの7」を出した。
山崎は首を振った。
オレは笑いが込み上げた。
「ダイヤのジャック」と「ダイヤのクイーン」を場に重ねる。
老川が
「信じらんねぇ!」
と声を上げた。
場を流してオレは「6」を置いた。
「アガリっ」
老川が頭を抱え、山崎が天を仰いだ。
オレの目の前に手が差し出された。
後ろで見学していた斑目冬馬の手だった。
オレはその手をガッチリ掴んだ。
目を合わせて頷きあう。
「くっそ」
老川は言ったが、ゲームはまだ続いていた。
山崎が勝った。
「あー良かった」
山崎は椅子に沈んだ。
「じゃあ、山田先生のところにノート持ってくの頼んだ」
オレたちは同じ教科係だった。
山田先生は生徒を捕まえて長話をするので有名だった。
オレたち三人は回収したノートを持って行くたびに聞かされる先生の話にウンザリしていて、いつしかトランプで先生にノートを持って行く人間を決めていた。
「職員室までは付いてくからさ」
オレたちは斑目を残した三人で、手分けして回収したノートを抱えた。
◇
一月が終わろうとしている。
オレの寮の自室の机に広げたままの、詰将棋の盤面から玉将が消えた。
クラスメイトで同室の斑目の仕業だ。
「今度はどこ?」
部活帰りの斑目に声をかける。
「ヒント」
斑目は人差し指を立てた。
「ネコの学ぶ4のつく部屋」
中指も立てる。
「二人のキングが和む扉を開ける」
薬指。
「鍵はクイーンを背負ったジャック」
斑目は口角を上げた。
「以上」




