第8話 渦巻く機械 発見編
斑目に隠された、オレの玉将へのヒントは三つ。
『渦巻く機械』
『バディの右から四番目』
『背中』
オレは考えを巡らせた。
渦巻く機械といえばアレしかない。
「洗濯室の洗濯機だな」
斑目は肯定するように笑った。
◇
次の日の夕食後、ランドリーバッグを手に持つと斑目に声をかけられた。
「洗濯室行くの?」
「うん」
「俺も行く」
一緒に向かう。
洗濯室についたオレは、まず洗濯機を回した。
縦型の洗濯機の渦巻く流水を眺める。
斑目は二つ向こうの洗濯機を使った。
玉将を探す。
洗濯室には入り口側の壁に洗濯機だけが四台、反対側の壁に乾燥機が乗った洗濯機が六台並んでいる。
『バディの右から四番目』とは、相棒、つまり乾燥機が付いている洗濯機のことだろう。
オレは乾燥機を乗せた六台を右から数えた。
一、二、三、四。
背面を探る。
「あった」
テープで付けられたオレの玉将を手に取って斑目に見せた。
斑目はニヤリとした。
するとそこに、夏休み前に陸上部の部室で会った、斑目の先輩が来た。
「また騎手と一緒かよ」
先輩が吐き捨てるように言った。
斑目に言っているのは明らかだった。
斑目は反応しない。
先輩は舌打ちして洗濯機を回して出ていった。
「斑目、あの先輩…」
言いかけたオレの言葉を遮るように斑目が口を開いた。
「洗濯機、今度から一緒に使わない?」
「え?」
「洗剤の節約。時短にもなるし」
「……いいよ。洗剤は順番な」
斑目の頬が緩んだ。
先日の沼津の話が思い出された。
「ていうか、オレ、付き合うよ」
「何?」
「洗濯」
「……ありがと」
斑目は照れたような情けない笑顔を見せた。




