第7話 その人は動かない ヒント編
全寮制、中高一貫男子校。
島根琥太郎ことオレは、文化祭、体育祭、中間考査と怒涛のイベントラッシュの雰囲気にのまれ、気忙しい日々を送っていた。
文化祭は二日間かけて行われ、一日目の午後から一般公開された。
オレたちのクラスはゲームセンターを企画した。
巨大ピンボールに変形コースのボーリング、的当て、人間輪投げがラインナップだ。
人間輪投げのせいで、出し物の拘束時間が長い。
誰だよ。三人並べようって言ったやつ。
不満はありつつ、オレたちのクラスの出し物は盛況だった。
それに加えて、部活の出し物、将棋体験もやった。
寮で同室、クラスメイトの斑目も来てくれた。
「将棋初めて」
「じゃあハンデつけてやるな」
斑目の頭の良さを考えて、飛車角落ちでやった。
圧勝した。
斑目に勝てるなんて気分が良かった。
「次は勝てる」
斑目は言った。
「また今度な」
本当に勝たれそうな気がした。
将棋部の出し物に来てくれたお礼に斑目の部活、陸上部の模擬店に斑目と行った。
中庭に模擬店が並び、フードコートに仕立てられていた。
陸上部の模擬店は馬に乗った創始者の銅像の右隣りにあった。反対側は弓道部だ。
勇ましい銅像が左右に模擬店を従える様はなんともシュールだった。
◇
次の週は文化祭の飾りも教室に残る中、体育祭が開催された。
陸上部の斑目は各種リレーで活躍していた。
オレはまあ、運動は苦手だ。
部活対抗リレーで、歩の着ぐるみを着て走った。
因みに、部長はもちろん王将だ。
◇
その十日後の中間考査を乗り越え、ようやく一息つくことができた。
十月が終わろうとしている。
オレの自室の机に広げられた、詰将棋の盤上から、玉将が消えた。
斑目が隠したのだ。
珍しくオレより早く帰っていた斑目にオレは聞いた。
「玉将は?」
「うん、ヒント」
斑目は人差し指を立てた。
「その人は動かない」
中指も立てる。
「手綱を握る手の下に」
薬指も立てた。
「埋葬されている」
斑目は口角を上げた。
「以上」




