第6話 東西を繋ぐ橋 ヒント編
全寮制の中高一貫男子校。
夏の暑さが引かない季節、十月に立て続けに行われる文化祭と体育祭に向け、学園内は慌ただしかった。
島根琥太郎ことオレも、目まぐるしい毎日を送っていた。
文化祭でオレたちのクラスはゲームセンターをやる。
クラスを四つの班に分け、それぞれが一つゲームを作ることになっていた。
内容が被らないように今週クラスで話し合いが行われる。
それまでにアイデアを出さなければいけなかった。
ちなみに、オレは寮で同室の斑目冬馬と同じ班だ。
アイデア出しの集まりで、斑目は、出されたアイデアに賛同するだけだった。
オレは意外に思った。
解散後は体育祭でやるパフォーマンスの練習のため体育館に集まることになっていた。
屋根のない渡り廊下を通って斑目と向かう。渡り廊下は南側と北側の二本あるが、今通っている北側の廊下は広く、花壇とベンチが置いてあって、ちょっとした憩いの場となっていた。
南側は転落防止の金網が剥き出しで向こうの渡り廊下が見えたが、北側には大きくなった針葉樹コニファーが肩を寄せ合って並び、視線を遮っていた。
まるでついたてのようだ。
ここでも文化祭の準備が行われている。
道すがら、オレはそっと話しかけた。
「アイデア、出すかと思った」
「みんなの方が面白いから」
斑目は言った。
オレたちの班は、変形コースのボーリングをやるつもりだ。
まあ、面白いけど。
「ふうん」
オレは斑目の面白さを、もっとみんなに知ってもらいたかった。
オレは話題を変えた。
「そういえば、陸上部ってインターハイってあるんだろ?いつなの?」
「終わったよ」
「マジ?」
「七月の終わりから八月頭」
「へえ」
と返事して、オレは固まった。
斑目は夏の大会に出ると言って猛特訓してはいなかったか。
「もしかして、出た?」
「出た」
……神様って二物を与えるんだな。
「予選敗退だけど」
同じ言葉を前も言ってた。
その時は可愛げがあると思ったが、今はイラッとした。
◇
そろそろ九月が終わる。
文化祭、体育祭の後はすぐに中間考査だ。体育祭の練習でへとへとになって、勉強をやる気がなかなか出ない。
そんな中、オレが趣味でしている詰将棋の盤上から玉将が消えた。
斑目の仕業だ。
「ヒントは?」
オレは風呂上がりの斑目に言った。
斑目は微かに笑って人差し指を立てた。
「東西を繋ぐ橋」
続いて中指を立てる。
「緑のついたての向こう側」
そして薬指。
「遮る額縁の上」
斑目は口角を上げた。
「以上」




