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日が昇り、空の真ん中に差し掛かろうとしているときだった。
「まーちーなーさーーい!!」
青年の静かな一人旅は聞き覚えのある声によって一瞬で奪い去られた。
「ちょっとダリア!あんたなんでなんにも言わずに出てくのよ!!」
そこにはあえて何も言わずに出てきた幼馴染が旅の準備万端といった様相でいた。
彼女はイリス。幼い日にともに冒険者になろうと誓った仲だった。
しかし青年は彼女を危険に晒したくなかった。故に何も言わずに村を出たのだ。
「な、なんでいるんだよ!それに、言ったらお前もついて来ようとするだろ!」
「当り前じゃない!あんた一人で旅なんかできないでしょ?」
その言葉に青年は両の手を広げ抗議の声を漏らす。
「何言ってんだよ!できてるじゃんか!」
そんな青年の言葉に彼女は呆れた顔をして返す。
「はぁ。あんた、地図逆さよ。」
「え?そんなはずは...あ。」
信じられないような表情で手元を見たのちに静かに青年は顔を赤らめる。
「ほんと呆れた。あんたあたしが来なかったらどこにいってたのやら。」
「ま、まだ取り返しがつくからいいだろ...」
彼女は心配そうに、そして少し嬉しそうな声色で喋る。
「もう。あんたはやっぱりあたしがいなきゃだめね。」
青年は観念した様子で口を開く。
「うぅ...はい。その通りです。」
しかし青年は思い出したように声を上げる。
「あっ、でもお前、冒険者になれる称号持ってんのかよ?持ってないなら危なすぎる。つれてけねーぞ?」
しかし彼女は誇らしげな顔で口を開いた。
「ふふん、あたしだってね、初級魔法使いの称号持ってんのよ。」
青年は信じられないものを見るような目をする。
「嘘だろ!?ちょっと見せろ!」
「見せろって何よ?」
彼女の怪訝な声と視線を無視し青年は目を凝らす。
ぽわり、と青年の目に淡い光が灯る。
【{種族名:ヒト}{個体名:イリス}{所持称号:初級魔法使い・初級料理人・虫殺し}】
「おわ、マジじゃん。」
「マジじゃんって何よ。あんた鑑定系の称号なんて持ってたの?」
青年は逡巡ののち何か覚悟を決めたような顔をして話を始めた。
「よし。これは誰にも言ってねーことだけど、お前は俺の仲間になるから教えてやる。俺には生まれつきの称号が一つあるんだ。それが【ホルスの瞳】だ。俺はこいつのおかげで自分や人の名前や称号を見ることができる。」
彼女はぽかんとした顔で絶句したのち、言葉を絞り出す。
「うそ!なにそれ!?、あんた人の称号ってみだりに見ていいもんでもないし、まぁそう見れるもんでもないけど、それに相手の許可なく見るなんてそんなの上級鑑定士にもできる人なんてそうそういないんじゃないの?」
「だから誰にも言わなかったんだよ。」
「まぁ、そうね。」
「てなわけでお前もこのこと誰にも言うなよ!」
「言ったって誰も信じやしないわよ。」
「こいつ、言ったなー!」
彼女を青年が追いかける。
「きゃあ!やめなさいよぉ!」
仲間の増えにぎやかになったが、これは青年の旅のまだ序章の序章に過ぎない。




