10 「祀裏にて花は咲く」
咲き乱れ、散り爆ぜる。
ヒュルるるるるる〜〜っ ーーーバァン!!
黒を塗りつぶしてゆく鮮やかな光。
●ーー「ラー王国 城下街」ーー●
ラー王国”城上”と”城下”では毎年別々にお祭りが催される。上と下の違いは誰のためのものであるかということだ。
下に住むものたちと、天に祀る方々。高低、上下、天地ーーーーー神と人。
「14代目のラーの化身。ライトニング女王の御成です」
祭響が飛び交う中で衆目を攫うのは、ラー王国”現”女王ーーーライトニング
化身改めーーー現し身。
「ラーの民、そして”盟友”スモー王国の民達よ」
城上と城下を繋ぐ”鏡階段”を、煌皇たる麗輝を撒き散らしながら降進してゆく。
「そなたらの近未来にーーーーー光あれ」
賜ったものは一言だったかもしれない。しかしーーーこんなにも胸高々となるのは何故なのだろうか?
城下の果物売りは両の手を合わせる いっそうの献上を
建築士は目を瞑る 進化の造誕を
政君子達は神を見据える 真を
幼子は握る手の力を強める 未来への希望を
交の男女は見つめ合う 繁命を
巫女付き達はままに伏す 崇拝を
騎士達は剣を胸に 命捧を
地にて足掻く者達は、黒天に輝く”太陽”への感謝を抱く。
それは実から出た性善。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー」
静寂の終わりを飾るのはーーーー
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「
ワァァァァァァァァァァァァっ!!!!!!!!!!!!
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ーーーー万来の喝采。
○ ● ○ ● ○ ● ○ ●
「随分と楽しそーじゃない・・・」
ぶーぶーと頬を膨らませて、”眠り姫”アムは不貞腐れていた。
○ーー「夢幻の園」ーー○
「・・・・・俺にはよくわからなかった」
草原にて、アムの作り出した巨土人の右肩に腰掛けながら”最強騎士”ミディは自身の心境を顧みていた。
「女王の一言に対して、なぜ・・・民衆がああも心震わされていたのか」
ミディにはわからなかった。正確には・・・・同調できなかった。
「他人の言葉にあそこまで感化されることがあるのか?」
自身の力のみで勝ち取ってきた”最強騎士”にとって、信じるに値するものは他者の何かであったことなどなかった。
今まで歩んできた自分道こそが全てなのだ。
「王様の言葉はありがたいものでしょ?・・・ってそこじゃなくて!」
ミディの曇りをよそに、アムは論点の相違を示す。
「催し(も・よ・お・し)!聞いてたらすごく楽しそうなんだもの!」
ぽかーん・・・と、ミディは呆っ口を開く。
「たくさんのぬいぐるみで作った”ぬいぐるみ川”とかぁ、新味発掘料理対決!だったりぃ・・・。
他にも見てみたいもがいっぱいあるんだから!」
どうやら巡回警備の時に目にした催しに興味を持っていたようだ。
相変わらず心が一直線で清々しい。
「この試練を続ければ、それも叶うさ」
自分にも言い聞かせるように、言葉を紡ぐ。
そう、この試練を続けて”最強”から解放されて・・・それで・・・・
「・・・・・・」
どうしたいんだ?
不意に疑問が湧き起こる。
血に塗れるだけの人生しか歩んでこなかった自分は・・・一体どこへ向かえばいいのだろう?
瞬間。黒いモヤモヤが、目の前を覆い尽くしていくよう感覚に見舞われてーーーー
「また暗い顔してる」
その中に光り輝くものがあることに気付いた。
「前よ、前っ!。下でも上でも右でも左でも・・・後ろなんかじゃ絶対ないわ!」
光がどんどんと強くーーーー
「未来は前にしかないんだからねっ!」
眩くーーーー
「・・・・・・・・・・あぁ」
ミディを照らしていた。
「よし、晴れたわね!それじゃ張り切って試練に行くわよ!」
よっしゃーっ!
アムはやる気満々だ。
なら俺は?ミディは何を・・・未来をどう生きたい?
そんなの決まっている。・・・いや、決まっていなかった。・・・けど、決めた。
俺はーーーーーー
「アム」
その少女に声をかける。
太陽のように明るく、細月のように暗闇を照らしてくれる、彼女に。
「なぁに?ミディ」
答えてくれる君に。
「君が好きだ」
伝える。新しい自分を
「この試練を乗り越えて・・・・アムと一緒に・・・」
嘘偽りのないーーーー
「未来を生きたい」
ーーーー花咲いた思いを




