第83話: 女子会フルメンバー大集合!雛人形の裏で進む、雪国の近代化と私の推し活最高!!
桃の節句の季節になった。
そして私が知らぬ間に、またまた我が城で雛祭りの女子会ならぬ「女子限定大宴会」が行われることに、いつの間にかなっていた。
メンバーはもちろん環さんに瞳さん、花ちゃん、瞳さんの幼馴染と女の子の子供だけ(男の子は締め出し!)と玲子さん、都さん、風ちゃん、時代屋の奥様方のフルメンバーだ。
メニューはまず飲み物は定番の白酒や甘酒にラムネ、ドラッグストア機能でポイント交換した100%ジュースや炭酸飲料。
文明開花のお昼のピークを過ぎた後から瞳さんの幼なじみのみなさんは交代で来るので、女子会のお酒は無し。
しかし大人女子の白酒はありなんだってさ。(よくわからない。ルールだ。私は知らん。)
それからピンク・白・緑のカラフルな雛あられに菱餅を飾った。
ここは関東だからポン菓子風、ちなみに関西は塩・醤油味のおかき風なんだって。
それからちらし寿司をひな祭り仕様で華やかに、理さんに作ってもらった。沖縄の魚を使ってね。
あと夜光貝のバター炒めも贅沢に作ってもらったよ。
はまぐりのお吸い物は良い良縁を願う縁起物なんだって。お赤飯もね。
雛人形はと言うと、百貨店で特設コーナーができていたからね。物色しに行ったよ。
でも結構精巧にできてリアルだから、夜1人の時はなんとなく怖いからひな祭りパーティーの時だけに出したよ。
百貨店の売り場はすごく華やかで賑やかだったよ。
元の日本のような段飾りのほかに、御殿の中に人形を並べる豪華な「御殿飾り」があった。(まるで小さい時に遊んだ着せ替え人形のようだ。)
それまで専門の職人や雛市で単品で買い揃えていた雛人形を、百貨店がセット販売として特設売り場で売り始めたんだって。(いつの時代も、どんな世界でも、人間の商売へのアイデアはすごいね。)
ここでは、人形・御殿・道具をすべて同じコンセプトで揃えたセット販売で買えるようになったんだって。
それまでは御殿飾りは職人がオーダーメイドで作るご大層なものが中心だったのを、百貨店が都市部の家でも飾りやすいように小型化した売り方にかえたんだってさ。百貨店でも、京の御所を模した御殿飾りが人気なんだって。
関東地域はひな壇に赤い毛氈を敷いて並べる段飾り(五段・七段)が主流で、関西は御殿飾りが主流なんだって。
売られていた平均的な御殿飾りのセットは、「かけそば」に換算するとおよそ1,200杯~1,700杯分に相当。
サラリーマンの平均月収は、かけそばに換算すると約1,000杯~1,300杯分。
月給が丸々1ヶ月分、そっくり消える感じだよ。(ヒェ~)
でも、私は御殿飾りのなるべく怖くない顔の高価で豪華でお人形遊びができちゃうんじゃないか(もう13歳だから、お人形遊びなんかしないもん)ってのを買って、今リビングにドド~んと飾ってあるよ。
大宴会の最中に、環さんにこないだ私の元に届いた我が城の売主さんからの手紙を見せた。
「ほんと暁ちゃん、あなたってあっちこっちで知らない間に騒動起こしてるのね」
(本人も知らない間なんですが…)
「今まで停滞していた地方も活性化させちゃうなんて全く凄いことなんだけど、本人は全然自覚ないしね。暁ちゃん、あなたらしいわ」
(自覚も何も何にもほんとにしてないのに…周りが勝手に大事にしちゃうんだよ。うんそうだよ!)
と、環さんは地方の農村地帯の実情を教えてくれた。
新潟県の魚沼地方。
冬になると数メートルの雪に閉ざされるため、冬場の収入が完全にゼロになってしまう。
そのため、プラエクスなどの都市は景気が良いし、1年中仕事があるので、冬の間だけプラエクスへ出稼ぎに若者たちがやってくる。
地元との違いや、大正浪漫のハイカラな文化やスチームパンクの便利さで、そのままプラエクスの居心地の良さや給料の高さに惹かれ、村に帰らなくなってしまうというのが激増した。
一度冷害がおきると余計に食うに困り、若者はみんな生活のために出稼ぎに都市部に出るそうだ。
プラエクスや横浜に巨大な工場が次々と建設され、都市部は猛烈な人手不足になり、地方の若者を金の卵として大量にスカウトしたこともあるらしい。
家を継げない農家の次男や三男は工場の労働者へ、女性はプラエクスの紡績工場や高級住宅の富裕層の女中として、みんなプラエクスへ競争して出てきたんだって。
特に10代後半から20代の労働力がプラエクスや都市部に出ていってしまった農村では、村に残されたのは老人と子供ばかりになり、過酷な農作業やエネルギーの元の魔力を補充するものが圧倒的に足りなくなった。
伝統行事やお祭りや、村の命綱である用水路の掃除や補修、エネルギーの補充といった、村人全員で行うべき共同作業が人手不足で維持できなくなった。一番動ける、補充できる働き盛りの若者が全員都市部にいる状態だ。
生活は、越後上布や塩沢紬という雪国ならではの高度な高級麻や絹織物を家の中で織ることでなんとか生活できたが、肝心の魔力の補充問題が起きてしまったのだ。
「ここで暁ちゃんの地熱エネルギーが大活躍したのよ」
(おお~!そこに繋がるんだ!)
「今何か他人事みたいなこと考えなかった?」
(やっぱりあなたは心を読めるのですね…)
「いえ自覚がないんで…」
今も南魚沼郡や地方は、木造の建物で、茅葺き屋根の頑丈な古民家が主流。
冬になると家は雪に埋まるため、2階から出入りしたり、軒先を長く張り出した雁木の下を通路にして歩いている。
家の中では囲炉裏を囲み、冬の間の手仕事の機織りや藁細工が行われている。
一般的な農家の人々は自家製のもんぺ、半纏などを着用し、冬は藁で編んだ雪靴や蓑を身にまとって防寒しているそうだ。(日本昔話の世界だよ。)
小出駅や越後堀之内駅が開業し、少しずつ路線バスも走り始めたが、冬場の買い出しは男達が猛吹雪の中、雪ソリを引いて何キロも先の町まで往復する命がけの仕事だそうだ。
地元では着物やもんぺ姿が当たり前だが、出稼ぎ先の影響で、ハンチング帽をかぶったり、仕立ての良いスーツやシャツで垢抜けて故郷に錦を飾るのが成功の証みたいだよ。
出稼ぎ先の寮や、カフェー、西洋料理屋の蓄音機から流れる『船頭小唄(枯れすすき)』や『カチューシャの唄』は、大ヒット曲だったみたいだよ。
彼らは歌を覚え、故郷に帰ったときに(きっとドヤ顔で自分たちは都会のヒットソングを知ってるんだぞみたいな感じで教えたんだろうね)地元の人々に教えていたから、雪深い魚沼の酒造りや機織りの最中に作業の時の歌として歌い、過酷な労働に励んだそうだ。
「暁ちゃんは沖縄から始めてこの短期間に南魚沼だけじゃなくて、こういった日本の農村地帯も変えたのよ?わかる?少しは自覚を持ってね」
と言われてしまった。
(そんなこと言われても、私はやりたいことをやって食べたいものを食べて、ただスローライフをするだけ。今もこの先もね。)
もちろん推し活最優先ですサ♡
(あ〜あ〜もー‼️そんなことを思ったら麗し!尊し!薫さま♡をチラ見したくなっちゃったよ〜この純粋可憐な乙女心どうしてくれるんだーーー‼️)




