第82話: 人生めぐりめぐって回る! 地熱?鉄道⁇文明開花の鐘が鳴っても、水洗トイレは我が城に限る。
この我が城(ラピスラズリの家)の売り主さんから、長い長い手紙が届いた。
なんだろうと思って開けてみると……達筆すぎて全く読めそうにない!
そこで、イメージ魔法でスマホの翻訳アプリを念じながらかざしてみたら、なんとか解読することに成功したよ。
売り主のご夫婦は、もともと新潟県の南魚沼のご出身だそうだ。現在は息子さんが跡を継いでいて、街の重要人物として頑張っているらしい。
南魚沼の冬はとにかく厳しく、家屋がすっぽり埋まってしまうほどの豪雪地帯。そのため、冬場はなんと2階から出入りするレベルの雪深さなんだとか。
(元日本のニュースの特集で、新潟の冬は光熱費がすごいかかるって言ってたなぁ……温暖化のあの元日本でそうだったんだから、デレクトアティオのこの時代って大変だったんだろうな。私は暑さ寒さ知らずのスチパンロリワンピをゴスロリちゃんにもらえて本当にチートだったんだね。改めてありがと、ヴォルプタス様!)
そんな環境だから、農家などは冬になると次男以下や若い女性たちが一斉にプラエクスへ出稼ぎに出てしまい、そのまま都会の華やかな文化に影響されて帰ってこなくなってしまう……その結果、深刻なエネルギー不足(人手不足)に陥っていたそうだ。
(……ん? それって、もしかして……)
そこへ彗星のごとく現れたのが、例の「地熱エネルギー」の新しい技術!
(……完璧にそれって私のことじゃーーーん!!)
地域を活性化させるための資金作りに、このラピスラズリの家を売却して、ご夫婦は息子さんの元へ戻っていったそうだ。
(あらまあ? 人生巡り巡って……まさかこんな形で繋がるとは!)
手紙によると、かつてそこには「美人林」と呼ばれる美しいブナの林があったらしい。
けれど、酷いエネルギー不足を補うために、その美しい林の木々をすべて伐採して燃料にしてしまったのだとか……。だからこそ、喉から手が出るほどの勢いで地熱エネルギーの話に飛びついたみたい。
幸いなことに、残された切り株や土壌から一斉にブナの芽が吹き出し、太陽の光を奪い合うように全てのブナがまっすぐ細く、美しく伸びている途中なんだそうだ。
(地熱エネルギー、マジで間に合ってよかったね!!)
さらに地熱エネルギーのおかげで復興の目処が立ち、なんと新しい駅まで作られたらしい!
もともとプラエクスから南魚沼へ行くには、群馬と新潟の間の険しい三国山脈を越えられないため、長野県(信越本線)や福島県(磐越西線)をぐるりと大回りして、新潟側からバスで入るという超絶遠回りルートしかなかった。
(『トンネルを抜けると、そこは雪国だった』はまだなかったんだね。つくづく遠いところに来ちゃったんだなと……)
それが、ついに駅が誕生したのだ!
まだプラエクスと直結していない行き止まりのローカル線。
けれど、最初に魚沼の地へ蒸気機関車が激しく白い蒸気を上げて入ってきた日――線路の周りには、雪をかき分けて集まった数千人の住民が詰めかけ、大歓声と共に万歳三唱が巻き起こったという。
これまで1日以上かかっていた物流や移動が一気に縮まり、魚沼の有名な織物や豊かな山の産物が、全国へ出荷されるきっかけになったそうだ。
(活気溢れて良きかな、良きかな!)
その上、この豪雪地帯には病院が一切なく、冬場はまさに「陸の孤島」。病気が一番の恐怖だった。
そこで地域の町村が組合を結成し、自分たちの命と未来を守るため、大変な暮らしの中から少しずつお金を出し合って病院設立の資金を支えた。
(地方には治療師もいないのかな? 魔法と魔力があってもうまくいかないもんなんだね……)
住民たちの強い絆によってできたのが『魚沼共済病院』。冬でも安心して治療が受けられるようになり、魚沼の人々はついに「安心」を手に入れたのだ。
(……ちょっと待って? 私がこの家を買ってからそんなに時間経ってないよね?? 謎技術と復興スピードが凄すぎるんだがこの世界……! まぁ、元々準備を進めていたところに、家を売ったお金=先立つものができたことで一気に弾みがついたのかな?)
停滞していたのが嘘みたいな爆速の勢い。
(えっ、もしかしてこれ全部私のせい……いや、私のおかげ⁉︎ ゴスロリちゃんにまた大きな貸しができちゃった案件だよね!! 楽しみにしていてねー、ゴスロリちゃん!!)
手紙の最後には、「暖かくなったらぜひ遊びに来てください」と温かい言葉が添えられていた。
……けれど!! 私はプラエクスと鎌倉で、平和にスローライフと推し活を送りたいと思います!
(推し活優先! 薫さま♡のご尊顔♡と細マッチョ♡をチラ見出来ない状況はノーノーノー‼️)
決して、手紙に『水洗トイレがやっとできました』って書いてあったからじゃないよ!
(推し活♡最優先だからだよー! ほんとだよーーーっ⁉︎)




