第77話: お正月もおもてなし三昧! 大人は大はしゃぎ、子供も大暴れ!暁は柱の影から推し活三昧♡
昨日というか、今日は遅くに寝たのに、やっぱりいつも通りの時間に起きてしまった。
少し庭に出て、初日の出を拝むとする。
シーンとしていて、聞こえるのは波の音だけ。この場所が半島で、三角形に海へ突き出ているからね。
だんだん暗闇の世界だった東雲の空が薄闇になり、白い世界へと変わっていく。
やがて、暁の世界に色鮮やかな橙色の世界がじわじわと広がっていき、太陽が私達にとっての新しい1年の始まりを知らせるように、ちょこんと雲と海の隙間から顔を出した。
ピリッとした空気が頬を刺していたのが、温かく包み込むかの様に変わった。
(そういえば、海から上がる初日の出を見るのって初めてだなぁ~)
なんて感慨深げになりながら、ゴスロリちゃんにも一応お祈りしておく。
『去年はいろいろとお世話になりました。チートをありがとう。健康をありがとう。今年もよろしくね。めんどくさい事は私はノーセンキューよ。それと、貸し2つ忘れないでね』
それから、我が城の中に戻っていった。
さっき庭に出るとき、なかなかの惨状を目撃したのだけれど、とりあえず見なかったことにして外に出ていたのだ。
お酒臭い空気の中、おじさまたちが転がっている。
良かった、流石に薫さまはその中にはいなかった。ちゃんと部屋に帰ったんだね。
さすがだわ。私の推し、最高!!
もう玄関ホール、階段から2階の階段ホール、廊下、リビング、サンルーム、音楽サロン、ダイニングキッチン……ありとあらゆる場所に生活魔法もどきの『クリーン』をかけまくったよ。
お正月から我が城がお酒臭いなんてありえないからね!
部屋に強力な魔法をかけたからか、転がっていたおじさまたちにも『クリーン』が強力にかかったらしい。
お酒もスッキリ抜けたみたいで、大いびきだったのがピタッと止まり、みんなゾロゾロと起きてきた。
良きかな良きかな。お正月早々、怒りを爆発させたくないからね。
みんな続々と起きてきて、もうかなり明るくなっていたけれどご来光を拝んでいたよ。
……もっと早く起きれ!!
それからはみんなでおせちの準備をして、せっかくお酒が抜けたのにおじさまたちはまた飲み始めた。
楽しそうで何よりだね。良きかな良きかな。
大量注文した百貨店の和風・洋風の組み重おせちセットと、理さんに大量に作ってもらったオードブルたち。それに鎌倉ハムや、特別に作ってもらったローストビーフもドカンと出したよ。
デザートはもちろん、百貨店で買ったケーキ2種類に加えて、理さんが作ったプリンとゼリー。
もう大人も子供もすごい食欲だ。
あんなに大量にあったのに、みんなお昼を過ぎてもずっと食べている。
子供は外に遊びに行っては帰ってきて、そのたびに私が『クリーン』をかけた。
家の中が汚れるのも嫌だからね。お正月から掃除は勘弁!
用意した飲み物も、炭酸からお茶、フルーツジュースまでガッポガッポ飲んでいる。
どこにそんなに入るんだろうね。
そして男性陣が飲んだくれているので、女性陣は子どもを連れて、混んでいると言うのに路面列車に乗って長谷寺へ行って、大仏を見て、お茶を飲みに行った。
みんなパワフルだね。暴れん坊の子どもを連れて、よくあの混雑の中行く気になるよ。
普段、社畜のように真面目に働いているからスイッチが入っちゃったのかな?
私は誘われたけれど遠慮して書斎にこもったよ。何回かその観光ルートは行ったからね。
そして夜もまた宴会。同じことを繰り返し、翌朝は私がまた『クリーン』をかけまくり、2日目は昨日と少し違うメニューを出した。
おじさまたちはそのまま飲み続け、女性陣は今度は銭洗弁天(鎌倉時代創建)へ行ったよ。
でも、元の日本の大正時代がそうだったように、今のここも元日本の現代のような『誰もが気軽に行く観光地』というよりは、訪れるのが結構大変な場所だった。
私も一度行ってみたけれど、迷ったかと思っちゃったよ。懐中時計のマップがなければ遭難していたかも……。
現在のように道が整備されていなくて、岩壁をくり抜いたトンネルへ向かう道も険しい山道だったのだ。
観光客が行く場所というよりは、商売繁盛や金運を本気で願う人々が「巳の日」に集まる本気の場所。
この時代もお金を洗う風習はあって、北条時頼の時代から続く「湧き水でお金を洗うと何倍にもなって戻ってくる」というのは、ここでも熱心に行われていた。
だからみんな気合が入っていたよ。女性陣も子供たちもだ。あんな険しい道なんて関係ないみたい。
私はお正月そうそう勘弁してほしいので、「皆様でどうぞ」と遠慮しておいた。
それから、お年玉の制度。
元日本の現代とは違って、この時代のここではお金を渡したりする文化があまりなかった。
子供たちが飽きて家の中で暴れると嫌なので、私は『少年倶楽部』と『少女倶楽部』を用意しておいた。
お正月は特別号で、付録がすごい豪華なんだよね!
『立体的な紙工作』や『のぞきからくり・映画ごっこ』。これは本当にすごい。
箱の中に絵が仕掛けられていて、小さな穴から覗くと立体的に見える仕掛けや、手回しで絵が動く紙製のアニメーション機だったよ。
『ジオラマ』は、当時の最新乗り物だった路面列車や蒸気機関車、ハイカラな東京の街並みをミニチュアで再現できるセット。
女の子の雑誌には、おしゃれな洋館やおままごとができる百貨店の組み立てセットがあった。
その他にも豪華なゲームのすごろく・かるたがあり、特に正月号は家族で遊べるカードゲームやボードゲームが付いていたよ。
すごろくは、ただの双六ではなく「世界一周旅行」「未来の空中都市冒険」「学校の一年間」など、子どもだけでなく大人も大喜びの美しいカラー印刷の巨大すごろくだ。
かるたは人気画家が絵を描いた芸術的で美しい「いろはかるた」や、歴史やスチームパンクの知識が身につくクイズかるたが付録に入っていた。
あとは日常で使えるハイカラで大正ロマンなおしゃれデザインの雑貨付録。これ、ほんとに子ども向き!?と思ったよ。
少年向けは、手のひらサイズのミニ手帳、万年カレンダー、絵の具セット、組み立て式の顕微鏡(レンズ付き)など実用的なグッズ。
少女向けは可愛いイラスト入りの便箋と封筒、日記帳、匂い袋、しおり、刺繍の図案集など、私の乙女心をくすぐる雑貨たちだ。
その他には読み応えのある別冊付録で、付録とは思えないもう1冊(小説や伝記、人気の冒険小説、世界の大偉人の伝記など)がついてくるものもあった。
実用書や学習書としては、少年向けには理科の実験や簡単なスチームパンクの実験方法。少女向けにはお正月の手料理やお菓子の作り方といったものがあった。
値段もなかなかで、普段の値段はかけそばにすると3.5杯分、お正月号はかけそば5〜6杯分もしたのだ。
お年玉にはちょうどいいんじゃないかな。
1人1冊あげて、あとは大人も入れて大ビンゴ大会をしたよ!
ここにはまだそんなゲームはなかったみたいだから、めんどくさいけれど私が1から説明した。
紙に25マス、それぞれ1から50の数字を好きなように書いてもらって、私が引いた数字を塗りつぶしてもらう方式だ。
薫さまや環さんもそういったゲームはやったことがなかったみたいで、すごく楽しんでもらえたよ。大人も大興奮だった!
大人には、布の手提げショッピングバッグに色んなお酒を詰めたり、女性には化粧品を詰めたり、子どもたちにはお菓子を詰めたり。
あとは残った雑誌から選べるように、先に上がった人たちから取ってもらった。
みんな目が真剣だったね。楽しんでもらえて何より!
それから、男の子には外で遊べるように竹馬や、元日本の有名な激しい対戦型コマみたいに外で遊べる場所を用意したよ。和凧揚げの凧も用意した。遮るものがない半島っぽい場所だからね。
ただ、風が強かったら危ないから大人に見張りについてもらったけれど……私は勘弁だよ。
女の子には羽子板を用意した。顔に墨を塗るのは無しにしたよ。家が汚れるのは嫌だからね!
まぁ、そんな感じでみんなお正月を満喫していたよ。良きかな良きかな。
私は薫様を柱の影からじっくり見つめることができて、最高に良きかな良きかなだったよ♡
これぞ推し活だっ!
(麗し♡尊い♡神♡正月早々縁起が良〜い♡拝みまくりまする〜♡)




