第69話:大正浪漫薫る鎌倉・江ノ島日帰り旅!大銀杏の感動と、まさかの金髪王子様登場!?
枯れ散る街並みを見ていてフッと思った。そういえば元の世界の学校の卒業遠足で行った鎌倉の鶴岡八幡宮って、この世界ではどうなってるんだろうか?と。この世界に来る2ヶ月前の3月に小学校を卒業するから、学校の遠足で観光バスに乗って6年生全クラスで鶴岡八幡宮に行って、葉山を通って「ここが御用邸だ」ってバスの車窓から見て、それから江ノ島の水族館に行ったのを思い出した。
『そうだ!鶴岡八幡宮に行こう!!』と思い立った。新聞には、この世界でも鶴岡八幡宮も段葛もちゃんとあることが載っていた。小町通りはまだないけれども、横須賀線が開通して以来、小町通りの前身みたいな通りができているのを知った。それに鎌倉は文豪の人たちや芸術家たちがこぞって集まる別荘地らしい。お金持ちたちも集まっているらしく、前の世界でも、昔も今も変わらない高級別荘地&高級住宅街だな。それに葉山も、前の世界で天上人の別荘があったようにこちらの世界でも天上人の方々の別荘ができているようだ。江ノ島は「江ノ島詣で」と言って、この世界でも昔から有名だそうだ。似て非なる世界設定だけど、似ている部分もやっぱり多いなぁ。
一人で黙って行くとまたみんなに説教モードに入られるのが嫌なので、環さんと瞳さん、花ちゃん達には、「横須賀線に乗ってプラエクスから1時間位、初めての蒸気機関車に乗って日帰り一人旅をしてきます」と言うと、また大騒ぎになってしまった。花ちゃんが「私も行く!」と騒ぎだし、瞳さんも「私もたまには出かけたいわ」と言い出し、環さんも「全然休んでないから、一緒に行ってリゾートするわ」と言い出した。日帰りなのにみんなノリノリだ。他の人たちも行きたかったけれど、瞳さんが休むと幼馴染みの3人は文明開花のお手伝いをしなきゃいけないので行けないと残念がっていた。(私は一人旅のはずだったのだが……)都さんも玲子さんも当然仕事が忙しくて行けないと残念がっていた。(そりゃそうだろう。でも1時間のところなのに、みんなあんまり出かけないのかなあ?この世界の人たちは案外真面目に社畜なんだなぁと思った。)
「では、女子会旅のメンバーは私と環さん、瞳さん、花ちゃんの4人でってことでよろしいでしょうか?」と決定した。
当日は朝早い横須賀線で出発をした。この世界の謎技術で案外早く着く。行きの蒸気機関車の中からかしまし娘4人で大騒ぎだった。乗り心地は例のサスペンションでとても快適だ。短い乗車時間なので客席はレトロなボックスシートだけど腰も痛くならないし座面もふかふかだ。4人でしゃべっていたらあっという間に着いてしまった。車窓の景色は、元の日本の景色の住宅や工場が並んでいるのとは違い、プラエクスから1歩出るとのどかな田園風、麦畑、みかん畑の風景が見られたと思う。何せずっと喋ってたからね。チラチラしか見れなかったからね。大船駅を出てから鎌倉駅までは切通しやトンネルもあった。環さん情報だと、鎌倉から先、逗子は青くきらきら光る海岸線が見えるそうだ。今回は行かないので残念……。
鎌倉駅を降りて驚いた。木造建築で大正浪漫とスチームパンクが合わさってとってもいい感じだ。そこを抜けて、わざわざ段葛を通って鶴岡八幡宮へ行った。本宮の横にある銀杏の御神木が健在だったので驚いた。小学校の遠足の時はかなり前に台風の強風で倒れてしまって大銀杏の姿を見ることができなかった。ガイドさんの説明を聞いただけだった。なので、この世界で見ることができて本当によかった。そういえば元の世界ではカップルで行くと別れるなんて都市伝説があったけど、この世界では特にないようだ。元の世界でもこの時代にはなかったのかなあ?まぁ一生知ることはできないね。
鶴岡八幡宮は、やはり鎌倉時代からあるから、卒業遠足で見た時と大銀杏以外はあんまり変わらないなぁと思った。
朝早かったので、小腹が空いた。絶対しゃべりすぎてカロリーが消費されたんだと思う。鎌倉駅の周辺や、のちに小町通りになるであろう場所には、おしゃれなカフェや立派なレストランがたくさんあった。沖縄の時とは違って、おしゃれなモガや最先端の女性が多く、どのお店にも出入りしている知識人が集まっているみたいだった。プラエクスとは雰囲気は違うが、鎌倉は独特な雰囲気があって、良きかな良きかな。
それから若宮大路にある路面列車乗り場に行って、江ノ島へと向かった。路面列車は面白かった。元の世界と一緒で、人の家のすぐ脇を通ったり、お寺の門前を通ったり……。ただ違うのは、途中途中にある駅が木造の掘っ立て小屋みたいだったり、建物がなくてホームと思われるものだけがポツンとあったりする不思議な風景だったことだ。江ノ島の路面列車の駅に着いてから、江ノ島までは15分ぐらい歩いた。元の世界みたいに立派な大きな橋があるわけでなく、砂州を渡るか、細い木造の橋らしきものを渡るしかなかった。ここ江ノ島は江戸時代から続く弁財天信仰の参詣地兼行楽地として観光地化されていて、今みたいに立派ではないけれど、地元の名物であるサザエのつぼ焼きやハマグリ、川魚、この海で取れた魚介類を食べさせる料理茶屋や休憩処が沢山あった。
参拝をしてからもう食べまくりツアーだ。新鮮でおいしい。今みたいに生しらす丼の専門店みたいなものはなかったけれど、充分充分。そして満腹のお腹を抱えてまた路面列車に乗って鎌倉に帰っていった。
お土産?自分にも留守番の皆様方にも抜かりはないよ。江ノ島では仲店通りで買ったかわいい貝細工のお人形や、懐中時計入れなんて変わったものもあった。江ノ島へ渡る橋のたもとには地元でとれた干物や海産物が売っていたので、ここでも大量に購入した。「海苔羊羹」なんて珍しいものもあった。料理組合に、砂糖大根での作り方を登録したけれど、まだまだ砂糖が貴重なので結構高いんだよね。
そして鎌倉土産はなんと驚くことに、鳩サブレがもうあったのだ。ハイカラな食べ物として、鎌倉の富裕層や贈り物にも有名らしいよ。当然、爆買いした。なんと鎌倉ハムまであるではないか。イギリスから渡った製法で超高級な食べ物みたい。けれども、私が大人買いしないわけがない。ハハハハハ。鎌倉彫もあったので、女性陣にはかわいい手鏡を皆様のお土産にして、男性陣には文箱(小物入れ)にした。
亜空間収納があるから、いくらでも買えるからな。みんなもここぞとばかりに大量に買って私に預けてきたけれど、私がいるから助かるな。チート様様だなぁ。ハハハはは!
またそこでお茶をして喉も潤ったし、そろそろお店を出て帰ろうかと思い「さぁ、そろそろ帰ろうね」と瞳さんが言った時に、環さんの知り合いがおしゃれな喫茶店で声をかけてきた。
またまた、新たなイケメン登場だった。
参拝をしたからか?
ご利益があったのか? 金髪碧眼の王子様系イケメンだったとさ。




