第62話:通り過ぎるリゾートだけじゃわからない!男尊女卑に方言の苦労…歴史の重みを知った暁ちゃんは、ふと元の世界の自分にドヤ顔をする!!
その日の夕飯は、結局また昨日と同じ花街の辻にある、別の料亭に行った。
プラエクスとは違って、沖縄はまだ男尊女卑の風潮が強く残っているらしく、女性だけで気軽に入れるようなレストランや食堂は無いようだった。それに、知念さんのような事務職や秘書的な役割の職業婦人もまだほとんどおらず、知念さんはその先駆けのようなものらしい。知念さんは、子供の頃にたまたま神童として見出され、先ほど見た首里城の女学校に通わせてもらい、今この仕事に就いているのだそうだ。だからこそ、社会で自立を目指す女性たちの少しでも力になりたいと思っているらしい。
そんな事情を聞いてしまうと、「緊張するから料亭は嫌だなぁ」なんて口が裂けても言えず、今日もブルジョワな豪華ディナーをご一緒することになったのだった。
あっ、ちなみに、お昼はキャンピングカーの中で、理さん特製のカレーライスと唐揚げとサラダ、そしてプリンを食べた。
これには知念さんも、「今まで食べたことがない味だ……!」と痛く感動していた。しかも、カレーはあのバンカラな全寮制の学校の生徒たちの間でも話題らしく、「年に数回だけ出るという特別メニュー」だと盛り上がっているそうだ。その噂は沖縄の人々の間でも流れているるとのこと。しかし、理さんのカレーほど美味しくはないだろうけどね! なんたって、りんごと桃がたっぷり溶け込んだ特製の味だ。この世界じゃまだプラエクス周辺でしか食べられないし、料理組合からいろいろなレシピが出回り始めているとはいえ、なかなか地方の隅々までは回ってこないらしい。
それから、那覇の人たちの喋り方と、首里の人たちの喋り方がちょっと違うなぁと感じた。
首里の人の言葉はどこか緩やかで、那覇の人は結構早口で声が大きい感じがする。まぁ市場の活気のせいかなとも思ったけれど、それにはちゃんとした理由があった。
知念さんが教えてくれたところによると、まず首里には王朝時代からの誇りがあり、「自分たちの文化が一番だ」というプライドがあるらしい。一方で那覇の人たちは、沖縄の外の人たちと貿易をしたり商売をしたりすることが多く、商売気も強くて「自分たちが最新の文化を引っ張っている」という自負があるため、そのあたりに気質の違いが出るのだとか。
さらに興味深かったのは、学校の事情だ。
石畳の坂道にあるエリート校の生徒たちと、バンカラな学校の生徒たちとは結構対立しているらしい。エリート校側はバンカラな人たちを「田舎者」だと思っていて、対するバンカラな人たちは「財力で威張っているだけじゃないか」と感じていて、なかなか相容れないようだ。生粋のエリートと、自力で這い上がってきたエリート――なかなかに難しい問題だね。
それから、学生たちがみんな標準語を喋っていることについても驚きの理由があった。
学校の規則で「標準語を喋らなければならない」という決まりがあり、方言をうっかり口にしてしまうと、罰として首から「罰札」をぶら下げさせられるのだそうだ。そして次に別の人が方言を喋るのを聞きつけるまでその札を押し付け合わなければならないという、お互いを見張り合う結構世知辛い制度らしい。
こういう生きた歴史や現地の空気感は、実際にこうして足を運んで経験してみないと分からないものだ。
ふふふ、元の世界の半分の私よ、君のただの遊びのリゾート気分とは違うのだよ。私はこうして貴重な経験を積んでいるのだ! はははは!!
今回、プラエクスから遠く離れた沖縄という場所に来てみて、ゴスロリちゃん(ヴォルプタス様)のはじめの説明が結構合っていたり、あるいはそうでもなかったり……いろいろだなと感じた。やっぱり、この目で見て体験してみないと分からないや。
そしてまた、賑やかで刺激的な一日が過ぎていった。
ふぅ、今日も疲れたなぁ〜。
暁! チバリヨー!!




