第61話:キャンピングカー包囲網発生!? バンカラ、ハイカラ、お嬢様⁈蒸気機関学校の熱気に暁ちゃんは最大級の危機管理発動!!
私の微妙な揺れる乙女心を無視するかのように、周りが騒がしくなった。
道の反対側の校門のところで、同じ服(多分制服?)を着た生徒らしき人たちが、校門から外に出ないようにキャンピングカーを指差して大騒ぎしていた。いかにもバンカラって感じだ。私が戸惑っていると知念さんが教えてくれた。
首里城の前にあるバンカラさんたちが集まっているところは、やはり学校だそうだ。それも教師になるための全寮制の学校で、許可がないのに一歩も校門の先には出てはいけないそうだ。とても厳しくて、警ら隊のように秩序がきちんとしていて、一列に並んで構内も移動したり、ラッパで朝起こされたりと、まるで元の世界の自衛隊のような生活を送っているそうだ。学業が優秀であれば、どんな家庭の子でも入れる学校で、エリート中のエリートとのことだ。
制服もどき(将来先生になるために質素をモットーにしているため、制服と言っても普通の質素な服だそうだ)も、3食の食事(雑穀米とお味噌汁はおかわりし放題だが、おかずは質素なものがついているそうだ。それでも3食きちんと食べられるので、この学校に入るのは子供たちの憧れだそうだ)も、勉強道具もお小遣いの手当ても支給されるとのことだ。本当に優秀な人たちの集まりだ。でも、許可がないのに門の外に出たら退学になってしまうので、一歩も出ないでみんなが交代でキャンピングカーを見ているようだった。
そうすると今度は、かっこいい詰襟を着た学生たちと、セーラー服を着た女の子たちもキャンピングカーの周りにわらわらと集まってきた。いろんな人たちが集まってきたものだ。
詰襟を着ているハイカラで、見るからにエリートな優雅な学生たちは、この先の石畳の坂道にある沖縄の中でも一番のエリート校の学生たちだそうだ。学力・財力両方ないと入れない特権階級の人たちのようだ。
そしてセーラー服の女学生たちは、首里城の中にある女学校の生徒たちだそうだ。こちらも、小学校を卒業したら一般の女子は家の手伝いや機織りなどの職業につくのに対して、この女学校に入れるということは財力も家柄も良い女学生たちのようだ。
さらに、守礼門の中からはスチームパンクっぽいつなぎを着た生徒らしき人たちがわらわらと突進してきた。
(これはやばい、魔法の結界でも貼らなきゃいけないか!?)
と思っていると、一人の先生っぽい人が生徒を追い越して駆けつけてきて、私に代表して声をかけてきた。
「これはなんですか?」
私は少し戸惑ったが、正直に、
「これはプラエクスの最新のバスを改造して作ったキャンピングカーっていう乗り物ですよ」
と言うと、その先生は、首里城の中にある蒸気機関学校の先生で、最新式のものに触れる機会がまだ生徒たちにはないので、ぜひ見せてほしいと言われた。
私は知念さんを見つめると、知念さんも、
「こういう地方では最新のスチームパンク工房の蒸気機関を見る機会が滅多にないので、見せてあげたらどうですか?」
と言った。それもそうかと思い、私はうなずいた。
それで、自然と首里城の中を見学することができるようになった。一旦ガレージボックスにキャンピングカーをしまうと、周りの人たちから「オオ〜!」と雄叫びが上がり、拍手喝采された。私はなぜか知らないけれども、サーカスのピエロがやるように丁寧にお辞儀をして、なんだかなぁと思いながら、首里城の中へ学校の先生に連れられて入っていった。
ただ、見学するにあたって条件をつけた。
『おさわりはしないでください。手袋をしてください。キャンピングカーの中は玄関の所までで、それ以上は中に入らないでください。マスクをして喋らないでください。私の指示に従ってください!』
というお約束だ。スタスクちゃんもついでだから、出してあげることにした。
少しまたがりたいと言う人たちが多かったが、絶対またがってはいけないと言った。潔癖症気味の私には、知らない人がまたがるなんて無理だ! ダメ! 絶対!! 私の大切なスタスクちゃんだからね。いくら生活魔法もどきのクリーンがあったって、嫌なものは嫌だ。手袋なしには触らせないよ。直におさわり禁止、ダメ!絶対!!
先生が代表して、
「どこの工房が作ったものですか?」
と聞いてくるので、
「時代屋さんですよ」
と言うと、また大騒ぎになった。やっぱり時代屋さんは生半可な工房じゃないんだなぁと今更ながら思った。
結局、学校中の人が見に来た。私は、みんなが一通り見て満足はしていないかもしれないけれど、これ以上はキリがないと思ったので、「もうしまいます!」と言ってガレージボックスに2台ともしまい、亜空間収納に急いで入れた。職人たちが没頭すると何をするかわからないのは、時代屋さんや蒸気機関組合の人たちを見て知っているからね。
その後、首里城の中を知念さんとゆっくり見学させてもらった。そうしたら、女学生たちも見たいと大騒ぎになったので、時間を決めて見てもらった。みんなセーラー服を着ておしゃれさんだ。
私は、元の日本の首里城とは違う、少し手入れがされていなくて趣のある「生きた首里城」を見ることができたので満足だった。ここの首里城はみんなの生活の一部で、過去の遺産なんかじゃないんだよ。現在の生きた生活そのものなんだ。存続の危機でそれがなくなってしまうかもしれないと、珍しく真面目に思う私であった。
なんちゃってね。




