第52話:元日本からの憧れのキャンピングカーを所望する!……って、ちょっと皆さん、勝手に話を進めないでよ!?
やっとまた、いつもの規則正しいぐだぐだスローライフを送れる日々が始まった。
そんなある日、お昼に生存確認の報告に文明開花に行っていたら、時代屋の風ちゃんが呼びに来た。
『ガレージボックス(駐車場箱)』に収納できる簡易“水洗トイレ”が出来上がったそうだ。私は食後のお茶を一気飲みして時代屋さんに駆け込み、「こんにちは、できたんですか!」と大きな声で言うと、源さんが「おお! 完成したぞ。結構なんだかんだ大変だったぞ、今回は……」と返してきた。
「ありがとうございます、おありがとうごぜいますだーお代官様〜」とちょっと親父ギャグを言ってみたが全く通じず、風ちゃんに冷たい目で見られただけだった。ガクシ……。
試しに何回も出したり入れたり、実験で紙を流したりしたけれども良好だった。
(妾はこれが欲しかったぞえ!)
無事に私は簡易トイレをゲットすることができた。このガレージボックスは私の亜空間収納に入れても大丈夫なので、本当に便利だ。
そして私は源さんに「ちょっとお願いしたいことがあるんですが……」と言うと、「またか……」と源さんたちに苦笑された。
(どういうことですかね?)
ともあれ全員集合で、あの座り心地の良いソファーに座り話し合いが始まった。
私は「円太郎バスってありますよね」と言った。みんな首を縦に振ってうなずいてくれた。
この円太郎バスというのは、元の日本では大正時代に関東大震災が起き、路面電車が壊滅的になったことで、アメリカから輸入したフォードのトラックを元に作られた民間用の乗合バスだそうだ。
しかし、この世界はゴスロリちゃん(ヴォルプタス様)の好みで大震災は起きていないし、この先も起こらないようだ。でもプラエクスは世界のどこよりもスチームパンクや蒸気機関の技術が進んでいるので(私の前任者のスチームパンク好きのおかげで……)、この世界では日本独自に発達したお洒落なバスとして走っている。
元日本の円太郎バスは乗り心地の評判が悪かったりしたらしいが、この世界では謎技術(私のサスペンションの知識のおげで更にらしいが、なはははは)のおかげで評判はすこぶる良い。よくアニメで見るようなレトロで可愛いバスだ。
私は時代屋の面々に話を続けた。
「あの円太郎バスの運転席から後ろの部分を改造して、蒸気機関車の寝台車みたいに――昼間移動している間は座席にして、夜寝るときにベッドに展開できるようにしてほしいんです。あと、簡易キッチンと簡易トイレも作りたいんですよ。確かアメリカとかでもキャンピングカーって今流行り出してますよね?」
そう言うと、源さんは「暁ちゃんはよく知ってるねぇ」と関心し、「蒸気機関車の客車を応用すればできるなぁ。誰もそんなこと考えなかったよ」と腕を組んだ。
「これさえあれば、蒸気機関車で地方に移動して、そこからガレージボックスにしまっておいたキャンピングカーで移動して、宿がないところでも泊まれるじゃないですか! すごく便利ですよ、快適だし! 私、地方の方から来たので(そういう設定だ。ゴスロリちゃんに聞いた情報だからね)、地方は設備があまりプラエクスと比べて良くないのわかってるんで、ぜひ作ってもらいたいんです」
さらに私は畳み掛けた。
「移動中は座っている間腰が痛くないように乗り心地良くして、夜寝る時も寝心地良くしてくださいね! あと、ひえひえ箱とほかほか箱もつけてください。それを部屋の部分にもつけてなんとか応用して冷暖房完備でお願いします。できますよね?」
もう時代屋の皆さんは私の話を聞いておらず、3人で熱心に話し合いが始まってしまった。
また私は、「それでは失礼いたします……」と言って、とぼとぼと帰るのであった。
(私はガレージボックスに入る簡易トイレがゲットできたからいいんだもん……)
ちょっと存在を忘れられて、センチメンタルになる暁、13歳であった。




