第43話:いくら麗しの薫さまでもお伝えしなければいけない事はあるのだよ。複雑な乙女心を知ってちょうだい。
翌日は、お披露目パーティーの招待に歩き回った。スタスクちゃんでだけどね。
まず時代屋さんに行ったら、みんなオーケーだった。それから蒸気機関組合に行って、鉄さんと副組合長の鋼さんと、できる秘書的女性の都さん(この2人はやっと名前が最近わかったんだけどね)も誘ったら来られるそうだ。そしてその足で玲子さんのところにも誘いに行ったら、来てもらえるようで、ここもよかった。
そして服飾組合の環さんのところに行ったら、偶然またまた薫さまもいらっしゃった。
「薫さま!このたびはリフォームで色々とお世話になりありがとうございました」と言ってお披露目パーティーの話をすると、環さんだけでなく薫さまも出席してくださると言うので、私は天にも登る気持ちになった。
そしてテンションが上がったまま、共鳴歯車を環さんにも渡そうと思って話していると、薫さまが「地方と政府が関わる大事な取引で1分1秒を惜しむやりとりをしているので、ぜひ共鳴歯車を譲ってくれないか」と言われてしまった。
時代屋さんと蒸気機関組合にはモニターとして何人か信頼の置ける人に渡してもいいということだったので、長距離用のものを3組と、都市内用のものを2組渡した。環さんと薫さまと私用に、3人用のものもそれぞれに渡すことにした。
「ちょっと失礼」と部屋の隅っこで、こそこそと薫さまにはふさわしい上品なデコを、環さんには可愛くカラフルにしてデコったものを根付け風にして渡した。異界を通った油性ペンでデコしたものだけど。
そして、いくら薫さまといえども言わなければならないことがある。「これは秘伝で門外不出の一子相伝の技術なので、決して中身については聞かないでください。また政府の方や他の華族の方々にも、そのようにお伝え下さい。でないとヴォルプタス様が……」と、ちょっと乙女らしからぬ低い声でお伝えした。これだけは言っとかないとね。私のスローライフを守りたいから、めんどくさいことはやだ!!
2人とも固く固く約束してくれた。
ではまた当日にと、「ごきげんよう!」と静々と服飾組合を出て、あぁ今日も目の保養したなぁ。良いものを眺められたと文明開花までスタスクちゃんで爆走して帰って行ったのであった。




