第38話:イケメンの幻影から生還! そして新たな謎発明「共鳴歯車」誕生
私は服飾組合を出て、そのまんま時代屋さんに向かった。そして乱暴に大音量のベルを鳴らした。そしたら源さんが出てきた。私は夢の世界から現実に戻ってきた。ありがとう、時代屋の源さん、私の目を覚まさせてくれて。
「こんにちは。今日はお願いがあってきたんですけど、少しいいですか」
「おお!いいぞ中に入ってくれ」
私は勝手知ったる他人の家で遠慮もせずに、勝手に座り心地の良いソファーに座った。そして源さんが向かいに座った。
「他の皆さんは?」
「おお今呼ぶぞ」
と謎の鈴を鳴らすと、中から元さんと風ちゃんが出てきた。
「こんにちは」
「「おっ!いらっしゃい」」
「今日は皆様にご報告とお願いに来ました。まず、私、家を購入しました」
「えっ!」
「それはまたおめでとう」
「ずいぶん急だなぁ…」
と3人は驚いていたが、話を聞いてくれる姿勢だったので、私はそのまま続けた。
「場所はちょうど時代屋さんと文明開花の裏の白い壁の向こうの、ラピスラズリの屋根のお家ですよ」
「よくもまぁあんな高級住宅街が買えたなぁ。いくらお金があっても、なかなか壁の向こうの地区は買えないんだぞ」
「それがラッキーだったんですよ。昨日散歩に行ったら急に買えることになりました」
「暁ちゃんは相変わらずだなぁ…」
「それでですね。いくつかお願いがあるんですよ。本当は時代屋さんにお願いしたかったんですけど、組合でいろいろ大変みたいで。今回は水回りは全部環さんのお兄さんの会社でお願いすることになりました。うふふふふ」
「あの華族様の社長の所かい?評判も腕もいいらしいけれど、なかなか一見さんお断りで頼めないって聞いてたぞ」
「ちょうどさっき、服飾組合の環さんのところに行ったら、いらっしゃられたのでございます」
「おいおいなんか言葉遣いおかしくなってるぞ」
(そりゃあれだけのイケメンを見れば誰でもおかしくなるわなぁ。)
「そんなことございませんこと。ほほほほほほ」
風ちゃんがとても冷たい目で私を見ていた。でも気にしない。まだまだあのイケメンの効果が私にはあるのだ。ハハハ。
「それでですね。ちょっと恥ずかしいので風ちゃん、ちょっとこっち来て」
「なんですか?」
2人で隅でこそこそと話した。私はウォシュレットが欲しいのだ。やっぱり13歳の純情乙女としては、おじさま2人にウォシュレットの詳しい話はできないので、風ちゃんに話したのだ。
話すと風ちゃんが「また画期的な発明だ!」と叫んだ!
おじさんたちも聞き耳を立てようとしたので、私は大きな声で「ちょっと待ってください。もう一つあるんです。これは時間がかかってもいいんですけども、ちょっと見てもらえますか? 何かこの歯車が入る深皿みたいなものを2つ貸してください」と言って、深皿を風ちゃんに持ってきてもらった。
そして、そこにあのリサイクルステーション(ゴミ捨て場)で拾った歯車を2つ取り出した。2つとも別々の種類だが、拾ったものだからしょうがない。それを深皿の中にそれぞれ入れて、それから取り出したのは――それはドラッグストア機能で懐中時計ショップで買った、炭酸のお風呂の入浴剤だ。
丸くなっていたものをちょうど半分に切った。それをそれぞれの歯車に半分のものを1つずつ入れて、水を注ぎ歯車をシュワシュワさせた。
その間、時代屋の3人はガン見していたが、さすがベテラン職人さんたちだ。余計な事は言わず黙って見ていた。シュワシュワが終わったので、手ぬぐいを取り出して拭き、1つを風ちゃんに渡した。歯車には、表面に半分が濃い色で半分がそのままの色になっていて、壱と弍が浮き出ている。そして風ちゃんに部屋の端に行ってもらった。
そして私は歯車の薄い方の弍を5回指先でカンカンカンカンカンと叩いた。そうすると風ちゃんの方からカチカチカチカチと言う音がする。
私は「風ちゃん、それ指で3回弾いて」と大きな声で言うと、風ちゃんが「どこでもいいの?」と言うので、「濃い色の方が自分の歯車の番号だよ。だから今私がかけたから、自分の色の方を3回弾いてね」と伝えた。
風ちゃんが自分の濃い色の弍のところを3回、カン、カン、カンと叩いたので、私は「もしもし聞こえますか、もしもし」とちっちゃい声で言うと、風ちゃんがびっくりした顔でうなずいている。
だから、歯車に向かって小さい声で「風ちゃん何か喋って」と言うと、風ちゃんが「聞こえてるよ」と小さな声で言った。
それを見た源さんと元さんは風ちゃんのほうに駆け寄っていった。
なので、私は風ちゃんに「2回また指で弾いて」と言うと、風ちゃんが2回弾いた。すると通話が終わった。
「風ちゃん、今度は薄くなっている壱のところを5回叩いて」と言うと5回叩いてくれた。そうすると私の持っている歯車が、カチカチカチカチと音をさせた。私は自分の歯車の濃い色の壱を3回叩いた。そして小さい声で「もしもし、聞こえてる?」「聞こえてる、聞こえてる」と言うので、2回歯車を指先で弾いて通話を終えた。
そう。これはよくある――あるあるの「共鳴石」ならぬ、**「共鳴歯車」**を私は作ってしまったのだ。
ドラッグストア機能様々だ。既定のものをこれに加工できたのは、懐中時計の検索機能を調べたおかげだ。ほんとにゴスロリちゃん様々ありがとう。チートよ。
そこからがまた地獄の時間が待っていた。ほんとに長かった。おじさんたちに囲まれ、これはなんだと聞かれたが、「これは秘伝ですから、一子相伝の秘密です」と言って、ドラッグストアで買った丸い炭酸ガスの入浴剤を見せた。
これは異界を渡ってきて、亜空間収納のゴミ箱にエネルギーを捨てずにそのままのものなので、こういうことができるらしい。
「これは2つに割って、それぞれ共鳴させると、日本全土だったら通話できます。ただし、3ヶ月しか持たないから、またこのシュワシュワで加工しなければなりません。これを4分の1にすると、このプラエスクの大きさ位だったら4人で話せます。グループ通話です。これは4分割すると、シュワシュワの後に表面に壱、弍、参、肆と4分割の模様が浮き上がってきて、自分の色は濃い色のところになってます。通話したい人全員の時は全員のところをリズムよく順番とかどうでもいいので2回ずつ指で弾くと全員としゃべれます。1人の人と2人で喋りたい時はその人のところだけ5回指で弾いて鳴らします。3人の時はその喋りたい人を2回ずつカンカン、次の番号をカンカンと鳴らします。そうすると3人でしゃべれます。しゃべってる間は電話をかけてない人がいくらかけようと思っても、ガガガガガガって雑音がしてしゃべれないので、ガガガガガガガガがなくなってからかければつながります。それにこれは今試してもらってわかったと思うけど、周りにも結構聞こえちゃうので秘密で話したい時はどこか聞こえない場所に行くか、何か聞こえなくなる道具でも使ってください。
(私は魔法のイメージでサイレントを使うからな。アニメの申し子だな!私はチートだからな!ははは。ここまでやったんだから他の技術はこの世界の人が謎技術でどうとでもしてくれ!私は知らん)
でもこれもやはり3ヶ月しか持ちませんし、このシュワシュワの数が限られているので、おろせる数が決まってます。下ろす場所は時代屋さんでいいですか」
「うちでいいのかい?」
「いや、時代屋さんしか守秘義務守れないでしょう。いつもと同じですけど、外に漏らさないでくださいね。そうでないと…わかってますね」
といつもの低い声で言うと、3人ともうんうんと首を縦に目一杯振ってくれた。
あとはもう源さんたちに丸投げだ。月に1度、時代屋さんに下ろして、あとは自分たちでやってもらう。値段ももう勝手に決めてもらって、勝手に特許料は払ってもらうことにした。ただ炭酸入浴剤をつけるだけだけどね。でもきっと時代屋さんだからもっと使い勝手が良くなるようにするんだろうね。何枚も持ったらわからなくなるもんね。誰が誰との歯車だなんて。
でも、私にはドラッグストア機能があるから、異界を通った強力な油性ペンがあるからそれで書けばいいのさ。それに空間収納に入れとけば鑑定機能もあるし、インデックス機能もあるからすぐ取り出せるからね。この世界の皆さん頑張ってくれ!私はヴォルプタス様のお言葉があるから安全安心。
「私がさっき風ちゃんに伝えたウォッシュレットというものは至急、緊急で作ってください。お願いします。共鳴歯車より先にお願いします」と釘を刺しておいた。
(これは生活魔法っぽいクリーンでできるけど、やっぱりウォッシュレットが欲しいのさ。)
あぁ今日はいい仕事をしたなぁ。イケメンと同じ空間に入れたしね。
これで通話機能がある共鳴歯車があれば、やたらめったらみんなが私の大事なお城にやってこないで、まずは歯車通話をしてからにしてもらうよ。
よしよし、やっぱり薫様を拝めたおかげちゃん。よっしゃよっしゃ。
よは満足じゃ、良い1日だったジョイ!
薫様のせいで、頭がちょっとショートしたみたい。目が潰れなかっただけよかった。よかった。




