第37話:薫様登場に振り回される13歳な私の乙女心
とりあえず3人で応接セットに座った。目の前には薫様がいる。私は直視できない。だって目が潰れちゃうもん。まぶしすぎてしょうがないもん。
それなので見慣れた環さんの顔を見つめていると、環さんが「ほんと暁ちゃんて面白いんだから。それに可愛いね。薫のこと見れないなんて」と言った。
(おい!口に出して、薫様の前で言うんじゃねーよ。乙女心わかれよ。あんたも乙女だろ!)
「そんな…」と、私はいつになくしどろもどろになってしまった。
環さんが「今日は特許料の支払いと、例の納品の確認関係だけでいいのかしら?」と尋ねてくる。組合長として薫様の前でも仕事の話を優先してくれるのはありがたい。
答えようとすると、トントンとドアをノックする音が聞こえて、先程の職員の人がコーヒーを3つ入れて応接セットのテーブルの上に置いてすぐ出て行った。
私は落ち着くためにブラックコーヒーを優雅に見えるように1口飲んだ。
(コーヒーの香りとこの苦味は、この興奮した私には良い薬だなぁ。落ち着いたよ)
そしておかしそうに笑っている環さんに向かって、「1つご報告があります。私、家を購入しました」と言うと、環さんは「あらま!!」と驚いた。薫様も驚いた。そのびっくり顔も素敵です。
(だめだめ見ちゃだめ。平常心、平常心)
「文明開花の裏にある白い高い壁の向こう側にあるラピスラズリの屋根の家が買えたんですよ。昨日…」
「まあ…急ねー」
「そうなんですよ。私も自分でびっくりしたんですけど、偶然が重なって理想のお家が買えたので私はホックホックなんです」
「それはよかったわね。おめでとう」
「ありがとうございます。それで環さんにちょっとお伺いしたいんですけど、私キッチンとかお風呂とか洗面所とか水回りだけは最新式で新しくしたいんですけど、どこかご存知じゃないですか?」
「そうね…」
「時代屋さんにお願いしようかなぁとも思ったんだけど、時代屋さんも色々と忙しいし、今回は既存のもので済そうと思って。でも一部、時代屋さんにお願いすることもあるんですけどね。あんまり全部だと負担になっちゃうと申し訳ないし」
と言うと、低音ボイスで薫様が「うちの会社にそういった関係の部署もあるから声かけてみようか?」と言ってくれた。
「そんな、薫様に、ご負担かけるわけには…」
と私が必死で途切れ途切れ言うと、環さんが笑いながら「何、暁ちゃん遠慮してるのよ。こういう時は専門家を頼ったほうがいいのよ。それに知っているところのほうが安心安全でしょう?」と言ったので、お願いすることにしてみた。
何回も直接1対1で薫様に会ったら私のHPが減ってしまうので、環さんがいるときにと思って今希望を全部薫様に伝えた。
そして薫様が関係のある部署に伝えて、後日見積もり等を持って文明開花に関係部署の人が来てくれることになった。
(薫様、おありがとうごぜいますだ)
そして環さんにもお礼を言って、私は服飾組合を出たのであった。
この世界に来て、こんなイケメンと同じ空間に存在できるなんて、私はなんて幸せなんだろう。元の世界の私にちょっと自慢したくなった。
暁13歳、純粋可憐な乙女であった。




