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大正浪漫なスチームパンクの蒸気都市で、ドラッグストア機能とポイントを駆使してスローライフを送ります  作者: Fos B


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第29話:うっかりバレたらビジネスチャンス!女性限定の戦略会議の開幕です!

瞳さんと花ちゃんにシャンプー&トリートメントを分けた、翌日のことだった。

私は今、恐ろしい人々に囲まれていた。

人気のなくなった『文明開花』の食堂の片隅に、富さん、冬さん、民さん、そして――あのモガのパッツンおかっぱこと、玲子さんだ。玲子さんは、あのあんぱんを1万円で買ってくれた人であり、『文明開花』に度々ランチをしに来る常連客だ。瞳さんたちとはやはり幼馴染みだそうで、職業婦人としてデザイナー兼ブティックを営みつつ、趣味は「食べること」と以前挨拶されていたので顔見知りではある。

そして今、私はその玲子さんたちにシャンプー&トリートメントのことを聞かれ、ガッチリと包囲されていた。

食堂の入り口の方では、瞳さんが「ごめんね……!」と両手を合わせて私を一生懸命拝んでいる。理さんはキッチンの扉をピッチリ閉めてこちらに近寄ってこない。花ちゃんはとうにプライベートルームへ逃げ込んでいない。

「皆さん、そんな怖い顔してどうしたんですか? 私、何かしました?」

「シャンプーとトリートメントっていうの、私たちにも分けてもらえないかしら?」

「瞳は絶対に口を割らなかったんだけど、理さんがさらっと瞳にキッチンで話しているのを、私、偶然聞いちゃったのよねぇ」

私がちらっと瞳さんを見ると、拝み具合がさらに激しくなった。

(理さんめ……! やっぱり奴はいろいろやらかすな。しかも逃げ足が早い。もうこうなったら、明日みっちりケーキを作らせるしかないな。それもシフォンケーキだ。腕がパンパンになる刑に処してやる。

……ん? 待てよ? 卵白の泡立てって、もしかして魔法で簡単にできちゃったりするのかな? それだと「腕がパンパンの刑」にはできないか。いや、ここはあえて手動でやらせよう。その方が「腕を目一杯動かして作ったから滑らかで美味しい」ってなるし!)

「わかりました! 皆さんにもお分けします。ところで……玲子さんもですか?」

「もちろんよ! 私だけのけ者にしないでよ」

「そうですか、そうですか……では、これから『文明開花・女性限定戦略会議』を開催したいと思います。皆様、そちらの席にお座りください」

みんな一瞬驚いたが、おとなしくテーブルについてくれた。もちろん、入り口からそわそわと近づいてきた瞳さんも一緒だ。

「では、今回は玲子さんにお願いがあります」

「何かしら?」

「今現在、女性の下着……特に胸当てですが、あんまり良いものがないと聞いています。さらしを巻くか、何のサポートもないもので抑えるか、あるいは締め付けが激しすぎるコルセットか……」

「そうよ、みんなそんなもんじゃないかしら? うちのお店でも、そういったものを求めてお客様が来店するわ」

「では、こちらをご覧ください。こちらは『カップ付きインナー』と申しまして、下着の代わりに一枚で着るものです。程良い締め付けと、とても優れたホールド感で、無理なく綺麗なプロポーションに見せることができるんですよ。そして、こちらの最新式の胸当てもあります。これをつけていれば、胸の形が崩れにくくなるんです。こういったものと同じものを、玲子さんのお店で作れませんかね?」

「なにこれ……なんて素晴らしいものなの! 画期的だわ……! 今のコルセットなんて、みんな息が詰まりそうになって時々倒れる人も続出しているのよ」

「無理な締め付けは骨を歪めたりして本当は危ないんですよ。ぜひ、これを作ってほしいんです」

「これは私と暁ちゃんの共同特許ってことでいいのかしら?」

「もちろんです! めんどくさい実務や生産は全てお任せしちゃいますので。あ、各サイズあります。S、M、L、LL、それに3Lと4Lまでサイズが揃っていますから、見本として持っていってください。こっちのカップ付きインナーと、寄せて上げる胸当ての両方の開発をお願いします! それから、できればこういう形の下着は上下お揃いなんかになっていると可愛いと思うので、そのあたりもよろしくお願いしますね」

「まあまあ、なんて素敵な……!」

もう玲子さんは下着のサンプルにすっかり夢中になっている。

(あるあるがまたまた重なってきたね、うふふ。不労所得がガッポガッポ増えていくよ。ほほほほほほ……!)

「あ、それと皆さん。シャンプーとトリートメントの件はどうなったのって顔をしていますけど……本当に在庫がなくて、これ以上は一般には増やせないんです。どうか、ご家族やごく親しい方だけの秘密にしてくださいね。何か聞かれたら、『文明開花のご飯を食べてたら自然とこうなった』とでもごまかしてください。これは絶対の約束ですよ! なくなったら私に言ってくれれば補充しますから」

(そのうち商業組合のほうにも正式に登録しなきゃいけないかもなぁ……あぁ、めんどくさい。そういえば……)

「玲子さん、そういえばこういう衣類は、服飾組合に特許の登録しなきゃいけないんですよね?私も組合に登録しなきゃいけないんですか?」

「そうね。私の方で商品開発ができたあとに、一緒に登録に行きましょうか」

「では、よろしくお願いしますね!」

「こちらこそよろしくね、暁ちゃん!」

「では、これにて『文明開花・女性限定戦略会議』を終了させていただきます。皆様、こちらをお持ちください」

私は用意していた4人分のシャンプー&トリートメント(こちらの世界仕様のパッケージに包まれたもの)を渡し、皆さんに満足して帰っていただいた。

そして――私は瞳さんと一緒に、理さんの待つキッチンへと向かっていくのであった。覚悟してちょうだい。やらかし理さん。

もう、今すぐシフォンケーキを作ってもらおう。夜のおやつだ。夜のおやつでも食べないとやってられないよ!

……うん、これだけ動いてるんだから、絶対にぽっちゃりになんてならないからね!あっ!女神様のチートがあるんだった。ほほほほほ。

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