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大正浪漫なスチームパンクの蒸気都市で、ドラッグストア機能とポイントを駆使してスローライフを送ります  作者: Fos B


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第23話:チョココロネは貨幣ですか?はい近いです。

チョココロネの紳士が「蒸気機関組合の組合長をしている『鉄(てつ)』だ。もう何度か会ってるが、きちんと挨拶するのは初めてだったなぁ。あのチョココロネの美味しさと……いや、この度は時代屋さんと一緒になって、蒸気機関車の件では君にはすごくお世話になった。本当にありがとう。政府機関からはもっと乗り心地を良くしろと突かれるし、組合の会員からはそんな無理を言うなと責められるし、本当、生きた心地がしない時だったんだよ。その時にあのチョココロネを食べさせてもらって、元気が出たんだ。本当に感謝しているよ」

(チョココロネに感謝なんですね……)

「もうご存知だと思いますが、私は暁です。先日はチョココロネのお買い上げ、ありがとうございました。また、文明開花にも何度か足をお運びいただき、ご贔屓にしていただいてありがとうございます」

「あのチョココロネはもうないのかい?本当にこの世のものとも思えない美味しさだったんだよ。あれのおかげで何とか乗り越えられたんだ。ところであそこに書いてあった『30%OFF』とはどういう意味だい?」

(出た出た。来ると思ってましたよー)

「話すと長くなりますが、あれは私が……ここだけの話ですが」と声を落として話し出した。「私はかなり地方から出てきてるんですが、これは文明開花の皆さんにもお話ししていることですが、絶対にここだけの、時代屋さんと組合長さんだけの間の話にしてくださいね。皆さん、いいですか?」

「「「「「ハイ」」」」」

(さぁ、私の超スキル『ごまかし』で乗り越えなくては)

「私は実は今、修行中なんです。詳しい話はできないんですけれど……あれはプラエクスに来る前に、超過激な修行をしていたときのことです。あまりに可愛い子がくたびれ果てて立てないような時、師匠の奥様が書いてくださった護符のようなものなんです。師匠の奥様が気持ちを込めて、特別な素材で、金運の黄色の下地に祝福の朱色で『疲れが30%OFFになりますように』と書いてくれたんです。100%OFFにすると、修行した分まで100%なくなってしまうので、ちょうどいい塩梅の30%の疲れをとってくれる。そういう護符らしいです。師匠の奥さんも『本当にそうなるかはわからないけどね』って言いながら、あのチョココロネに貼ってくれて……あれを食べれば回復してまた修行ができるって言ってくれたんですよ。本当のところはわかりませんが……」

(さあさあ、みんな信じてちょうだい)

そう私が言うと、「だからあんなに気分がスッキリしたんだ。だからあんなに満たされた気持ちになれたんだなぁ」と、組合長が言い出した。

(それはチョコレートポリフェノールのおかげだよ。幸せホルモンが出てるだけだよ)

「いや、本当かどうかはわからないんですけどね。でも、そう言っていただけるなら嬉しいですよ。ハハハ」

「ところで、暁ちゃん、あのチョココロネはもう手に入らないのかね?」と組合長が言うと、源さんが「その前に、蒸気機関の特許の話が先だろうが。組合長はしょうがないなぁ」と割って入る。

「あぁそうだった。そうだった。とにかく、今までない画期的なサスペンションの特許だから、時代屋さんと半分ずつで申請しておいたから共同ということで」

「私、目立つの嫌なんですよ。面倒事が来るような……」

「それは大丈夫だよ。いくら政府のお偉いさんや華族たちとは言え、誠心誠意・誠実に外れるようなことをしてヴォルプタス様の怒りは買いたくないからな。怒りを買ったら一族の恥になるからな。大丈夫だよ」

(ゴスロリちゃん、ありがたやありがたや)

「わかりました。蒸気機関組合に登録はするんですか?」

「そうだ。後で手続きをするから」

「それじゃあ、料理組合にも入っているので、これで登録をお願いします」と組合カードを渡した。

「わかった」

ちょうどそのタイミングでノックが聞こえた。いかにも秘書、できる女性ですという感じの人がお茶を持ってきてくれた。良い香りのする緑茶だった。組合長が私の組合員カードを渡して登録するように説明をしてくれた。女性が出て行ってから、また話しかけてくる。

「本当にチョココロネはもうないのかい?」

(チョココロネになにかヤバいものでも入ってたか? こんなにしつこいなんて)

「皆さん、またここだけの話になっちゃいますが、今から話す話はここだけの話にしてもらえますか? 文明開花の皆さんにはなんとなくだけは言ってありますけど、絶対に内緒ですよ。わかりましたか?」

「「「「ハイ」」」」

「実はですね、私のこの収納カバンなんですけど、普通の収納カバンじゃないんですよ。実は祖父から受け継いだアーティファクトなんです」

「「「「なんだって?」」」」

(みんな事前に打ち合わせたんですか? 声が合いすぎてますよ)

「かなりの容量が入って、実は時間も経過しないんですよ」

「そんなもの聞いたことがないぞ」

「見せてくれないか?」

「組合長、何言ってるんですか? アーティファクトに関しては『触れず、見て見ぬふり』が鉄則じゃないですか。これを守らなかったらヴォルプタス様が……」

「そうだったな。悪かったな、暁ちゃん」

(なんとも頼もしいご都合主義ゴスロリちゃん、良い仕事してるね)

「お気になさらずに」と私は笑顔で答えた。そして、「チョココロネなら、かなりあるんですよ。田舎から持ってきたので。ただ1つお願いがあるんですけど、私修行の一環で見聞のために、ボルト、ナット、釘、真鍮製・銅製のパイプや管、ゼンマイ、スプリング、バルブ・コック、リベット、圧力計・メーターなどの計器類の『いらないもの・処分するもの』があったらいただきたいんですけれど。何に使うかとかは聞かないでくださいね。これは一子相伝の秘密なんで」

「そういった処分するものなら、倉庫にいっぱいあって処分待ちになっているんだ。後で行って取りに行こう」

「本当にいいんですか?」

「人件費を使って処分しなければいけないから、それがなくなるならこちらは大歓迎だよ」

「できれば定期的にいただければ助かるんですけど」

「それは大丈夫だよ。ここは組合だからね。いろいろといらないものが持ち込まれるんだよ。ただ、危ないものなど渡せないものもあるからね」

「当然ですよ。あ、とりあえずこれ、お納めください」と、10個ほどのチョココロネ(今回は30%OFFシールなし)をテーブルの上にどんと出した。

(組合長、そちも悪よの〜。ほほほ)

これで私のスローライフが本格的に始まるぞ。……何回も始まってるような気もしないでもないが。とにかく、ただでもらえるものはもらっておけ。


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