第21話:目指せ!推しの運転するおしゃれなスクーターの後ろに乗る13歳の平たい顔の王女じゃない乙女な私…
そこからは地獄の質問攻めだった。これは私が中間テストで一夜漬けの徹夜を回避した罰ですか? 元の日本での私の努力を少しは理解しろと言う何かの暗示ですか?
源さん、元さん、そして同い年の風ちゃんまで。「どんな形にするんだ?」「仕様はどうするんだ?」って、みんなで私に質問の嵐だ。私の、もはや画伯としか思えない下手くそな絵や図と、いい加減な言葉の説明。でも、何とかみんなわかってくれているらしい。
源さんに「どんな感じの形や色にしたいんだ?」と何度も聞かれ、私の脳内シミュレーションが記憶とともに作動した。
……お母さんが休みの日にサブスクで見てた、あの名作モノクロ映画に出てくるイタリアの有名なおしゃれスクーター! トレンチコートを着た渋いアメリカの新聞記者役の推しが運転して、王女様を後ろに乗せてたやつ……あんな感じのがいいな! 足を揃えて乗れて、サイドカーもついたやつ!
あの王女様みたいに、私もあの渋い記者の後ろに乗りたかったなぁ……。
ま、私は王女様じゃなくて、ただの平たい顔族の13歳の乙女だけどね!
映画は白黒だったから、元の色がどんなものかはわからないけど、この大正浪漫なスチームパンクの世界に合う13歳の乙女らしい色ってことで、「深いローズピンクにしようかな。少しキラキララメが入ってて……って、作れるのかな?」
「ラメってなんだ?」ってなったから、「真珠の粉のようにキラキラしたのが表面全体についてるやつですよー」って当然のように言ったら、みんななんとなく納得した。テヘッ
私はまたまた、私の口頭テクニックな説明と画伯な絵と図で何とか理解してもらえたと思う。3人がすごく盛り上がってるからね。
それから、1番大事なことを聞いた。
「あの、13歳の私がスクーターを運転してもいいんですか?」って。
そしたら、元の日本みたいに特に免許とかはいらないらしい。そのかわり、車やバイクはそのもの自体を役場に登録して、そうすれば誰でも乗っても構わないとのこと。
まぁ、いわゆる自己責任ってやつですかね。かえってそのほうが厳しいような気もするけど……!
なので、安心してすっかり気が抜けてしまった。
その後はもう記憶がない。
ソファーがやけに座り心地がいいせいだ。居心地がいいからって、もう文明開化に帰る気力すらないよ〜。
ではおやすみなさい……。




