第18話:お宝大量ゲットだぜ!! ただって最高!!
私は朝から上機嫌だった。
(んふふ〜ふ〜ん。食べても食べてもぽっちゃりし〜ラズ〜、たらったら〜♪)
と、わけのわからない鼻歌を歌いながら階段を降りた。階段の下にいる花ちゃんと目が合ってしまった……どうやら声に出していたらしい。こういう時は必殺ごまかし攻撃だ!
「花ちゃん、おはよう!」
「お姉ちゃん、おはよう。お姉ちゃんなんかいいことあったの? 朝からへん……楽しそうな歌歌ってるね」
(今、へんって言いかけましたよね?)
「昨日甘味ができたし、今朝は中華粥がこれから食べられるし、嬉しくて嬉しくてしょうがないのよ!」
「お姉ちゃん、ほんとだね! プリンおいしいよね。バケツでプリンが食べたいくらいおいしかった」
(ぽっちゃりコース間違いなしだぞ! 私は違うがな、ハハハ)
そして、朝からもりもりと中華粥を食べた。うん、やっぱり理さんは天才だ!!
仕事が本格的に忙しくなる前に、私はみんなに「ちょっとこっち来て」と集まってもらった。
「皆さんにお聞きしたいことがあるんですが」
「改まってどうしたの?」
「実は私、修行の一環で見聞きのために、釘とか歯車とかそういうのを集めなきゃいけないんです」
(どういう修行じゃい!)
「本当は時代屋さんに聞こうと思ったけど、なかなか帰ってこないから……皆さん、どこかで歯車とか釘とか、売ってたり捨ててあったりするところ知りませんか?」
(コンパクト……じゃなくて懐中時計ショップのための素材が全然拾えないんだよね。早く集めたいんだけどなぁ)
「あー、それなら、生ごみとかそこのゴミ箱に入るものは魔石のついた魔導具のゴミ箱に捨てられるけれども、その他の粗大ゴミとかさ、壊れて使えなくなった大きなカバンとか釘とか歯車とかは、1カ所捨てに行くところがあるんだよ」
「そこにあるものって、拾っても構わないんですか?」
「あぁ、そこはリサイクルも兼ねてるから、誰でもそこに持ち込んでいいし、持っていってもいいんだよ。ただ、タイミングが悪いとすぐに処理されるけどね」
「ここから遠いんですか?」
「市場の向こう側にあるよ。市場の近くじゃないと不便だからね」
「お姉ちゃん、じゃあ途中まで一緒に行こうよ!」
「うん、そうしようそうしよう! まずは無料のものからいかないと、まだ実際現金が手に入ってないしね」
(考えてみたら、あのシャーロック・ホームズみたいな男の人とモガの女の人にブツブツ交換でもらった2万円だけだもんなぁ。ちょっと心もとないしな……)
「理さん、瞳さん、ちょっと物色してきていいですか?」
「あぁ、もちろんいいよ。気をつけて行っておいで」
「ハイ!」
というわけで、花ちゃんと一緒に『リサイクルエリア』へ行くことになった。花ちゃんとは途中で別れ、そこからは懐中時計のマップ機能で見ながら歩いて行った。そんなにかからずに到着する。
「わぁ……!」
さすがスチームパンクの世界、元日本の粗大ゴミ置き場とはワケが違う。巨大で不思議な形をした鉄製品や大きな歯車、何に使うのかわからないようなものが山のようにドーンと積まれている。でも、ちゃんと整理されていて崩れないようになっている。
「んふふ〜ふ〜ん。お宝〜お宝〜、食べてられないけどお宝〜♪ ぽっちゃりし〜ラズ〜、たらったら〜♪」
1人でご機嫌で歌いながら物色し始めた。
そうすると、あるわあるわ! これは一体何に使うんだと思うような超巨大な歯車はまるで芸術品のようだ。あっちには釘が山ほど置いてある。
これ、本当にもらっていいのかな? だって『ただ』だよ? 『ただより高いものはない』って言うけど、大丈夫だよね?
なんたって、私にはヴォルプタスさ〜まの加護付きだからね!
キョロキョロして誰もいないのを確かめると、ポイポイポイポイと亜空間収納にしまい込んでいく。その都度、鑑定の文字が瞬時に脳内に流れていく。
「すごい、これ全部けっこう価値あるものじゃん……! なんで捨てられてんだろうねぇ、ほんとこのリサイクルエリアお宝の山じゃん! しょっちゅう来るようにしよう」
ゴミ拾い? いやいやゴミじゃない、お宝拾いだ! ハハハ、これで私の異世界スローライフも安泰じゃな。
「そちも悪よのぅ……ハハハはは!」
――って、そちって誰だよ。
私は浮かれすぎて、ちょっと危ない人になっていたみたいだけれど、誰もいないからまぁいっか!




