第15話:『アーマックアーマックアーマクナーレ』って何⁈
朝、時計塔の鐘の音に起こされてから食堂に降りて行った。
みんな朝から妙にハイテンションだ。花ちゃんが謎の鼻歌を歌っている。そして時々「甘味~、甘味~」とつぶやいているようないないような?
「お姉ちゃん、学校に行ってくるね。今日楽しみだね」
「いってらっしゃい。気をつけて」
「私、ウェーブするために疲れないようにしてくるからね」
と、耳元で内緒話をこそこそしていった。
そして、市場が少し落ち着いたお昼過ぎ、いつものおばちゃんが配達してきてくれた。みずみずしい砂糖大根だ。
「ほんとにこんなもん何に使うんだい? えぐくて、苦くて食べれたもんじゃないんだよ」
「そうなんですよね……」
「おっと、隣の人に店番頼んでるんだ。急がなきゃ、毎度またねー!」
(いつも元気だなぁ)
「じゃあ私、裏庭に行って、ちょちょいっとしてきますね」
「ほどほどにね」
「もちろん」
(はじまりはじまり~、あるあるはじまり~)
私も花ちゃんの謎の鼻歌が移ったのか、変な歌を歌ってしまっている。もちろん心の中でだ……。
とりあえず、「土よ~、ひっくり返って盛り上がってちょうだいな! うねうねう~ね、うねうねう~ね」と、今日は控えめにした。
(どこがやねん! ごめん、エセ関西弁使っちゃいました。許して。誰に謝ってんじゃい)
きれいな畝ができた。そして持ってきてもらった砂糖大根のいくつかを土に植え、「種ちょうだい! 種ちょうだい! 私は種が欲しいのよ、お・ね・が・い」と言うと、たくさんの種がざわざわできて、ちょうど枯れて種を取れるようになった。
(まぁ、私ったらなんてチートなんでしょう)
「魔法少女・暁! 見参!」とポーズを決めた途端、何か視線が……。
「花ちゃん、おかえり」
またまた秘伝のポーズを見られてしまった。
「これはまだ花ちゃんには早いと思って教えてなかったけど……。でもそろそろ教えて進ぜよう」
「師匠、そのポーズがポイントなんですか?」
「良いところに気がついたね、花君! いつものウェーブに手首をきかせて、最後にこのポーズが決め手なんだ。それに呪文が『アーマックアーマックアーマクナーレ』。ただこれも秘伝だから外では絶対やっちゃいけないし、人前でもダメだからね」
「はい! 師匠!」
「では一緒にやってみよう。今、種をまくから、一緒にまず種をまくところからにしよう」
「ハイ!」
用意ができてしまったので――。
「では花君、せ~の!!」
「「アーマックアーマックアーマクナーレ!!」」
……私は花ちゃんと一緒に、スーパーウェーブを取得したのであった。
そして、見事ある程度の数ができたので、理さんのところに砂糖大根を持っていった。そういえば以前は配膳の窓が長くていつも開いていたんだけれども、機密事項が多すぎるので、最近は閉めるようになっている。なんかほんとに秘密の研究機関のようだな。ハハハ……。
私は理さんに説明した。私の説明と一緒に、理さんも作り始めた。
まず葉っぱを切り落とし、エグ味があるので皮を剥いてスライスする。それをお湯でぐつぐつぐつぐつ煮込んで、ぐずぐずにし、漉す。そして、その液を乾燥させるためにまたぐつぐつ煮る。そうすると、砂糖の出来上がりだ。
ただ魔法は使ったけれど、なるべくエグ味をなくすようにはしたつもりだった。けれど、もしエグ味がきついようだったら、貝殻か何かで石灰を作らなければならない。ちとそれはめんどいなぁ。
まずは味見をしてみる。
「?」
「どうした? 苦いか? まずいか? 毒か?」
みんなが心配そうに私を見ている。
私は拳を天井に上げた。
「うまいどー!」
そういうと、みんな一斉にスプーンを使って食べ出した。そして、
「「「うまいどー!」」」
みんなは私を真似てくれた。(そこは真似しないで~)
なんか、あの謎の「アーマックアーマックアーマクナーレ」が品質改良をしてしまったらしく、元日本の砂糖と全然変わりがなくなってしまった。
やってしまった……。
まぁいいか!




