第14話:諸行無常の響き無し、ただし糖分は有り!
あの後、すぐに文明開花に瞳さんと帰った。
「ただいま帰りました」
「ただいま、何か変わりなかった?」
「あぁ、さっき時代屋の風ちゃんが駆け込んできて、これから急に仕事で3人で出かけるから当分帰って来れないからよろしくって。あと、まかないも帰ってきたらまたお願いしたいって慌てて出たよ」
(そうですか。そうですかいよいよテンプレですか?)
「なんか風ちゃんが暁ちゃんにありがとうって言ってたよ。源さんと元さんも帰ってきたらお礼しに来るからって伝えてって言われたんだけど、なんかしたの?」
(いよいよですね。いよいよですね。諸行無常の響きなしなデレクトアティオもいよいよ加速装置が働きますか! 私のおかげですか?なんちって)
「いえいえ、なんか思いついたのをちょっとぼそっと言っただけで何にもしてないですよ」
「そうなんだ」
裏口から花ちゃんが、こちらに向かって声をかけてきた。
「お姉ちゃん、早く例のウェーブってやつやろう?」
「あぁ今行く、ちょっと待っててねー」
「じゃぁ私、裏庭でスパイスのお世話してきます。あと瞳さんに聞いたんですけど、当分私の仕事が決まるまで宿代なしでいいって聞いたんですけど、魔石代も無料って。あと3食付だって聞いたんですけど、ほんとにいいんですか?」
「もちろん! 瞳の命も助けてくれたし、カレーや唐揚げのレシピも秘伝なのに教えてくれて、その上裏庭にスパイス畑も作ってくれて、宿のほうも手伝ってくれて、本当はお給料を払わなきゃいけないんだけど……」
「Win winじゃなくてお互い様ってことで。私だって、理さんが調合したカレーのスパイスとか、唐揚げのスパイスのレシピを共同で特許出願できたんですもん。これからもしばらくの間よろしくお願いします」
「こちらこそ」と話して、私は裏庭に行った。
はなちゃんと一緒に、毎日恒例の謎の踊り&呪文命名ウェーブをして、夜のお店のお手伝いをした。そして夜の片付けが終わったので、私はみんなに声をかけた。
「第4回文明開花戦略会議を始めたいと思います。皆さん着席のほどお願いします」
みんな最近は、無自覚のうちに戦略会議が始まると集合するようになった。
「本日の議題ですが、カレーと鶏の唐揚げで今は安定しておりますが、そろそろ次のメニューを考えないとと思っております。次は甘味などいかがでしょうか」
「甘味? 砂糖は高くて無理だぞ」
「そこでちょっとお伺いしたいんですが、裏庭、あと3分の1開発してもよろしいでしょうか?」
理さんと瞳さんは顔を見合わせた。
「構わないけれども……」
「私、実はこの間、市場で今家畜の餌になっている野菜で……」ここで私は声をひそめた。「甘味の代わりになるものを見つけたんですよ」
「「「エッ!!」」」
「それで明日なんですけど、事後報告ですみません。宿に届けてもらえるよう、いつものおばちゃんにお願いしたんですよ。特許料が入ったら私払いますから。『こんなもん何に使うんだ』って言われたんですけど『ちょっと研究のため』って言って……。それで、裏の畑で秘伝のウェーブで増やそうかと。もちろん、砂糖にしてもらうのはお教えしますんで、理さんお願いしますね」
「それは構わないが……それはまた特許に申請して良いものなのか? 料理界の革命だぞ」
「今までの砂糖と違って、みんなに安く甘いもの提供できるから私は賛成なんですけど、やっぱり利権とかなんかいろいろあるんですかね」
「いや、それは大丈夫だけれど」
「お姉ちゃん、甘いものが食べれるの? わーいうれしい。あの塩飴のようなおいしい甘いものが食べたい」
「甘いものが食べれるなんて、夢のようね」
「できたら、まずプリンを作りましょうね」
「プリン?」
「卵で作るんですけど、卵って市場で手に入りますよね。定期的に手に入れられますか?」
「それは大丈夫だよ。卵は普通にたくさん売ってるからね」
「じゃあこれで決まりですね。明日また花ちゃんウェーブしようね」
「うん、私頑張る。ウェーブ担当だもんね」
(そこはスパイス担当じゃないのね……)
「これはまたまたではありますが、文明開花の中だけの機密情報ですから、漏らしたら……わかりますね」
「「「ハイ!」」」
「これにて第4回文明開花戦略会議を終了とさせていただきます」と言って解散になった。
さぁ、飯テロ第3弾?に行きますか?
私は足取りも軽く3階に上がっていった。
これ、エレベーターないんかい!?
そして翌朝、また6時に時計塔の鐘の音で起こされた。
(諸行無常の響きあり? なし?)




