第10話:チートですか? イエ、秘伝です
「こ、これって……」
言葉を失って固まっている理さんと瞳さんとニコニコ顔の花ちゃんに、私は「は〜い! 第二回・戦略会議、開催します!」と言って、目の前で手を2回大きく叩いた。
「皆さん、これは私の家に代々伝わる秘伝なんです。本当は門外不出なんですけど、なんと可愛い可愛い花ちゃんに魔法の才能があったので、妹弟子として私が授けました! ですが、これは人前で絶対にしてはいけません。他言無用です。この文明開花の中だけの秘密ですよ。わかりましたか、皆さん! お返事は?」
「「「ハイ!!」」」
「よろしい……では、第二回文明開花戦略会議をこれにて終了します!」
と、私は堂々と宣言した。
(頼む、ごまかされろ……! ごまかされてくれ……!)
「ちょっとびっくりしたけど、暁ちゃんのお家って……」
「それは聞かないでください! 私は今、修行の身なので、身バレすることができないんです……!」
「わかった。この話はここだけのことにしよう。ただ、この裏庭は洗濯物を干すときにお客さんが出入りするから、これはちょっとヤバめだね。今この瞬間から、ここは文明開花の関係者以外立ち入り禁止にしよう。幸い、この裏庭は客室からの窓がないし、ご近所からも見えないからね」
「そうね、こんな貴重なものがここにあるってわかったら、大騒ぎになっちゃうもんね」
「私はスパイス担当だから、絶対みんなに内緒にしておく!」
「花ちゃん、絶対外ではこの魔法は使っちゃだめだよ。秘伝だからね」
「はい、師匠!」
「だめだめ、『師匠』なんて言ったらバレちゃうから、今まで通り『お姉ちゃん』って呼んで!」
「わかりました!」
(なんか、花ちゃんの私に対する信頼度がめちゃくちゃアップしてるぞ……誤解も一緒にめちゃくちゃアップしてるけど……!)
「理さん、必要なスパイスはできましたので、あとは研究をよろしくお願いします! それから、ちゃんと次のための種は取っておいてくださいね。全部使ってなくなっちゃったら、また面倒く……いや、1から準備することになっちゃうので」
「わかった! 花、スパイスの収穫、お父さんがこれから研究のために大切に使うからな!」
「うん、わかった! 美味しいカレーとか唐揚げを作ってね!」
「よーし、これから張り切るぞー!」
「あなた、張り切りすぎるとろくなことにならないんだから、ほどほどにしてよ?」
「そうだよ、お父さん。ほどほどにしなよ」
(……理さん、普段いったい何をしてるんですか? やらかし常習犯ですか? そうですか……)
こうして、異世界あるあるの「波乱の3日目」が、どうにかこうにか静かに(?)過ぎていったのだった――。




