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93 グレートゴーレム

 ポーションを呑んだムシアラが、ことさら元気になった。

 動きもキレキレで、黒子と対等にやりあっている。

 素人目にも翻弄されていたのが、ウソのようだ。

 できるなら最初からやってほしかったが、俺にはわからない駆け引きがあったのだろう。

 ただ、このチャンスを逃す手はない。


「パルマ。ゴーレム作れるか?」

「お任せください! ビルド!」

「よし。装着!」


 完成した三体のサンドゴーレムの胸に、ポケットから取り出した玉を押し込んだ。


「ご、ご主人様!?」


 前回のようにフォルムチェンジしなかったからか、パルマが不安そうに俺を見ている。


「大丈夫だ」

「で、ですが……」

「大丈夫。俺を信じろ」

「わかりました」

「よし。んじゃ、ムシアラのサポートを命じてくれ!」

「創造主パルマ・トーチスが命ずる。ムシアラ・バイルをサポートせよ!」

「了解!」


 三体のゴーレムが走っていった。

 これで戦況がよくなればいいのだが……


「皆殺しにしてやる!」


 ちょっと目を離した間に、黒子がマジギレしていた。


「残念。本気になるのが、一足遅かったわね」


 ササナは満面の笑みを浮かべているが、その余裕はどこからくるのだろうか。


獄炎小太刀(フレアソード)


 真っ赤に燃え上がる黒子の小太刀を目の当たりにすると、すごく不安だ。

 炎は勢いを増し続け、いまや二メートルを超す大火になっている。

 アレを一薙ぎしただけで、周辺の森や家屋は焼き払われてしまう。


「ウォーターボール」


 レアハムが放った水魔法も、当たる前に蒸発して消えた。


「無駄なことはせず、そこで見ていろ! お前らが逆立ちしても辿り着けぬ極地を、すぐに拝ませてやる」


 炎が小さくなっていく。

 しかし、弱まっているわけじゃない。

 密度や温度が、急激に高まっているのだ。

 赤から青へと変貌する炎が、その証拠である。


「死ね!」


 黒子が消えた。


 ザシュッ!


 音が聞こえたほうに目をむければ、サンドゴーレムの腕が斬り落とされていた。


「ちっ」


 黒子が舌打ちしたのは、ムシアラを殺せなかったからだろう。

 位置から推測するに、サンドゴーレムが盾になったのだ。

 けど、一難去ってまた一難。


 ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!


 音がするたび、サンドゴーレムが小さくなっていく。


『兄弟! 今助けるぞ!』


 無傷の二体が加勢しても、事態は変わらなかった。

 黒子が獄炎小太刀(フレアソード)を振る回数に比例して、戦況が悪くなっていく。


「ご主人様。数で押しましょう」

「ダメだ。もう玉がない」


 家に帰ればまだあるが、手持ちは使い果たしてしまった。

 けど、あきらめるのはまだ早い。

 奥の手とは、いざというときに使うからこそ、奥の手なのだ。

 そして、ピンチのときだからこそ、より輝く。


「究極合体! 三位一体!」


 天に突き上げた拳に呼応するように、サンドゴーレムの胸に仕込まれた玉が光った。


「くっ」


 間近で閃光を浴びた黒子の動きが止まった一瞬を利用し、バラバラにされたパーツを含むすべてが一つになる。


「グレートゴーレム見参!」


 カッコイイポーズを決めながら、救世主が舞い降りた。


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