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野外料理は浪漫。の巻

年末の山西家、その1。

 だべりながらプログラムチェックして機体テストをして、取れたデータにげっそりして、家に帰るのはだいたい8時頃。

 父さんが帰ってくるのと同じような時間になっていた。


「あれ雄太、今日は徹夜じゃなかったの?」

「ひでぇ」


 母さんに理解がありすぎて辛いです。


「大丈夫、ご飯はちゃんとあるから」


 なかったら適当に作るんで問題ないけどね。


「こっちが困るの、計画狂うから」


 帰ってこなくて残った夕食は冷凍するから問題ないけど、変に材料を使いこまれると予定が狂う。て事らしい。

 さすがにこの間、肩ロースブロックを丸ごと一人で全部食ったのはまずかったと反省しております。ダッチオーブンで焼くと美味いから、つい食べちゃうんだよね。

 次からは鶏むね肉で妥協しようそうしよう。


「料理が出来るのも善し悪しよねえ」


 料理しなかったら、勝手に食ったりできないからね。

 成長期の男が料理できればもちろん、がっつりおやつを食べるために料理するのです。お好み焼きと焼きそばは簡単に作れて腹も膨れるので、男なら作れるべき料理です。


「お湯沸かして材料を適当に煮るしかできなかったのに、上達したよなあ」


 と、これは父さん。


「食材が豊富で作り甲斐あるからね~」


 ついでに言うと調理器具も発達してるから、鍋と肉焼き串しかなかった()()()とは大違いです。


「アウトドア料理も得意になったよな」

「そりゃ~、ねえ」


 勇者だった時代(アルバスだったころ)の硬いビスケットと干し肉を思い出して遠い目になりかけました。


 ライトノベルだと『ちょっと森の中で肉を調達』なんてやってる作品多いけど、実際には狩猟権があって勝手に鳥も動物も狩れないし、狩ったところで肉の処理に時間がかかりすぎる。暗殺部隊が悠長に肉なんか食ってられません。

 MRE(レーション)みたいなものがあるわけでもないから、たいへん貧しい食事しかできませんでした。

  冷凍した食材を持ち運べる上に、フリーズドライやレトルトが充実してる現代日本とは大違いでござる。


 美味(うま)いものが食えるのは大歓迎なので、しっかり覚えましたとも。


「あれは生活の基本だよね」


 なんか言ってるよ。

 父さん、アウトドアグッズ大好きだからなあ。

 ちなみに我が家のダッチオーブンは父さんの趣味です。一番使ってるの俺だけど。


「ちょっとお父さん、そっちなの?」


 アウトドアグッズにそれほど思い入れのない母さんなら、まあそうなるわな。


「片付けはちゃんとやるから、今度は焚火台買っていい?」

「この間、グリル買いなおしたから良いじゃない」

「ええ~、焚火って浪漫じゃない?良いと思わない?」

「だ~め~で~す~」


 まったく、仲のいい事で。


「肉も美味しくなりそうだし」

「グリルで十分でしょ」


 焼肉は否定しないんだ。


「年末は焚火でやろうよ~」

「私、グリルのほうが好き」


 どうやら交渉決裂したようで。

日本でなら、アウトドア料理は浪漫で済みます(笑)

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