りあじゅうばくはつしろ。と言われた件。
「だから試験勉強くらいしとけって言っただろ」
再試になってたら時間の無駄じゃん。
そうツッコんだらオーバーなリアクションで突っ伏した馬鹿一名。
「留年するなよー寝てる暇ないぞーがんばれー」
応援する気ゼロだけど、口先だけならタダだから慰めてはおく。
「山ちゃんはいいよなあ、全部通ってるからさあ」
「そりゃー最低限の労力で通過する努力は惜しみませんので?」
再試の勉強もしたくないし、時間ももったいない。だから試験は一発通過するのがポリシーです。
「リア充のくせに余裕もあるとか不公平すぎじゃね?」
「自分の行いが悪いんだから諦めろ?」
うなる馬鹿に同情してやる義理はないぞ~。
「リア充は否定しないのかよ」
恨めしそうに睨まれましても。心当たりがないのでスルーしようとしてるだけなんですが。
「え、山ちゃん彼女できたの?」
ギリギリ通過組の山崎がつっこんできた。
「なんの話」
「リア充ってことはさ、できたんだ」
「ザッキーって何気にコイバナ好きだよなー」
「嫌いな乙女はおらん」
「おとめ?どこにいるの?」
身の安全を考えて口には出さないけど、俺も鈴木と同じ意見です。
この場にいるのは野郎と漢気あふれる姐御です。乙女なんて謎生物はいません。
「しっつれーな。この!わたくしの!乙女心がわからないとは!」
「存在しないんだから理解するのも無理」
あ、ヘッドロックかけられてる。放置放置。
「こないだ一緒に歩いてたじゃん、見たことないけどあれ彼女?」
そしてヘッドロックかけられてる鈴木のことは完全に無視して、突っ伏したままの森が聞いてきた。
「いつ」
「先週の日曜。上野にいただろ」
「あ~、小動物のことか」
そういや、小暮さんと科博に行ったっけ。
「おま、どこで見てたんだよ」
「たまたま?デート中に声かけたら悪いと思ってさー」
あれはデートと言えるんだろうか。謎。
「てゆーか小動物って何?」
鈴木にヘッドロックかけたままで聞く山崎。そろそろ可哀そうだから放してやってくれ。
お前だって一応女なんだし、ささやかとは言えないレベルの胸はあるんだからな?鈴木の頭が埋まってて、別の意味で苦しそうなんだけど?
「こないだ一緒にいた子。なんとなく小動物っぽいから」
面と向かっては呼ばないけど。
「付き合ってるんでしょ」
「どうなんだろ?」
むしろ母さんになついてないか、あれ。
「どうみても彼女って感じだったけど。あれで付き合ってないとかありえねーって感じ?」
「うーん、どうなんだろなー。たまにうちにおやつ食いに来るけどさ」
「山ちゃん、実家通学だよな?親居ないときに連れ込んでんの」
いやいやいやいや。
「むしろ親がいる時にしか来ない。あれはおやつ目当てだから、うちの母親が居ないときは来ない」
俺が淹れるお茶はイマイチらしい。母さんの原稿手伝いがてら、おやつ食べてお茶飲んでいくのが小動物だ。
もぐもぐしてる姿はまさに小動物。モフるのは控えてるので、せめて姿くらいは愛でていたいものである。
「姿を愛でる、とは」
「もはや嫁」
「うん、すでに嫁」
「だれが誰の嫁じゃ」
「おまえと彼女。いいよなーリア充は」
「フ~ハハハ」
笑ってみせてからなんか空しくなった。
「まだ彼女って感じしないけどなー」
「ヤってないわけ?」
「ザッキーも女だぞ」
女性の前で出す話じゃないだろと。
いやまあそういう欲が無いわけじゃないけどね、慌てて手を出して逃げられるのは避けたい。
「しっかりタゲってんじゃん」
「やっぱ嫁」
「未来の嫁確定」
「決まってねーよ」
確保できてないっつの。




