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序3:終わりと始まり

 システム修正。

 志向性ルーティン起動確認。

 フラグメント検出――完了。

 バイタル、メンタル正常確認。


 ……。




『――目覚メヨ』



「ッ!?」


 覚醒した意識が捕らえた初めの情報は白い天井だった。

 目覚めてすぐにそれを確認し、それを咀嚼したが自らの記憶にそのような場所で目覚める過程が抜けていた。つまり、ここはどこなのか、ということだ。意識が徐々にはっきりしてくる。


 周りが騒がしい…。何かを話している。

 …緊急、泣き声…患者……輸血…不足…オペ…何?

 ここは…。


「…病院?」

 完全に覚醒した脳が現状最も可能性のある場所を想定する。

 体を起こすと、自分が横になって寝ていたということに気づき。同時にそれが廊下、それも床の上に毛布を敷いただけの場所で寝ていたことを認識した。

 何故、このような雑な扱いで横にされていたのか、それはすぐに理解した。

 自分が今いる廊下は自分以外にも横になったりうずくまっている人々で溢れ返っているのだ。

 つまり、ベッドなど既に他の人、もっと重症な人々でいっぱいだということなのだろ。


「よぉ、今お目覚め?」

 体を起こして茫っとしていたら、すぐ傍から声を掛けられた。目をそちらに移すと頭に包帯を巻いた青年がこちらに視線を向けていた。髪を茶色に染め、耳にピアスをしていて、それでいてどこか優しそうな目をした青年だった。

「うん。えっと…」

「あぁ、看護士さんはあとで見回りに来ると思うから、どこか痛いとこがあったらその時に話せば良い。今は…見ての通り、軽症の奴を見てる暇はなさそうだわ」

 疑問を口にする前に、彼が先に口を開いた。

 看護士、ということはやはりここは病院だということらしい。

 しかし、私が知りたいのはそれではなく…。

「一体、何が…あったの?」

 そう尋ねると、彼は少し驚いた顔をした。

「あ? あー…そうか、覚えてないのか。まぁ、無理もないのか?」

 彼は私が一時的な記憶喪失のようなものと判断したのだろうか、若干哀れみにも似た視線を漂わせた。確かに、今の私は前後の記憶がないのだから、その判断は間違っていないだろう。若干、その感情に怒りを感じたが、それは彼の優しさなのだと認識する。

「なんってのかなぁ。とりあえず、あんたがどうしてここに運ばれたか、細かいことは分からないけどさ。この病院がどうしてこんなことになっているかは説明できる。…聞く?」

 こくり、と頷く。

「えーっと、情報がそんなに入ってないからさ、後から訂正するかもしれないけど…まず、今日の11時頃、一回目の大地震が起きた。覚えているか?」

「あ…うん。私は、街にいた」

「あぁ、俺もそんときゃ街にいたわ。オーケー。んじゃ、その時のことは覚えているわけか」

 彼はうんうんと頷きながら次の言葉を捜す。

「で、だ。さっき一回目って言ったわけだけど、この後にまた地震があった。余震とかそういうのか知らないけどな。一回目と同じか、それ以上の揺れがあった。被害は半端じゃなかったらしい。この二回目の地震で道路が割れて、建物のほとんどが倒壊。一回目の地震で慌てて動いていた救急とか警察とか、その時に事故ったりしてめちゃくちゃ。で、2回目の地震が治まった時は自衛隊とかも出てきて救助にでてきたわけだけど…」

 そこで、彼はなぜか歯切れが悪くなる。何か、こう…表現に戸惑っているような。

「…?」

「今度は……いや、言葉で言うより見たほうが早いわ」

 彼は一つため息をつく。諦めに似たため息。そして立ち上がり、私に「立てるか?」と手を出して尋ねてきた。

 その差し出された手を私は握った。

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