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【レグニア王国物語】魔王を討伐したら終わりだと思った?今度は腐敗した貴族社会がお相手のようです。〜勇者パーティは政争の道具じゃありません!〜  作者: たけぞう
査問会議編

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【第二王子の遺品に残された最後の手紙】「あなたの人生は…… 私の人生の、大切な一部になった…」

第二王子編最終話です。


リアへ

この手紙を読んでいるということは、

私はもう君の隣にはいないのだろう。

長い間、形だけの夫婦でいてくれてありがとう。

君が望まない束縛を、私は一度も与えなかったつもりだ。

それでも、もし私の存在が君の自由を少しでも奪っていたのなら、

どうか許してほしい。

君は、私が知る誰よりも強く、誰よりも優しい。

そして、誰よりも不器用だ。

その不器用さが、私はずっと好きだった。

……ああ、これは書くべきではないな。

君はきっと、これを読んで眉をひそめるだろう。

だから、ここから先は書かない。

書いてしまえば、君の心に余計な影を落とすから。ただ一つだけ。

君が誰を想っていようと、

その想いがどれほど長く続こうと、

私はそれを羨ましいと思ったことは一度もない。君が誰かを愛しているという事実は、

君が“生きている”証だからだ。

私は、その隣に立てただけで十分だった。


最後に、わがままを一つ。

どうか、君は君のままでいてほしい。

老いず、鈍く、強く、そして少しだけ寂しそうな君のままで。

それが、私の知っているヴァレリアだから。

いつか、魔法学校の門で君が笑った日のように、

また誰かの前で、誇らしげに笑ってくれたら嬉しい。

それだけで、私の人生は報われる。


さようなら。

君の夫でいられたことを、私は誇りに思う。


――第二王子より



◆大賢者が夫の墓前で語る言葉


墓標の前に立つと、

風がひとつ、彼女の赤髪を揺らした。


老いない身体は、今日も若々しく、

しかしその瞳だけが、どこまでも静かに疲れていた。


「……あなたらしいわね」


石に刻まれた名を見つめながら、

大賢者ヴァレリアは、ゆっくりと膝をついた。


指先が、ほんのわずかに震えている。

それは魔力の乱れでも、老化の兆しでもない。


「最後の最後まで、

私に“気を遣う嘘”しか残さないなんて……」


彼女は小さく笑った。

その笑みは、怒りでも悲しみでもなく、

ただ、長い年月を共にした者だけが持つ深い諦めと、深い愛情の形だった。


「あなたの手紙、読んだわよ。

……本当に、ずるい人」


墓標に触れた指が、そっと滑る。


「あなたは、私の自由を奪わなかった。

私の恋を責めなかった。

私の痛みを笑わなかった。

そして……私の孤独を、ずっと黙って支えてくれた」


風がまた吹く。

彼女の赤髪が揺れ、影が墓標に落ちる。


「ねぇ……あなたは、どうして私なんかを選んだの?」


返事はない。

それでも、彼女は続けた。


「私はあなたを愛してはいなかった。

でも……あなたが隣にいてくれて、

私はずっと救われていたの」


声がかすかに震えた。


「あなたがいなくなって、

ようやく気づいたのよ。

私は……あなたに甘えていたんだって」


墓標に額を寄せる。


「あなたの嘘は、全部優しかった。

私の嘘は、全部不器用だった。

……それでも、あなたは笑ってくれた」


しばらく沈黙が続いた。

その沈黙は、二人が共に過ごした年月よりも重かった。


「ねぇ……あなた」


「あなたがいなくても、私は生きるわ。

永遠に。

それが、あなたが私に残した“呪い”だから」


「でもね……」


「あなたのことを忘れないのも、

あなたが私に残した“救い”なのよ」


「誰にも選ばれないと思っていた私を…貴方は、人生をかけて愛してくれた。愛を返してもらえないと知っていてもなお…」


大賢者は立ち上がり、墓標にそっと触れた。


「ありがとう。

私の夫でいてくれて」


「そして……ごめんね。

私は、あなたの恋に応えられなかった」


風が吹き、赤髪が揺れる。


「でも、あなたの人生は……

私の人生の、大切な一部になった…」


それだけ言うと、

大賢者は静かに背を向けた。


永遠の守護者は、今日も歩き出す。

老いない身体で、老いてしまった心を抱えたまま。


その背中は、誰よりも強く、

誰よりも寂しく、

誰よりも美しかった。

明日は、第二王子と大賢者の出会い編。

大賢者がどんな風に生きてきたか。

どんな風に2人は出会ったのか。

ぜひ読んで欲しいエピソードになります。


お楽しみに!

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