【第二王子の新たな嘘】「実は…僕も同性愛者なんだ…」
「ちょっと!あなた、高熱なんて出したことないんじゃない!」
そう言いながら、大賢者ヴァレリアは二人の寝室に飛び込んできた。
「なんであんな嘘ついたのよ!どう言うつもりっ⁉︎」
それは、第二王子が婚姻を申し込んだ時の嘘。
「幼少期に高熱を出して、子供を作る能力を失っている」と言うもの。
だからこそ、同性愛者である大賢者は、「子供を作らなくていい」と言う安心感から婚姻を受け入れた面もある。それなのに。
「ああ、バレちゃったか」
「バレちゃったか、じゃないわよ!
王妃様に、あなたが高熱を出したときのことを聞いたら、は?そんなことなかったけど?と返されたときの私の気持ち!分かる?」
第二王子は少し気まずそうに頭を掻く。
「あー…これは、君にも隠しておきたい秘密だったから、嘘をついてたんだけど…」
「…え?」
「実は…僕も同性愛者…なんだよね…」
「えええぇぇぇ!」
心底驚いた様子の大賢者。
「そんな…今まで全然…」
「だから、子供が作れないのには変わり無いんだ…、嘘をついていてごめんね?」
「な…なんで…」
「ほら、あの時はまだ、同性愛は異端扱いだったろう?さすがに王家の第二王子が異端というのはまずい。君から漏れることはないとは思っていたけど、一応、ね?」
大賢者はしばらく呆然としていたが、突然嬉しそうに笑顔になる。
「だから、私の気持ちにも気付いたのね?自分と同じだから!」
「ま…まあ、そうかも…ね?」
「そっかぁ!なんであんたにだけバレたんだろって、ずっと不思議だったのよ!そうか、そう言いことか!」
ようやく合点がいった、と言うように手をポンと叩いた。
「ね、それなら、あんたも遠慮しないでいいからね?好きな人ができたら、教えてよね!」
「あ…ああ…そうするよ…ありがとう…」
「どういたしまして!」
うれしそうに返すと、
「教主があの子に変わって、同性愛も異端じゃなくなったし…もしほんとに結婚したい相手が現れたら…相談してよね!万難を廃して協力するから!ねっ?」
王子の想いは伝わることはない。
伝わっても困るのだが。
「第二王子の側室に男って迎えられるのかしら?」とかぶつぶつ言ってる大賢者を、眉根を寄せて眺めるジュリアス。
その後、大賢者の隣には…護衛の騎士達に熱い視線を送る演技を続ける第二王子の姿があった…。




