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違和と決意(精神科→帰宅→断薬)
数日ぶりの精神科。
玲は診察室の椅子に座るなり、ふと口を開いた。
「……薬、効いてるとは思うんですけど…… 楠並木を通るときだけ、変わらず……あのノイズが、強くて……」
医師は少し黙り、カルテを眺めたあとこう言った。
「……では、もう少し効き目の強い処方に変えてみましょうか。併用も視野に入れて、やや作用の重いタイプを」
処方箋がプリントされる音だけが、診察室に響いていた。
帰宅後。 玲は机の上に並べられた新しい薬の説明書を見つめた。
副作用。中枢神経への影響。 「長期間の服用は……」という注意喚起の文が、胸に重くのしかかる。
「……これ、ほんとに……“内側”のせいなのかな……?」
指先で、薬の包装をなぞる。 でも、もう開けなかった。
「服用、やめよう」
その声は、迷いのない独白だった。 何かが違う。これ以上“濁したくない”。
玲は、その日から断薬を決意する。




