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残響と水晶
本郷が図書室の奥に姿を消すと、 ゆずはふぅ……と深くため息をつき、 珠を首からそっと外した。
「……あー、もう。あたし、こんなキャラじゃないのに……」
その声は、いつものゆず会長だった。 玲もつられて笑いそうになる。
「でもね、玲。あたしの“感”は—— あの人、なんか、おかしい。 何かまでは言えない。でも……空気の“根っこ”が、どうにも反転してる感じがするの」
玲は少し戸惑いながらもうなずく。
さっきの穏やかだったはずの本郷の瞳に、 なにか“風景が映っていないような”違和感が、微かに残っていた。
ゆずはそっと歩み寄ると、玲をぎゅっと抱きしめた。
「あんたのこと、大事だから。お願い、ほんとに気をつけて」
玲は驚いた顔で固まる。 そして……
「……い、痛っっ……!? 首っ……!」
見ると、首から外し忘れてた水晶の大玉が、 ぐぐっと玲の鎖骨に食い込んでいた。
「あ、ゴメンごめん!さっきのままだった(笑)」
ふたりは、苦笑しながらも—— たしかに今、この場に“あたたかい記録”を刻んでいた。
水晶が痛いほどのハグ。
だけど、その痛ささえも、 あとできっと、玲の心を守る護符になる。




