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暗室の光(玲への探索)
夜更け。 カーテンは閉ざされ、部屋の中は完全に闇に沈んでいた。
唯一の光は、膝の上に置かれたノートPCの液晶だけ。
その前で、犯人は無言のまま翠のカバンの中身を漁っていた。
古びた財布。ポケットティッシュ。メモ帳。 そして——免許証。
名前:響 翠 住所:山口県岩国市〇〇
犯人は口の端を歪め、 そのままインターネット検索を開始する。
「響翠 SNS」 数件ヒットする中で、 控えめに運用されていたアカウントを見つける。
最近の投稿には、 「娘が大学に合格しました!」 という文と桜のスタンプ。
——大学名は、犯人自身が通う大学と同じだった。
「……なるほど」
犯人の目が、静かに狭まっていく。
だが、娘の名前も顔も記録されていなかった。
別の方法を取る。 翠の“フォロワー一覧”を閲覧。
その中に、目につく名前が一つ—— 「響 俊幸」 年齢、地域、投稿内容からして、恐らくは親戚か。
クリック。
「……いた」
「玲ちゃん、大学入学おめでとう!」 入学式の校門の前で撮られた写真。 制服と桜、そして——犯人の記憶にも引っかかる女子学生の姿。
暗闇の中、 ノートPCのブルーライトが、 犯人の歪んだ笑みを照らしていた。
「やっと見つけたよ、玲ちゃん」




