第五話 唐揚げが足りない!神界の女神様まで割り込んできました
昼前。
昨日、リディアたち『飢えた獅子』の四人が俺の家へ押しかけてきた。
その際に「明日も来るからな!」とリディアに宣言されたのだが、まさか本当に来るつもりなのだろうか。
……いや。あの食欲を見る限り間違いなく来る。
そんなわけで俺は台所で鶏もも肉を前に腕まくりをしていた。
「よし。あとは揚げるだけだな」
鶏肉には昨夜のうちに醤油と生姜、にんにくで下味をつけておいた。
冷蔵庫から取り出した肉に片栗粉をまぶしながら、鍋に油を注いで火にかける。
どれも特売チラシで安く手に入れたものだ。
油が温まるのを待ちながら、揚げ網と皿を用意する。
あとは鶏肉を揚げていくだけだ。
異世界に来てからというもの食材の調達には困らない。
問題があるとすれば、食べる人間が日に日に増えていることくらいだ。
……いや。
かなり深刻な問題だよなコレ……。
「コータ!来たぞ~!」
玄関から元気な声が響いた。
……来た。
「いらっしゃい。今日は皆さんお待ちかねの唐揚げですよ」
「唐揚げ!!」
リディアが拳を突き上げた。
その顔には満面の笑みが浮かんでいる。
後ろからフィーナ、セレスティア、カイルも続いて入ってきた。
「私はプリンも楽しみにしてるよ!」
「調理工程の記録用紙は持ってきたわ。今日は揚げるところから記録させてちょうだい」
「俺は普通の定食でいいんだが……唐揚げは気になるところだ」
それぞれ好き勝手なことを言いながらリビングに座り込む。
もう完全に常連だ。
俺はため息をつきながら台所に戻った。
鍋に油を注いで火にかける。
十分に温まったところで衣をまとわせた鶏肉を投入した。
じゅわあああっ。
小気味よい音が台所に広がる。
「いい音だな……」
リビングからリディアのうっとりした声が聞こえてきた。
どうやら音だけで白飯が食べられそうな勢いだ。
やがて一つ目が揚がった。
味見をしようと菜箸を伸ばした、そのときだった。
リビングから妙な音が聞こえてきた。
ブゥゥン。
「…………え?」
テレビの電源がひとりでについていた。
黒かった画面に光が走る。
『じゃじゃーん!オトクくぅーん?見えてますかぁー?』
画面いっぱいに駄女神の顔が現れた。
「……あ」
俺は菜箸を取り落とした。
「な、なんだ?この顔は!?」
リディアが勢いよく立ち上がり腰の大剣に手をかけた。
「落ち着いて、リディア。……ってあれ、この人、女神様の肖像画に似てない?」
フィーナは驚きながらも画面をじっと見つめている。
「確かに。まぁ、でも、うん、女神さまの肖像画よりもずいぶんと……親しみやすいお顔をしているな」
カイルが言葉を選ぶように感想を述べた。
『なっ……失礼なっ!これでもあたしは豊穣と食文化の女神様なんですぅ!ぷんぷん!!』
画面の中の駄女神が頬を膨らませた。
四人が固まる。
「…………は???」
カイルが思わず素っ頓狂な声を漏らした。
「……えっ?本当に女神様なの?」
フィーナが画面を二度見する。
「まさか……ブレディア様?」
セレスティアが驚愕の表情でつぶやいた。
そして数秒後。
「ブ、ブレディア様ぁぁぁぁ!?」
リディアがその場に膝をついた。
「おお……!豊穣と食文化を司るブレディア様!まさか、このような形でお姿を拝見できるとは……!」
リディアは両手を胸の前で固く組み深々と頭を垂れた。
「日々の糧を与えてくださることに感謝を。そして、あらゆる食卓に豊穣の恵みがあらんことを……」
祈りの言葉を口にする声には、微塵の迷いもなかった。
普段の豪快な振る舞いからは想像もできないほど敬虔な姿だった。目を閉じて祈り続けるその表情には、神への深い信仰と心からの畏敬がにじんでいる。
画面の中のブレディアは、ぽかんと口を開けた。
『……えっ?』
彼女はきょろきょろと周囲を見回したあと、恐る恐るリディアを指さした。
『えっ、ちょっと待ってください??もしかして……あたしの信徒さんですか?』
あまりにも予想外だったのか、いつもの尊大な態度はすっかり影を潜めていた。
『あた……わたくしの信徒さんが、こんなところに……!?』
……いや、女神様。
自分の信徒を見て、なんでそんなに戸惑ってるんですか。
「……神託、なのか?」
カイルも戸惑いながら画面を見つめる。
『あっ、いやっ、違いますぅ!これ、ただのテレビですぅ!唐揚げなんですぅ!!』
女神本人がありがたみを台無しにした。
俺は慌ててリビングに駆け込んだ。
「ブレディアさん!!今みんな来てるんですよ!!切ってください!!今すぐ!!」
『えー、やですよー!だってぇ、唐揚げの匂いがするんですもん!!』
「匂いまで届いてるんですか!?」
『ビデオ通話ですから!!』
「だから、万能の言い訳じゃないって言ってるでしょう!」
『オトクくぅーん!お供え物ぉ!唐揚げぇ!からぁーげぇー!』
画面の中で豊穣と食文化の女神がじたばたと手を振っている。
威厳はどこにもなかった。
沈黙の中、セレスティアが静かにつぶやいた。
「……神界との通信回路。魔力の反応は確かに神域のものね」
「ちょっと、セレスティア。今は分析しなくていいから」
「でも、記録する価値はあるわ」
彼女はすでに記録用紙を取り出していた。
「書かなくていいです!」
するとフィーナが、にっこりと笑って俺の前に立った。
「ねえ、コータくん」
「……はい?」
フィーナは相変わらず笑顔だった。
ただし、その目はまったく笑っていなかった。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。いいかな?」
「え、ええ……まあ」
「お肉も魚介類も卵も。あんなに大量に用意できた理由。それから、女神ブレディア様とこうして話ができる理由」
一つひとつの言葉は穏やかだ。けれど、質問を重ねるたびにフィーナが一歩ずつ距離を詰めてくる。
「もちろん、答えてくれるよねぇ?」
「…………」
笑顔のまま首を傾げるフィーナ。
背後ではリディアが床に膝をついたままこちらを見つめ、カイルは腕を組んで無言の圧力を放っている。
セレスティアに至っては、いつの間にか記録用紙とペンを構えこちらの言葉を一言も聞き逃すまいとしていた。
四方を囲まれたわけでもないのに、なぜか逃げ道が見当たらない。
「……あの。これ、尋問ですか?」
「やだなあ、コータくん。そんな怖いことするわけないじゃないの」
フィーナはにっこりと笑った。
目だけは、少しも笑っていなかった。
「ただ、わからないことが多すぎるから、ちゃんと教えてほしいなぁって……」
「…………わかりました。話します」
俺は観念した。これ以上逆らったら、笑顔のまま朝まで問い詰められる気がした。
俺は観念してため息をついた。
「ただし、絶対に他の人には言わないでください」
四人が真剣な表情でうなずいた。
「まず、俺はこの世界の人間じゃありません。もともとは別の世界で暮らしていて、死んだあとに女神様のところで転生をすることになったんです」
「死んだあと……?」
リディアが驚いたように目を見開いた。
「はい。そこで転生特典をもらえることになったんですが……」
俺は少しだけ言葉を濁した。
「普通は、もっとこう……剣の才能とか、強力な魔法とか、そういうものを期待すると思うんですよ」
「確かに。転生者に与えられる特別な力なら、それくらいのものを想像するな」
カイルがうなずく。
「ところが、俺がもらったのは……」
俺は懐から一枚の紙を取り出した。
「これです」
『スーパー・マル得 今週の大特売!』
「…………紙?」
フィーナが首を傾げた。
「ただの紙にしか見えないが……」
「よくわからない文字?や記号も書いてあるわね」
セレスティアが興味深そうに紙を覗き込む。
「そう。俺も最初は、何の冗談かと思いましたよ」
俺は深いため息をついた。
「せっかく別の世界に転生したのに、もらったのがスーパーの特売チラシですからね。しかも、これをくれた女神様がまた……」
「女神様が?」
リディアが身を乗り出した。
「ええ。豊穣と食文化を司る女神ブレディア様なんですが……」
俺はテレビのほうに目を向けた。
「食べ物には目がなくて、毎日のようにお供え物を要求してくるんです。さっきも唐揚げを寄越せって大騒ぎしていたでしょう?あれが通常運転です」
『ちょっとぉぉぉ!オトクくぅん!女神様の紹介が雑すぎませんかぁ!?』
テレビから抗議の声が飛んできた。
『そもそもですねぇ!転生特典をくじ引きみたいにテキトーーーーっ!!に選んだのは、オトクくんでしょーがぁ!!!!』
「いやいや!まさかスーパーの特売チラシが出てくるとは思わないでしょう!?」
『ちゃーんと選択肢は確認してくださいって言いましたよねぇ!?』
「そんなこと言われても、まさか転生特典にスーパーのチラシがあるなんて思わないじゃないですか!」
『知ーりませんよぉ!自分で選んだんですから自分で責任を持って使ってください!!』
「いや、使えてるからいいですけど!というか、あなたもよくこんな特典を用意しましたね!?」
『あたしのせいにしないでください!選んだのはオトクくんですぅ!!そもそも、この特典はあたしが作った特典じゃないんですぅ!!!そんなことどうでもいいからとっとと唐揚げよこしやがれですぅぅぅ!!!!』
「わかりましたよ!俺が悪かったです!だから、唐揚げを要求するのをやめてください!」
『それとこれとは別問題ですぅぅぅ!!唐揚げは唐揚げ!お供え物はお供え物ですぅぅぅ!!』
「同じ唐揚げの話でしょうが!!」
『あたしはぁ、豊穣と食文化を司る由緒正しい女神なんですよぉ!!つべこべ言わずに唐揚げを供えなさぁい!!』
「ああっ!!もう!!だったら、もう少し女神様らしく威厳を持ってください!!」
『威厳なんかより唐揚げですぅ!!唐揚げよこせーっ!!もぅ、ぷんぷん!!』
「ほら、こんな感じです」
俺は四人に向き直った。
全員が何とも言えない顔をしていた。
「……なるほど。確かに、少々個性的な女神様のようだな」
カイルが慎重に言葉を選んだ。
「少々で済ませていいのかな……」
フィーナが笑顔のままつぶやく。
「興味深いわね。転生特典を与える立場なのに、ずいぶん自由な女神様なのね」
セレスティアはすでに何かを書き留めていた。
そんな三人とは対照的に、リディアは真剣な表情で首を横に振った。
「何を言っているんだ。これほど人間味にあふれたお方が、我々の暮らしを見守ってくださっているんだぞ」
「……え?」
思わず声が漏れた。
リディアは画面に向き直ると、再び胸の前で両手を組んだ。
「ああっ!!ブレディア様!!日々の糧を求めるお姿さえ、私には尊く思えます!!」
『えっ!?そ、そうですかぁ??でゅふふぅ!』
画面の中でブレディアが照れくさそうに頬をかいた。
いや、「でゅふふぅ」って……
『いやぁ、信徒さんにそう言ってもらえると、あたしもうれしいですねぇ!』
「はい!これからも変わらぬ信仰を捧げさせていただきます!!」
……駄目だ。
この二人、妙なところで噛み合ってしまっている。
女神の威厳は地に落ちたはずなのに、リディアの信仰心だけは微塵も揺らいでいなかった。
リディアはまだ感激した様子で画面を見つめていたが、ブレディアはすっかり調子に乗っていた。
「……ブレディアさん。もう少し女神らしくしてください」
『えー?いいじゃないですかぁ!信仰心は大切ですからねぇ!』
……もういい。これ以上続けても話が進まない。
俺は小さくため息をつき、四人に向き直った。
「とにかく、このチラシが俺の転生特典です。これのおかげで、こっちの世界では考えられない値段で食材を買えるんですよ」
俺は台所へ向かい、冷蔵庫を展開した。
「実際に見てもらったほうが早いですね」
ドンッ!
「うおっ!?」
突然現れた銀色の大きな箱に四人が目を丸くする。
俺は扉を開けた。
中には鶏肉、豚肉、卵、野菜、牛乳、そしてプリンが並んでいる。
「チラシに載っている商品を、この世界のお金に換算して安く購入できるんです。購入した商品は、この冷蔵庫に収納されます」
「……つまり、チラシに載っているものなら何でも?」
「期限内なら、掲載されている商品を購入できます」
「卵も?」
「卵も」
「お肉も?」
「お肉も」
フィーナの目がきらりと光った。
「……プリンも?」
「プリンも」
彼女は満面の笑みでうなずいた。
「やっぱり!」
「何がやっぱりなんですか!?」
フィーナは満面の笑みを浮かべたまま俺を見た。
「なるほどね……。だから、あんなに食材を用意できたんだ」
「まあ、そういうことです」
俺が答えると、セレスティアが腕を組んだ。
「異世界の品物を掲載したチラシで購入し、それを収納できる箱まである。しかも、女神と直接会話できるなんて……」
すると、リディアがゆっくりと口を開いた。
「……コータ。やはりお前は転生者なんだな。」
「はい。先ほども言いました通り、別の世界で生きていて、死んだあとにこの世界へ転生しました」
俺が答えると、リディアは真剣な表情でうなずいた。
「そうか……。」
その横で、セレスティアが再びペンを走らせ始めた。
「転生者。女神との直接通信。そして、食料の安定供給を可能にする未知の能力……」
彼女は記録用紙に何かを書き込むと、真剣な顔で俺を見た。
「これはもう、国家レベルの機密ね」
「国家レベル……?」
「ええ。もしこの能力が王国に知られたら、囲い込みどころの話じゃないわ。食料事情を一変させる力があるんだもの。王族や貴族が放っておくとは思えない。自由に暮らすのは難しくなるでしょうね」
「そ、そんな大げさな……」
俺は苦笑いを浮かべた。
ただ安く食材を買って料理を楽しみたいだけなのに、どうして国家機密なんて話になるんだ。
しかし、フィーナも笑顔を消してうなずいた。
「大げさじゃないと思うよ?食料の確保は国にとっても重要な問題だからね。そんな能力を持つ人間がいると知ったら、利用しようと考える人は必ず出てくるはずよ」
カイルが深くため息をついた。
「……俺たちは、とんでもない人物に毎日飯をたかっていたんだな」
「あ、いや、そこまで大げさに考えなくても……」
「いや。これまで無遠慮に押しかけてしまって悪かった。すまない、コータ」
カイルが深く頭を下げた。
「そうだな」
リディアも真剣な表情で頭を下げる。
「コータがどれほど大切な力を持っているか知らなかったとはいえ、こちらの都合ばかり押しつけてしまった。申し訳ない」
「いやいや!頭を上げてください!」
まさか、ここまで深刻に受け止められるとは思わなかった。
「料理を食べに来ること自体は別にいいんですよ。俺も一人で食べるより、誰かと食べるほうが楽しいですし」
そこまで言うとリディアの顔がぱっと明るくなった。
「そうか!ならば、これからも――」
「ただし、毎日は勘弁してください!」
「そ、そうか……」
リディアはしょんぼりと肩を落とした。
……よし。これで少しは平穏な食生活に戻れるだろう。
そう思ったのも束の間。
リディアはすぐさま顔を上げた。
「ならば、これからは週三日までにしよう!それなら負担も少ないだろう?」
「週三日……!」
思ったより多い。
だが、毎日押しかけられるよりはずっといい。
セレスティアが小さく手を挙げた。
「異議なし。ただし、調理工程の記録はその三日間に集中して行うわ」
「私はいいよ。毎日じゃなくても、ちゃんと食べられるならね」
フィーナがにこりと笑う。
「クエストにも無理には誘わない。コータが参加したいと思ったときだけでいい」
「それは助かります……!」
思わず声が震えた。
毎日料理を作らされる生活。
その終わりがようやく見えた気がした。
週三日。
参加したいときだけのクエスト。
自分のペースで過ごす時間。
これこそが、俺の求めていたスローライフだ。
『ちなみに、私の唐揚げは毎日ですよね?』
「あなたは別枠です!」
『えぇー!ひどいー!』
「それより、唐揚げを揚げないと夕方になっちゃいますよ!!みなさん、先に座って待っててください!」
俺は台所に戻って鍋の前に立った。
じゅわあああっ。
唐揚げを揚げる。
揚げる。
揚げる。
だが。
「コータ!おかわり!」
「次の分はまだぁ?」
「私にもお願ーい!」
『お供え物ぉぉぉ!!』
五人分……いや、実質五人と一柱の唐揚げは、揚げても揚げても足りなかった。
「揚げるのが追いつかない……!」
鍋の前で俺は叫んだ。
「誰か、手伝ってくださいよぉぉぉ!」
「私が手伝おう!」
リディアが勢いよく台所に飛び込んできた。
「待って!あなたは座っていて!」
「なぜだ!?」
「油に大剣を突っ込む気でしょう!?」
「失敬な!そこまで不器用ではないぞ!」
「そういう問題じゃありません!」
フィーナがエプロンを身につけてやってきた。
「しょうがないなあ。私がタレを用意しておくよ」
「では、私は揚げる前の肉の計量と調理工程の記録を担当するわ」
「俺は皿を並べよう」
気づけば、四人全員が台所に集まっていた。
……結局、こうなるのか。
『ずるーい!私も混ぜてくださいぃぃ!』
画面の中で駄女神が悔しそうにこちらを見ている。
俺は苦笑し、小皿に唐揚げを三つのせた。
それをテレビの前にそっと置く。
「……お供えです」
皿が淡い光に包まれ、テレビの画面へと吸い込まれるように消えた。
『…………!!!』
画面の中のブレディアが目を見開く。
次の瞬間、とろけるような笑顔になった。
『……おいしーい!!!衣がサクサクでぇ、お肉がじゅわあって……!!』
「それはよかった」
『オトクくん!あなたは私が選んだ中で最高の転生者です!』
「たまたまですよねぇ?」
『そこは黙っておいてくださいよぉ!』
リビングに笑い声が広がった。
俺の異世界生活は、確かにスローライフから少し遠ざかってしまった。
でも、こうしてみんなで唐揚げを囲む時間は悪くない。
……などと思いかけたところで。
「ところで、コータ」
リディアが唐揚げを頬張りながら真顔で言った。
「うちのパーティー、そろそろ次の遠征の準備をするんだが」
「参加したいときだけでいいって言ったじゃないですか」
「ああ。だから今、聞いている。……来るか?」
「…………」
「ちなみに、お前の分の装備はもう用意してある」
「早い!」
カイルが静かに目を逸らした。
フィーナは鼻歌を歌っている。
セレスティアは無言で記録用紙をめくっていた。
正式な加入ではない。
……と、俺は思っている。
だが、俺以外はみんな正式加入だと思っているらしい。
これはもう終わりだ。
俺のスローライフは一体どこに向かっているのだろう。
次回予告
第六話 週三日までの約束のはずが、四日目の朝に玄関で待機されていました
約束を決めた翌週。月曜、火曜、水曜と『飢えた獅子』の面々は律儀に通ってきた。
そして、四日目の朝。
「……リディア。約束は?」
「今日は訪問ではない。通りかかっただけだ」
「玄関の前に三時間も立っていたんですか!?」
――飢えた獅子の我慢は、果たしていつまで続くのか。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回は、コータの転生特典が『飢えた獅子』の面々に明かされるお話でした!
次回第六話 週三日までの約束のはずが、四日目の朝に玄関で待機されていました
次回は、いつも豪快なリディアの意外な一面が見られるかも?
彼女の乙女な心にもご注目ください!
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※ブレディア様へのお供え物は任意です。
……唐揚げにレモンは大歓迎だそうです。




