8話:食費
「レオン、カイ、何食べよっか?」
あちこちからいい匂いが漂いさっきからお腹が鳴り止まない。
「色んな店があるからちょっとずつ買って分けてもいいかもね。」
「俺は肉が食いてぇな!」
3人でブラブラと歩いているが、思ったよりも多くの出店が立ち並んでおり、様々な食べ物が売られている。
ちゃんとした店に入って食べてもいいがレオンの言うように色んなものを少しずつ買ってシェアするのも魅力的だ。
お腹がすいている分購買意欲が高まって売られているもの全てに目移りしてしまう。
「肉系の食べ物も沢山売られてるしレオンの言う通り色んなのを買ってみようか!まあ、手持ちの金額で買える範囲だけど。」
というわけでまずは唐揚げっぽいのを売っている店に行くことにした。
「こんにちは。これ1つ貰いたいんですけどいくらですか?」
「1つ7シルバーだよ!」
(大きめの唐揚げが5つ入って7シルバーか。ってことは1シルバーだいたい100円って感じかな?)
「分かりました。じゃあこれで。」
「毎度!あんちゃんたち見慣れない顔だね、この街は初めてかい?せっかくだから1個サービスでつけとくよ!」
おじさんの好意で唐揚げを1つ増やしてもらったのでこれで1人2個ずつ食べられる。
「え、ありがとうございます!」
おじさんにお礼を言って店を離れ早速食べてみることにする。
「!」
「うっめぇ〜!!」
「これはなかなか……!」
ひと口食べた瞬間、衣のサクサク感と中から溢れ出る肉汁、しっかりしたニンニクと醤油の風味に思わず頬が緩む。
「やばい!異世界の料理ってあんまり美味しくなさそうなイメージがあったけど全然そんなこと無かったわ!しかもこれ、醤油?を使ってるっぽいしもしかしたら日本食みたいなのもあるかも……!」
「マスターの母国の料理かい?それは楽しみだね!」
「おい!マスター!早く次食おうぜ!ちょっと食べたら急激に腹が減ってきちまった!」
唐揚げを食べたことで更に腹をすかした俺たちは串焼き、肉まん、えびカツ、クレープ、骨付き肉、団子、焼きとうもろこし、オムそばなどなど、片っ端から目に付いたものを購入していった。名前は違ったがどれも日本で見た事のある食べ物と似ていたためその名前で呼んでいる。
「はぁ〜、もうお腹いっぱい……。幸せだ……。」
近くのベンチに腰掛け、重たくなったお腹をさすっているとカイから不満の声があがった。
「おいおいマジかよ。俺はまだまだ食い足りねぇぜ?まだこの倍は食べれる。」
後半は颯汰がだいぶ満腹になっていたため一口ずつ食べて残りは全部買いに食べてもらっていたのだが満腹には程遠いらしい。その細身の体の何処にそんなに入るんだと問いたいほどだ。
「でもなぁ、もうお金が……」
これでも各お店の人達のご厚意で少し安くしてもらったり中身を少し多くしてもらったりしていたんだがもうほとんどお金を使い果たし残りは1シルバーのみ。そして周りを見渡しても1シルバーで買えるものはない。
「カイ、わがまま言うんじゃないよ!マスターが困ってるだろ!」
「空くもんはしょうがねぇだろ!それにお前だって普段あんだけ食う癖に本当はお前の方がまだまだ腹空かしてんだろ!」
「うっ、それは……」
どうやら図星だったようでキュルルルと小さくレオンの腹が鳴った。
「はひほらな?ってことで金がねぇなら稼ぎに行くぞ!また魔物を狩りゃあ買い取って貰えんだろ!」
カイの提案になるほど、そういえばその手があったとにべもなく頷く。
「カイが頭を使うなんて明日は雨が降りそうだ。でも今のままのランクだと依頼達成報酬は貰えそうにないし勿体ないからランクを挙げられるようにいくつかFランクの依頼も同時並行でこなしていったほうが良さそうだね。」
「ああん??」
「まあまあ、カイ。レオンも喧嘩を吹っかけないで。でもそうだね、ふたりの言う通りそうしようか。じゃあまずはギルドに戻って受ける依頼を決めようか。」
にこやかに喧嘩を売るレオンと正面から喧嘩を買おうとしてメンチを切るカイを宥めながら再びギルドに戻ることにした。
(戦闘中は誰よりも息ぴったりなのに……。これが喧嘩するほど仲がいいってやつか?)
ギルドに戻った俺たちはFと書かれた依頼書の中から薬草採取系の依頼を3つほど選定し受付に持っていった。
「あ、先程の方々ですね。薬草採取の依頼を3つですね。確認いたしました。この依頼には期限はありませんので頑張ってくださいね。」
冒険者登録をしてくれた人が対応してくれてにこやかに『依頼受領確認』の判を押して送り出してくれた。さらに依頼書の薬草らは町外れの森に生えていること、ただしそこは昼間はほぼ出ないが夜になると魔物たちが多く出てくるため注意することなども教えてくれた。
俺たちは受付嬢にお礼を言って早速町外れに向かうことにした。
「夜になると魔物が出るなんて一石二鳥じゃねぇか。」
「昼間は薬草を採取して夜は魔物を狩りに行こう。レベルアップも早くしたいしね。」
「二人共ありがとう。でも活動時間は9時までにしよう。夜はしっかり休まないと。宿代はスフィーダがある分かからないし移動もスフィーダを経由すれば一瞬だ。だから身体第一に効率的に行こう。ガチャには100ゴールドが必要で当分は2人だけに頼りっぱなしになると思うけど俺も努力するから、よろしくね。まずは2人がおなかいっぱい食べれるくらいの食費を稼ごうか!」
「マスターのご随意に。」
「任せとけ!」
というわけで移動時間を短縮するべく、人目につかない路地に入るとスマホを開いてスフィーダにログインした。




