7話:冒険者登録
「おお〜、結構賑わってる。」
あの後すぐレオンの指定した場所でログアウトし王都から少し離れたところにある街に出てきた。
とはいえ、人通りは思ったよりも多く活気づいている。
どこからともなく漂ってくるいい匂いにお腹がぐぅーっと鳴る。
「ははっ、まずはこれらを買い取ってくれる店を探さねぇとな!」
お腹の音にカイが笑い声をあげる。魔物の素材は袋に入れてカイが持ってくれており、俺たちが食事をするためには素材をお金に変えてもらわないといけない。
「あ、あれってもしかしてこっちの世界のギルドじゃないかな?」
レオンが指さす方に目を向けると周りよりも一際大きくてしっかりとした造りの建物が建っており、そこの扉からは冒険者らしき格好をした人々が出入りしていた。
「おお、っぽいな。てことはこれらも買い取ってくれるかもしれねえし中に入ってみるか?」
カイの言葉に頷いて颯汰たちはそこに行ってみることにした。
中に入ると思った通りギルドだったようで依頼書が貼ってある場所や受付、換金所などがあり多くの冒険者でごった返していた。
「こんにちは。もしかして新規の方でしょうか?」
「あ、えっと魔物の素材を持っているんですけどこちらで買取ってしていただけるんでしょうか。」
とりあえず受付に行き、そこに座っていた女の人に尋ねることにした。
「はい、できますよ。冒険者証はお持ちでしょうか?」
「いえ、持ってないです。」
「でしたらまずは冒険者の登録をお願いいたします。」
どうやら冒険者の登録をしないと魔物の買取は行えないらしく、基本的にほかの店では買取はやっていない(魔物をできるだけ多く飼って貰うためにギルドが高値で買取を行っている)との事だったので3人とも冒険者登録をすることにした。
ただ、問題が1つ。
「よ、読めない……。」
受付嬢に渡された冒険者登録の用紙だが、そこに書かれていた文字が一切読めなかったのだ。ということは書くこともできない。
「ん?あ、これ俺たちの世界の文字と一緒だ。」
途方にくれているとレオンが後ろからひょこっと覗き込んできた。
「え?」
「おお、ほんとだ。普通に読めるな。」
カイも同じく後ろから覗き込んでくる。
「マスター、マスターの分も代わりに俺が書こうか……?」
なんとスフィーダ内で使用されていた文字と全くおなじだったようでレオンやカイは問題なく読んで書くことができるとの事だった。なのでここは素直にレオンの申し出を受けることにした。
「……はい、問題ありません。ソータ様、レオン様、カイ様の冒険者登録を受け付けました。こちらが冒険者証になります。今回初めてということなので簡単にご説明させていただきます。」
無事、冒険者登録を済ましFの文字が印字された鉄製のネックレスを受け取った。そのままギルドやランク制度について説明をしてくれると言うので3人で耳を傾ける。
「初めはその冒険者証に印字されている通りFランクからのスタートとなります。あちらに張り出されている依頼を受ける場合はご自身のランク以下のものをお選びいただくようになります。ご自身のランクより上の依頼は受理出来兼ねますのでご了承ください。また依頼を受けずに魔物を討伐した場合は素材の買取はできますが依頼達成報酬のお支払いはできかねます。更にその場合の怪我や死亡事故についてはギルドは一切責任を負いかねますのでその点についても予めご了承ください。魔物の買取に関してはギルド証を提示いただくとあちらの換金所で行えますのでまた後ほどお立ち寄りください。ここまででなにかご質問等ございますでしょうか。」
(つまりは俺たちはFランクなのでFと書かれた薬草採取は依頼を受けることができるが、Eと書かれたゴブリン3体の討伐は受けることができない。昨日ちょうどゴブリンを3体倒して証拠となる右耳もカイが切り取ってくれてるけどランクが足りないから依頼達成という扱いにはならず、達成報酬の10シルバーは貰えないということか。ただ素材の買取は行ってくれると。なるほどな。)
「いえ、大丈夫です。」
内容を自分なりに理解でき、レオンも一通り把握できたみたいなので受付嬢にお礼を言って換金所に向かう。カイはまた思考を停止させていたようだが3人中2人が理解できているからいいだろう。
受付嬢に言われた通り換金所で冒険者証を見せると早速素材の鑑定に移ってくれた。ランクが足りないことについても何も言われなかったため、まあ自己責任でやるならなんでもいいということだろう。
鑑定後提示された金額は魔石とゴブリンやワーウルフ(昨日のオオカミ型の魔物の名前らしい)の素材を合わせて78シルバーだった。とは言っても1シルバーの価値がイマイチ分からないのでこれが高いのか安いのかも分からない。
「これでやっとご飯が食べれる!」
とにかく腹が減って死にそうなので市場調査も兼ねて今度は食べ物を探しに行くことにする。
換金所のおじさんにもお礼を言い、貰ったシルバーを手に握りしめて足取り軽くギルドを後にした。




