38話:気づいたこと
「でもだとしたら洗脳?にかかる人とかからない人の違いって何?」
問いかけにみんな頭を悩ませるがこれといって思いつくものはない。
「え、じゃあまず洗脳にかかったの誰?」
手を挙げたのはカイ、シアン、クラルス、ミティス。
「私も少し危なかったわ。意識が少し薄れていく感じがしたの。」
加えてアイリーンも手を挙げた。
「5人か。共通点はなんだろう。全員カイみたいに何か踏んだ訳じゃないだろうし。」
レオンの言葉にカイは心外と言う顔をしていたが、一応念の為全員の靴底を確認する。
「やっぱり何も着いて無さそうだね。」
「レオンと同じタイミングで来たカイも洗脳にかかっているからレベル差とかでも無さそうだし……。」
ソルが言うようにゲーム画面で全員のステータスを確認するが、洗脳にかかっているメンバーのレベルはみんなバラバラだ。
「ん?もしかして。」
「なにか分かりましたか?主。」
「確証は無いんだけど、もしかしたらステータスのRESが関係してるのかなって。洗脳にかかってる4人は全員40以下だし、アイリーンも50台で低めだ。レオンがかからなかったことから70以上はかかりにくいんじゃないかって思ったんだけど。」
みんなにも見えるようにスマホを持ちかえ、それぞれのステータスを画面に表示させる。
「確かに。ロードも低いけどロードたちはじっとしてたからかからなかったのかな。」
というわけで、また洗脳にかかってしまう恐れのあるカイ、シアン、クラルス、ミティス、アイリーンに加え、かかる恐れのあるナナ、ロードも今回はこのままスフィーダ内で待機してもらうことになった。ソルは逆にRESが60を超えているのでどの数値までが洗脳にかかるのかを検証するため、探索組に入ってもらった。
「7人はちょっと申し訳ないけど一旦待機でお願い。ただ、レベルアップしてステータス値が上がれば洗脳にかからない可能性もあるから明日以降の動きはまた考えよう。俺たち5人はまだ触れてない残りの窪みのところに行って次の階への手がかりを探してみよう。」
待機組は不服そうではあったが(特にナナ)、ひとまず納得してもらい俺たち5人はダンジョンにもどる。
「どう?ソル、大丈夫?」
「うーん、少しクラクラするけどそれだけかな。でもマスターの近くにいればなんともないよ。」
ソルが言うには、俺と5m以上離れると目眩のような感じがするそうだが、逆にそれ以内にいれば普段通りで特に異常はないそうだ。
「そっか、念の為ソルもスフィーダに戻っとく?」
「いやだ!マスターと一緒にいれば大丈夫なんだから近くにいるよ。それともマスターは俺と一緒にいたくない?」
きゅるんとした目でこちらを見つめてくるソル。あざとい、あざとすぎる。同い年のはずなのに可愛く見えなんでもお願いを聞いてあげたくなるのはなぜなんだろう。
「ぐっ、わかった。じゃあできるだけ俺の近くを離れないでね。」
「任せてよ。マスターの怪我は全部俺が治してあげるからね。」
この颯汰たちのやり取りを複雑な表情で見つめるレオンと微笑ましそうに見つめるヴァンとルナ。レオンに至っては颯汰を独り占めできないのは嫌だがソルが年下なので我慢しているというところだろう。
ソルに離れないようにするためと言われ手を繋いで、ダンジョンを回ること2時間、ようやく今見つけている全ての窪みを触ることができた。(その時にもう2つ新しい窪みを発見した)
しかし、それでも次の階へ続く道は現れなかったため、今日の探索を終えてギルドへの定期報告に行くことにした。
「……が今日新たに発見したことになります。そしてこちらが今日採取してきた例の付着物です。」
「助かる。ありがとう。すぐに解析に回そう。」
ギルドで早速リガルドに今日の出来事を報告し採取してきたものを渡す。本当はレオンとカイだけ連れて来ようと思っていたがみんな断固として譲らなかったので12人全員でギルドの応接室に入っている。結構広めの部屋のはずなのにぎゅうぎゅうで圧迫感を感じる。
(今度からくじ引きで決めよう。)
横にそれた思考を戻して、気になったことをリガルドに尋ねる。
「1つ質問があるんですが、自分の精神異常耐性とか精神力、抵抗力といったものを知ることってできますか?」
「ん?ああ、ステータスのことか。一応できるぞ。鑑定士の職業のやつに鑑定してもらうか、ギルドが所有する鑑定用の水晶で見るかのどっちかだがな。でも急にどうした?」
「今日の探索で仲間がレベルに関係なく何人か様子がおかしくなったんですが、同じ場所、空間にいた者でも正気を保ってた仲間もいるんです。だからもしかしたらステータスが関係してるのかと思いまして。」
俺の話に納得したのか、そういうことならと扉近くに控えていた受付嬢に水晶を持って来させ仲間全員の数値を確認することにした。
この世界では自分で見えるステータス画面にRESのような精神系のステータスはない。RES70以上が安全そうと言っても信じて貰えないだろう。そのため、この世界でもRESと似たようなステータスが数値で分かればと思ったんだがあって良かった。これで基準ができれば俺たち以外の冒険者も基準をクリアした者はダンジョンに入れるようになるだろう。
最近は俺たちばかりがダンジョンに入って大金と経験値を稼いでくるものだからほかの冒険者たちからの風当たりもキツくなってきていたのだった。
「スマンが検証のためお前たちのステータスを控えさせてもらってもいいか?決して他のことには使わないし、他の冒険者の目に触れないよう厳重に管理すると誓う。」
ここ数日でリガルドの人となりは十分理解し信頼できる人だと分かっていた為、仲間たちにも確認して快く了承する。
「ありがとう。じゃあまずはダンジョンで異変を来した者から順番に水晶に手を当てて行ってくれ。」




